忌み子と自殺趣味
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「い、い、い、嫌ですよ!」
そう云って、彼はガタッと立ち上がった。
まぁ、利用されるわけだからね。
嫌なものは嫌だろう。
「それってつまり、『餌』じゃないですか!誰がそんな!」
「報酬出るよ。」
彼の言葉を遮り、太宰さんが一言そう云うと、彼の表情がピクっとなった。
『それに、我々がただ闇雲に探してもなかなか捕まらないだけ。敦くんが早くその虎の脅威から逃れたいのなら、またとない機会だと思うけど。ギブアンドテイク。等価交換。いい条件じゃない?まぁ、等価になるのかは怪しいところだけど。』
そこまで云うと、彼は少し黙ってしまった。
考える時間も必要だろう。
その間に、太宰さんがなにやらメモを作っている。
何を書いているのだろう…?
「国木田君は、社に戻ってこの紙を社長に。」
そう云って、メモを渡した。
「おい、二人で捕まえる気か?」
「真逆。薙澄沙ちゃんも連れてくよ。」
『え、私もですか。』
「うん。勿論。」
『…はい。』
まぁ、乗りかかった船だから仕方ないだろう。
国木田さんが居ると、厄介な時もあるだろうし、ここは臨機応変に。
「だが、まずは情報の裏を取って――」
「いいから。」
そう一言、太宰さんが言葉を遮ると国木田さんはメモを一瞥して頷いた。
「ち…ちなみに。報酬はいかほど?」
敦くん…。聞いちゃうか。
まぁ、仕方の無いことだろうけど。
太宰さんが紙に報酬を書き出している。
そして、彼に見せると、すごく驚いたようだ。
まぁ、見たこともない大金だろうから仕方ない。
国木田さんが茶漬け代を払い二手に分かれる。
作戦の確認も行わなければ。
夜。
私達はとある倉庫に来ていた。
勿論、敦くんも一緒だ。
太宰さんは趣味である「完全自殺」と書かれた本を読んでいる。
それを見た敦くんは、うげ…という顔をしているが、私は気にせず、倉庫の扉付近で二人を眺めていた。
「……本当にここに現れるんですか?」
沈黙に耐えかねたのであろう。
敦くんが口を開いた。
そして、本に目を向けたまま太宰さんは、本当だよ。と、返事をした。
心配そうな顔を見せる敦くん。
それを落ち着かせるようにもう1度、太宰さんは口を開いた。
「心配いらない。虎が現れても私達の敵じゃないよ。こう見えても、我々は『武装探偵社』の一員だ。」
『それに、私は国木田さんと同じく。戦闘員でもあるからね。安心して。』
私が補足にそう付け加えると、彼は自信なさげに下を向いた。
どうしたのだろう?
「はは、凄いですね。自信のある人は。僕なんか、孤児院でもずっと「駄目な奴」って、言われてて――。そのうえ、今日の寝床も、明日の食い扶持も知れない身で」
そこまで言うと彼は体育座りをしていた膝に顔を押し付けるようにしていった。
「こんな奴が、どこで野垂れ死んだって…いや、いっそ、食われて、死んでしまったほうが――。」
私と太宰さんは彼を見つめた。
何か、彼を救うてはないのか。私はそう思った。
昔の私と、何かかぶる所がある。
太宰さんが倉庫の開いている窓を見上げた。
ああ、合図だ。
『創壊生…[壊]。』
私はそうぼそりと呟き、異能を発動させる。
遠くにあるものの材質さえ分かれば、私の異能は遠隔操作が可能だ。
地面を伝い、遠くの荷物に箱が壊れるようイメージをして手を地に当てる。
「却説――、そろそろかな。」
月にかかっていた雲は綺麗に晴れ美しい満月を見せた。
その明かりに反応して、敦くんは、ばっと、顔を上げ月を見た。
すると、上手くいったのであろう。
ガタン
と、遠くで荷物の崩れる音がした。
「!」
ビクッと彼が反応を示す。
が、周りは静まり返ったままだ。
「今……、そこで物音が。」
そう云い彼は後ろを振り向く。
「そうだね。」
だが、太宰さんは本を読みながらそう返すだけだ。
そう云って、彼はガタッと立ち上がった。
まぁ、利用されるわけだからね。
嫌なものは嫌だろう。
「それってつまり、『餌』じゃないですか!誰がそんな!」
「報酬出るよ。」
彼の言葉を遮り、太宰さんが一言そう云うと、彼の表情がピクっとなった。
『それに、我々がただ闇雲に探してもなかなか捕まらないだけ。敦くんが早くその虎の脅威から逃れたいのなら、またとない機会だと思うけど。ギブアンドテイク。等価交換。いい条件じゃない?まぁ、等価になるのかは怪しいところだけど。』
そこまで云うと、彼は少し黙ってしまった。
考える時間も必要だろう。
その間に、太宰さんがなにやらメモを作っている。
何を書いているのだろう…?
「国木田君は、社に戻ってこの紙を社長に。」
そう云って、メモを渡した。
「おい、二人で捕まえる気か?」
「真逆。薙澄沙ちゃんも連れてくよ。」
『え、私もですか。』
「うん。勿論。」
『…はい。』
まぁ、乗りかかった船だから仕方ないだろう。
国木田さんが居ると、厄介な時もあるだろうし、ここは臨機応変に。
「だが、まずは情報の裏を取って――」
「いいから。」
そう一言、太宰さんが言葉を遮ると国木田さんはメモを一瞥して頷いた。
「ち…ちなみに。報酬はいかほど?」
敦くん…。聞いちゃうか。
まぁ、仕方の無いことだろうけど。
太宰さんが紙に報酬を書き出している。
そして、彼に見せると、すごく驚いたようだ。
まぁ、見たこともない大金だろうから仕方ない。
国木田さんが茶漬け代を払い二手に分かれる。
作戦の確認も行わなければ。
夜。
私達はとある倉庫に来ていた。
勿論、敦くんも一緒だ。
太宰さんは趣味である「完全自殺」と書かれた本を読んでいる。
それを見た敦くんは、うげ…という顔をしているが、私は気にせず、倉庫の扉付近で二人を眺めていた。
「……本当にここに現れるんですか?」
沈黙に耐えかねたのであろう。
敦くんが口を開いた。
そして、本に目を向けたまま太宰さんは、本当だよ。と、返事をした。
心配そうな顔を見せる敦くん。
それを落ち着かせるようにもう1度、太宰さんは口を開いた。
「心配いらない。虎が現れても私達の敵じゃないよ。こう見えても、我々は『武装探偵社』の一員だ。」
『それに、私は国木田さんと同じく。戦闘員でもあるからね。安心して。』
私が補足にそう付け加えると、彼は自信なさげに下を向いた。
どうしたのだろう?
「はは、凄いですね。自信のある人は。僕なんか、孤児院でもずっと「駄目な奴」って、言われてて――。そのうえ、今日の寝床も、明日の食い扶持も知れない身で」
そこまで言うと彼は体育座りをしていた膝に顔を押し付けるようにしていった。
「こんな奴が、どこで野垂れ死んだって…いや、いっそ、食われて、死んでしまったほうが――。」
私と太宰さんは彼を見つめた。
何か、彼を救うてはないのか。私はそう思った。
昔の私と、何かかぶる所がある。
太宰さんが倉庫の開いている窓を見上げた。
ああ、合図だ。
『創壊生…[壊]。』
私はそうぼそりと呟き、異能を発動させる。
遠くにあるものの材質さえ分かれば、私の異能は遠隔操作が可能だ。
地面を伝い、遠くの荷物に箱が壊れるようイメージをして手を地に当てる。
「却説――、そろそろかな。」
月にかかっていた雲は綺麗に晴れ美しい満月を見せた。
その明かりに反応して、敦くんは、ばっと、顔を上げ月を見た。
すると、上手くいったのであろう。
ガタン
と、遠くで荷物の崩れる音がした。
「!」
ビクッと彼が反応を示す。
が、周りは静まり返ったままだ。
「今……、そこで物音が。」
そう云い彼は後ろを振り向く。
「そうだね。」
だが、太宰さんは本を読みながらそう返すだけだ。