忌み子と自殺趣味
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お腹をさすった敦くんは軽く礼を言い、自分の身の上を話し始めた。
「孤児院を追い出され、横浜に出てきてから、食べるところも、寝るところもなく……あわや、斃死かと。」
「ふうん、君、施設の出かい?」
「出というか……追い出されたのです。」
追い出された…?
どういう事なのだろう?
「経営不振だとか、事業縮小だとかで…。」
「それは、薄情な施設もあったものだね。」
「おい、太宰。俺たちは、恵まれぬ小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃない。仕事に戻るぞ。」
『追い出されたのは貴方だけですか?』
「え?あぁ、はい。まぁ、その時は。」
「薙澄沙…?」
『あ、すいません。国木田さん。』
一言、謝りを入れた。はぁ、と、彼はため息をついた。
一人だけの追い出し。
不自然過ぎる。
あの二つの理由なら、本来、もっと違う措置を取っているだろうに…。
それが出来ない理由が彼にあるのかもな…。
「お三人は……何の仕事を?」
少し会話が途切れた時、ふと思い出したように、敦くんが私たちに疑問を投げた。
そういえば言っていなかったか。
「なァに……探偵さ。」
太宰さんがそう答えると彼は、ぽかん、として何を言っているんだコイツはという目で太宰を見た。
まぁ、あまり見ないような役職だから仕方ないだろう。
チッっと国木田さんが舌打ちをして話を続けた。
「探偵と云っても、猫探しや、不貞調査ではない。」
『そんな依頼だったら、受ける前にお引取りをお願いしてるから。』
敦くんは、え?という顔をした。
まぁ、そのへんは探偵と言われて思い浮かぶような内容だからね。
「斬った張ったの荒事が領分だ。異能集団、『武装探偵社』を知らんか?」
『武装探偵社』。この名前を出すと、流石に気付いたのであろう。ハッとした表情をした。
私たちの仕事は特殊だから名前を知っている人はかなりいる。
敦くんは、考え込むように私達を真剣に見た。
すると、何を思いついたのか、太宰さんが口を開いた。
「あの鴨居、頑丈そうだね……。たとえるなら、人間一人の体重に耐えれそうなぐらい。」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな。」
『人様に迷惑はかけないようにしてください。回収してくれと言われても我々は関係ありませんからね。』
「薙澄沙ちゃん酷い。…ていうか、国木田くん。首吊りじゃないよ。首吊り健康法だよ。知らない?」
「何!?あれ健康にいいのか?」
あぁ、これは信じてしまったやつだ。
ふっと視線を敦くんに移すと彼は本当なのかなって感じの目をして彼らを見ていた。
『首吊り健康法のことは嘘だよ?』
「ああ、それなら良かった…。って、そちらではなくて本当に探偵…何ですか?」
『まぁね。これでもきちんと仕事はしてるよ。大丈夫。』
「はぁ…それなら良かったです。」
前の席の二人の茶番はしばらく続きそうだ…。
「そ…それで。」
前二人の茶番が終わる頃、彼が口を開いた。
「探偵の皆さんの今日のお仕事は…?」
「虎探し。だ。」
「……虎探し?」
「近頃、街を荒らしている『人食い虎』だよ。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。」
『最近はこの近くで目撃されたそうですね。』
「そうそう。だから、僕等はこの辺を…。」
そう言いかけると、横に座っていた敦くんが、ガタッ、と少し取り乱したようにこちらを見ていた。
嗚呼、なんてわかりやすい少年なのだろう。
「ぼ…ぼ、ぼ、僕はこれで失礼します。」
彼はくるっと方向転換をして歩いていこうとした。
『敦くん、お待ちください。』
一瞬、彼は止まるがそれでも行こうとするので国木田さんに「待て」と言われ襟元をつままれていた。
シャカシャカと動いているが、猫のようだ…。
「む、無理だ!奴――奴に人が適うわけない!」
「貴様。『人食い虎』を知っているのか?」
「あいつは僕を狙っている!殺されかけたんだ!この辺に出たんなら、早く逃げないと――」
その言葉の続きを私達が聞けることは無かった。
ぱっと彼の襟を離した国木田さんが床に敦くんをねじ伏せたからだ。
それを横目で見ながら私は出されていたお茶を啜った。
ガッと当たった顎がいたそうだな。
「云っただろう?」
少し周りがこちらを見ていたのでニコリと微笑み場をなごませるよう心がける。
「武装探偵社は、荒事専門だと。」
「孤児院を追い出され、横浜に出てきてから、食べるところも、寝るところもなく……あわや、斃死かと。」
「ふうん、君、施設の出かい?」
「出というか……追い出されたのです。」
追い出された…?
どういう事なのだろう?
「経営不振だとか、事業縮小だとかで…。」
「それは、薄情な施設もあったものだね。」
「おい、太宰。俺たちは、恵まれぬ小僧に慈悲を垂れる篤志家じゃない。仕事に戻るぞ。」
『追い出されたのは貴方だけですか?』
「え?あぁ、はい。まぁ、その時は。」
「薙澄沙…?」
『あ、すいません。国木田さん。』
一言、謝りを入れた。はぁ、と、彼はため息をついた。
一人だけの追い出し。
不自然過ぎる。
あの二つの理由なら、本来、もっと違う措置を取っているだろうに…。
それが出来ない理由が彼にあるのかもな…。
「お三人は……何の仕事を?」
少し会話が途切れた時、ふと思い出したように、敦くんが私たちに疑問を投げた。
そういえば言っていなかったか。
「なァに……探偵さ。」
太宰さんがそう答えると彼は、ぽかん、として何を言っているんだコイツはという目で太宰を見た。
まぁ、あまり見ないような役職だから仕方ないだろう。
チッっと国木田さんが舌打ちをして話を続けた。
「探偵と云っても、猫探しや、不貞調査ではない。」
『そんな依頼だったら、受ける前にお引取りをお願いしてるから。』
敦くんは、え?という顔をした。
まぁ、そのへんは探偵と言われて思い浮かぶような内容だからね。
「斬った張ったの荒事が領分だ。異能集団、『武装探偵社』を知らんか?」
『武装探偵社』。この名前を出すと、流石に気付いたのであろう。ハッとした表情をした。
私たちの仕事は特殊だから名前を知っている人はかなりいる。
敦くんは、考え込むように私達を真剣に見た。
すると、何を思いついたのか、太宰さんが口を開いた。
「あの鴨居、頑丈そうだね……。たとえるなら、人間一人の体重に耐えれそうなぐらい。」
「立ち寄った茶屋で首吊りの算段をするな。」
『人様に迷惑はかけないようにしてください。回収してくれと言われても我々は関係ありませんからね。』
「薙澄沙ちゃん酷い。…ていうか、国木田くん。首吊りじゃないよ。首吊り健康法だよ。知らない?」
「何!?あれ健康にいいのか?」
あぁ、これは信じてしまったやつだ。
ふっと視線を敦くんに移すと彼は本当なのかなって感じの目をして彼らを見ていた。
『首吊り健康法のことは嘘だよ?』
「ああ、それなら良かった…。って、そちらではなくて本当に探偵…何ですか?」
『まぁね。これでもきちんと仕事はしてるよ。大丈夫。』
「はぁ…それなら良かったです。」
前の席の二人の茶番はしばらく続きそうだ…。
「そ…それで。」
前二人の茶番が終わる頃、彼が口を開いた。
「探偵の皆さんの今日のお仕事は…?」
「虎探し。だ。」
「……虎探し?」
「近頃、街を荒らしている『人食い虎』だよ。倉庫を荒らしたり、畑の作物を食ったり好き放題さ。」
『最近はこの近くで目撃されたそうですね。』
「そうそう。だから、僕等はこの辺を…。」
そう言いかけると、横に座っていた敦くんが、ガタッ、と少し取り乱したようにこちらを見ていた。
嗚呼、なんてわかりやすい少年なのだろう。
「ぼ…ぼ、ぼ、僕はこれで失礼します。」
彼はくるっと方向転換をして歩いていこうとした。
『敦くん、お待ちください。』
一瞬、彼は止まるがそれでも行こうとするので国木田さんに「待て」と言われ襟元をつままれていた。
シャカシャカと動いているが、猫のようだ…。
「む、無理だ!奴――奴に人が適うわけない!」
「貴様。『人食い虎』を知っているのか?」
「あいつは僕を狙っている!殺されかけたんだ!この辺に出たんなら、早く逃げないと――」
その言葉の続きを私達が聞けることは無かった。
ぱっと彼の襟を離した国木田さんが床に敦くんをねじ伏せたからだ。
それを横目で見ながら私は出されていたお茶を啜った。
ガッと当たった顎がいたそうだな。
「云っただろう?」
少し周りがこちらを見ていたのでニコリと微笑み場をなごませるよう心がける。
「武装探偵社は、荒事専門だと。」