綴るのは…。
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無事仕事に戻ることが出来てはや1週間。仕事再開時にはいろんな人が心配して声をかけに来たが流石に落ち着いてきた。
「詩葉ー。いい死に方無いー?」
『そう聞かれて答えるやつがどこにいる…。』
「まぁ、そうだよねぇ。」
太宰さんはいつも通りやってくる。病気じゃないのかと言うぐらい死に方を求めているが…。
まぁ、それはいつもの事だ。
「げ。」
「うわっ…なんで来るのさ…中也。」
まぁ、ひとつ変わったことと言えば中原さんがやってくるようになったことぐらいだろうか。太宰さんが居る時に来ると部屋が壊れないかいつも冷や冷やしながら見ているが…。
『いらっしゃい、中原さん。』
「おう。絆創膏くれ。」
『怪我したところ出してくれ。消毒はしなきゃならない。』
「あー、分かった。」
手元を小さいがざっくりとやられている。
ナイフか…?
『これ、何があったんだい?』
「油断しただけだ。死んだと思ってたやつが生きてた。」
『は?』
「息の根は完全に止めたんだがどういう訳か生きてた。」
「見間違いなんじゃないの?」
「知るかよ。息がないのは詩音が確認してる。」
『それはおかしいな…。』
詩音が間違うはずがない。
脱脂綿に消毒液を染み込ませ、傷口に当てる。いってぇっと聞こえるが気のせいだ。痛くない。
『絆創膏じゃ足りないから包帯巻くよ。』
「おう…。」
『でも気になるな。』
「何が?」
『死なない死体。』
「ああ、それか。」
『普通、死人は生き返らないからな。何故生き返ったのか…。』
ある戦争では日本人は死んでも動き続けたという話が残っているがそういう訳では無いだろうし…。
「その事は私が調べておくよ。」
『太宰さんが?いいのかい?』
「まぁ、暇だからねぇ。」
『そうなのか?』
「暇なわけねぇだろ。部下が探してたぞ。」
「…まぁ、仕事の片手間にでも。」
何も動かないよりはましか…。
『太宰さん、任せても大丈夫か?』
「ああ。また、何かあったら情報入れるよ。」
『ああ。』
「さーて、そろそろここも見つかるから移動するよ。じゃあ!」
そう言って太宰さんは医務室を出ていった。
「太宰はいつもここにいるのか?」
『よく逃げてくるよ。まぁ、部下もわかっているだろうがね。』
「そうか…。」
そう言うと中原さんは太宰さんの出ていった扉を見つめた。
「太宰の世話とか、してる方が嫌になってきそうだが…。」
『そういうのは慣れだよ。医務室にはいろんな人が来るからね。悩んでる人とか、逃げてきたい人とか。』
「ンなモンなのか?」
『そんなもんだよ。』
バタバタとき終えてくる足音。
「綴璃の姉貴!かくまって!」
『ほら、来た。』
「…。」
「げ…。中原さん…。」
「なーにが、『げ。』だ。なにが。」
西鬼が駆け込んできて賑やかになった医務室。
えっとーこれはですねーと言いながら理由を説明している彼は額に汗をかいているようだった。
まあ、こっちにまで伝わってくるプレッシャーが凄いこと凄いこと…。
「あ、そういや。詩音から聞いた?」
『何をだい?』
「死人が動くの。」
『ああ、まあ中原さんから。』
「その治療できてるんだよ。」
「その死体を持ってきてるみたいで。解剖をしてほしいって。いってました。」
『詩音が?』
「詩音が。」
あの子なりに気になることがあったのだろう。
私も気になる点ではある。
引き受けて損は無い。
『引き受けると伝えてくれ。』
「了解っス。」
『そういや、誰から逃げてるんだい?』
「あーーー、えっと…。エリス嬢…。」
『鬼ごっこかなにかしてるのか?』
「まあ、そんな感じです。」
『よし、じゃあエリス嬢に連絡を…。』
「入れなくていいっス!入れなくて!」
そんな茶番を繰り返していると、中原さんがぽかんとした感じにこちらを見ていた。
どうしたというのだろう。
『何か面白いことでもあったかい?』
「ああ、いや。お前ら仲いいんだなと思ってな。」
「付き合い長いっスから。」
「そうなのか?」
『まぁ、長いな。というか、気付いたら一緒にいたという感じか。僕らは、孤児なんだ。』
「異能を買われて此処で育ててもらった感じか。」
『そんなかんじだね。』
「でも、よく3人も同じ場所に異能者が集まったな。」
『確かにな。』
思えば、巷間にあまり知られていない異能者が3人も集まるのは奇跡なのかもしれない。
どういった経緯で知り合ったかは記憶にないが、いつも一緒にいたことだけは覚えてる。
「まぁ、奇跡だったって事じゃないっすかね。その縁が今も続いてるんですから。」
『だな。』
そう納得した瞬間、バンッと開く医務室のドア。
開いたドアの先にはエリス嬢が仁王立ちしていた。
「見つけたわよ!西鬼!」
「あー、見つかっちゃいましたか…。」
「これで、ケーキ買ってきてくれるわよね!西鬼の奢りで!」
『それで逃げていたのか。』
「そんな所っス。」
「ほら!行くわよ!」
そういったエリス嬢に手を取られ出ていく西鬼。
財布が無事だといいが。
「俺もそろそろ行くな。」
『そうか。また、怪我したら来てくれよ。怪我してなくても歓迎はするぞ。』
「そうかよ。じゃあな。」
『ああ。』
もうすぐしたら届くであろう遺体を待ちつつ、カルテの整理でもしようか。
「詩葉ー。いい死に方無いー?」
『そう聞かれて答えるやつがどこにいる…。』
「まぁ、そうだよねぇ。」
太宰さんはいつも通りやってくる。病気じゃないのかと言うぐらい死に方を求めているが…。
まぁ、それはいつもの事だ。
「げ。」
「うわっ…なんで来るのさ…中也。」
まぁ、ひとつ変わったことと言えば中原さんがやってくるようになったことぐらいだろうか。太宰さんが居る時に来ると部屋が壊れないかいつも冷や冷やしながら見ているが…。
『いらっしゃい、中原さん。』
「おう。絆創膏くれ。」
『怪我したところ出してくれ。消毒はしなきゃならない。』
「あー、分かった。」
手元を小さいがざっくりとやられている。
ナイフか…?
『これ、何があったんだい?』
「油断しただけだ。死んだと思ってたやつが生きてた。」
『は?』
「息の根は完全に止めたんだがどういう訳か生きてた。」
「見間違いなんじゃないの?」
「知るかよ。息がないのは詩音が確認してる。」
『それはおかしいな…。』
詩音が間違うはずがない。
脱脂綿に消毒液を染み込ませ、傷口に当てる。いってぇっと聞こえるが気のせいだ。痛くない。
『絆創膏じゃ足りないから包帯巻くよ。』
「おう…。」
『でも気になるな。』
「何が?」
『死なない死体。』
「ああ、それか。」
『普通、死人は生き返らないからな。何故生き返ったのか…。』
ある戦争では日本人は死んでも動き続けたという話が残っているがそういう訳では無いだろうし…。
「その事は私が調べておくよ。」
『太宰さんが?いいのかい?』
「まぁ、暇だからねぇ。」
『そうなのか?』
「暇なわけねぇだろ。部下が探してたぞ。」
「…まぁ、仕事の片手間にでも。」
何も動かないよりはましか…。
『太宰さん、任せても大丈夫か?』
「ああ。また、何かあったら情報入れるよ。」
『ああ。』
「さーて、そろそろここも見つかるから移動するよ。じゃあ!」
そう言って太宰さんは医務室を出ていった。
「太宰はいつもここにいるのか?」
『よく逃げてくるよ。まぁ、部下もわかっているだろうがね。』
「そうか…。」
そう言うと中原さんは太宰さんの出ていった扉を見つめた。
「太宰の世話とか、してる方が嫌になってきそうだが…。」
『そういうのは慣れだよ。医務室にはいろんな人が来るからね。悩んでる人とか、逃げてきたい人とか。』
「ンなモンなのか?」
『そんなもんだよ。』
バタバタとき終えてくる足音。
「綴璃の姉貴!かくまって!」
『ほら、来た。』
「…。」
「げ…。中原さん…。」
「なーにが、『げ。』だ。なにが。」
西鬼が駆け込んできて賑やかになった医務室。
えっとーこれはですねーと言いながら理由を説明している彼は額に汗をかいているようだった。
まあ、こっちにまで伝わってくるプレッシャーが凄いこと凄いこと…。
「あ、そういや。詩音から聞いた?」
『何をだい?』
「死人が動くの。」
『ああ、まあ中原さんから。』
「その治療できてるんだよ。」
「その死体を持ってきてるみたいで。解剖をしてほしいって。いってました。」
『詩音が?』
「詩音が。」
あの子なりに気になることがあったのだろう。
私も気になる点ではある。
引き受けて損は無い。
『引き受けると伝えてくれ。』
「了解っス。」
『そういや、誰から逃げてるんだい?』
「あーーー、えっと…。エリス嬢…。」
『鬼ごっこかなにかしてるのか?』
「まあ、そんな感じです。」
『よし、じゃあエリス嬢に連絡を…。』
「入れなくていいっス!入れなくて!」
そんな茶番を繰り返していると、中原さんがぽかんとした感じにこちらを見ていた。
どうしたというのだろう。
『何か面白いことでもあったかい?』
「ああ、いや。お前ら仲いいんだなと思ってな。」
「付き合い長いっスから。」
「そうなのか?」
『まぁ、長いな。というか、気付いたら一緒にいたという感じか。僕らは、孤児なんだ。』
「異能を買われて此処で育ててもらった感じか。」
『そんなかんじだね。』
「でも、よく3人も同じ場所に異能者が集まったな。」
『確かにな。』
思えば、巷間にあまり知られていない異能者が3人も集まるのは奇跡なのかもしれない。
どういった経緯で知り合ったかは記憶にないが、いつも一緒にいたことだけは覚えてる。
「まぁ、奇跡だったって事じゃないっすかね。その縁が今も続いてるんですから。」
『だな。』
そう納得した瞬間、バンッと開く医務室のドア。
開いたドアの先にはエリス嬢が仁王立ちしていた。
「見つけたわよ!西鬼!」
「あー、見つかっちゃいましたか…。」
「これで、ケーキ買ってきてくれるわよね!西鬼の奢りで!」
『それで逃げていたのか。』
「そんな所っス。」
「ほら!行くわよ!」
そういったエリス嬢に手を取られ出ていく西鬼。
財布が無事だといいが。
「俺もそろそろ行くな。」
『そうか。また、怪我したら来てくれよ。怪我してなくても歓迎はするぞ。』
「そうかよ。じゃあな。」
『ああ。』
もうすぐしたら届くであろう遺体を待ちつつ、カルテの整理でもしようか。