綴るのは…。
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目の前を黒い獣が走っていった。
芥川くんだろう。
敵はすべて一掃されてしまった。
「すいません。」
『芥川くんのせいじゃないよ。ほら、あまり休めないかもしれないが、休んだ休んだ。』
近くの柱に彼にもたれるよう促す。
「詩葉、すまない。私が出てくるよ。」
『ああ。了解した。詩音も、持ち場に戻りな。』
「でも!」
『でもじゃない。ほら、行く行く。』
「うん…。」
二人がここから離れると私は芥川くんの方を向いた。
『却説、足を見せて。』
「はい。」
ズボンの裾を上げ、足を見せて貰う。
気付かなかったが、怪我をしているようだ。
『こんなふうに怪我をしたら、きちんといいに来る事。百華の歌。』
手を翳して、治療をする。
淡い光が足を包む。
光が弾けると足は綺麗に治っていた。代わりに僕の足が痛む。
「すいません。」
『こんなんだから、倒れるんだよ。いいね、今度から怪我をしたらきちんと医務室に来ること。』
「はい。」
『しばらくはここで休んでいてくれ。』
立ち上がり、芥川くんの頭をポンポンと撫でる。
本当は純粋ないい子なのだろう。
早く、この戦いが終わればいいのに。
バンッ!
近くにいた敵を撃つ。
異能を使う前に倒される相手側。
それほどマフィアは強力なのだ。
もうそろそろこの戦いも終わりだろう。
たまにやってくる敵を撃ちながら、そう考える。倒れている敵の数はかなり多い。
最後に油断さえしなければ、何事も起こらずに済みそうだ。
『芥川くん、きっともうすぐ終わるから撤退の準備を軽くしておきな。』
「はい。」
きっと、もう頭はとっただろう。
後は、残党の処理だからもう下の人たちに任せても大丈夫かもしれない。
そう思っていると、こちらに太宰さんがやってきた。
「詩葉、そろそろ撤退だ。」
『矢張りか。ありがとう。行こうか、芥川くん。』
「はい。」
よっこらせと立ち上がり、治療器具の入った鞄を持ち上げる。
「皆、そろそろ撤退だ。後は、下の者に任せる。」
太宰さんの声が室内に響く。
室内を後にしようとするとバンッと後ろで1発。
妙に響いた銃声。
何か、嫌な予感がする。
いや。
嫌な予感しかしない。
「中原さん!!」
そう響いたのは詩音の声。
振り向くと、中原さんがぐったりと倒れていた。
まさか。
僕は、詩音の元に走った。
『詩音、中原さんに何があった。』
「お姉ちゃん…。」
1通り、何があったか話してもらいある程度を理解する。
倒れている中原さんを看るとかなりの傷と出血量。
これはやばい。
『中原さんを車に。そこでこのカバンの中にある消毒を使ってある程度消毒してやってくれ。太宰さん、急いで車を回して。』
「あ、ああ。」
そう言うと、何人かに手分けをして対応した。
中原さんを撃った残党の1人はほぼ息も絶え絶えになっている。
下の者がその者のこめかみを撃ち抜いた。
赤が飛び散る。
飛び散った赤を冷たい目で見下ろし、車に走る。
どうか、無事でいてくれ。
関わったことのない彼だったが、そういうのは関係ない。
ただ純粋に、彼の生を願った。
車につくと、言われた通りにされていた中原さんがグッタリとしていた。
仕方ないだろう。あれほどの出血量だ。
『ありがとう。あとは任せてくれ。運転手さん、車を出して。』
そう、一言云って他のものを下げ、車を出してもらう。
乗ってきた時一緒だった2人は他のものに乗せてもらうように言ってあった。
ある程度の緊急治療になるが仕方ない。きちんとした治療は戻ってからだ。
傷のついた肌を見る。古いものから今日ついたであろう生々しい傷。大小様々だ。
こんなにひどいケガをして何故僕の元に来ない。
こんな事に気付けなかった僕にも責任はある。何故、ストップをかけなかった。彼がいなくなれば詩音が悲しむことぐらいわかっていたじゃないか。
『百華の歌。』
そうつぶやき、体中の怪我を治していく。
自分の痛みはどうでもいい。彼を助けなければ、彼は生きなきゃいけない存在。
『百華の歌。』
ズキズキと痛む身体。
彼はこれ以上の痛みを背負っていた。よく、たっていられたなと思う。
ある程度の治療を終える頃に車は拠点に帰ってきた。
中原さんを医務室に運ぶように告げ、僕もそのあとを走る。
何とか走れるが、かなり痛い。
既に包帯は意味をなさなくなってきているだろう。
医務室のベットに中原さんを寝かせ、服を脱がせる。
暗くて良く見えていなかった分の様々なところに傷がある。
ああ、こんなに無理をして。
『…百華の歌』
1つ、深呼吸をしてそう呟いた。
少し大きめに出した声。
翳した手の周りを大きな光が包んだ。
途端、身体中に響く痛み。
気が遠くなる。
『くっそ…あと少し。…もって。』
なんとか意識を繋げながら傷を治す。
全ての傷を治し終える頃、一気に意識が遠のいた。
それと同時に、バン!と開くドアの音。
誰が来たのだろう。そう思いながら僕は目を閉じた。
芥川くんだろう。
敵はすべて一掃されてしまった。
「すいません。」
『芥川くんのせいじゃないよ。ほら、あまり休めないかもしれないが、休んだ休んだ。』
近くの柱に彼にもたれるよう促す。
「詩葉、すまない。私が出てくるよ。」
『ああ。了解した。詩音も、持ち場に戻りな。』
「でも!」
『でもじゃない。ほら、行く行く。』
「うん…。」
二人がここから離れると私は芥川くんの方を向いた。
『却説、足を見せて。』
「はい。」
ズボンの裾を上げ、足を見せて貰う。
気付かなかったが、怪我をしているようだ。
『こんなふうに怪我をしたら、きちんといいに来る事。百華の歌。』
手を翳して、治療をする。
淡い光が足を包む。
光が弾けると足は綺麗に治っていた。代わりに僕の足が痛む。
「すいません。」
『こんなんだから、倒れるんだよ。いいね、今度から怪我をしたらきちんと医務室に来ること。』
「はい。」
『しばらくはここで休んでいてくれ。』
立ち上がり、芥川くんの頭をポンポンと撫でる。
本当は純粋ないい子なのだろう。
早く、この戦いが終わればいいのに。
バンッ!
近くにいた敵を撃つ。
異能を使う前に倒される相手側。
それほどマフィアは強力なのだ。
もうそろそろこの戦いも終わりだろう。
たまにやってくる敵を撃ちながら、そう考える。倒れている敵の数はかなり多い。
最後に油断さえしなければ、何事も起こらずに済みそうだ。
『芥川くん、きっともうすぐ終わるから撤退の準備を軽くしておきな。』
「はい。」
きっと、もう頭はとっただろう。
後は、残党の処理だからもう下の人たちに任せても大丈夫かもしれない。
そう思っていると、こちらに太宰さんがやってきた。
「詩葉、そろそろ撤退だ。」
『矢張りか。ありがとう。行こうか、芥川くん。』
「はい。」
よっこらせと立ち上がり、治療器具の入った鞄を持ち上げる。
「皆、そろそろ撤退だ。後は、下の者に任せる。」
太宰さんの声が室内に響く。
室内を後にしようとするとバンッと後ろで1発。
妙に響いた銃声。
何か、嫌な予感がする。
いや。
嫌な予感しかしない。
「中原さん!!」
そう響いたのは詩音の声。
振り向くと、中原さんがぐったりと倒れていた。
まさか。
僕は、詩音の元に走った。
『詩音、中原さんに何があった。』
「お姉ちゃん…。」
1通り、何があったか話してもらいある程度を理解する。
倒れている中原さんを看るとかなりの傷と出血量。
これはやばい。
『中原さんを車に。そこでこのカバンの中にある消毒を使ってある程度消毒してやってくれ。太宰さん、急いで車を回して。』
「あ、ああ。」
そう言うと、何人かに手分けをして対応した。
中原さんを撃った残党の1人はほぼ息も絶え絶えになっている。
下の者がその者のこめかみを撃ち抜いた。
赤が飛び散る。
飛び散った赤を冷たい目で見下ろし、車に走る。
どうか、無事でいてくれ。
関わったことのない彼だったが、そういうのは関係ない。
ただ純粋に、彼の生を願った。
車につくと、言われた通りにされていた中原さんがグッタリとしていた。
仕方ないだろう。あれほどの出血量だ。
『ありがとう。あとは任せてくれ。運転手さん、車を出して。』
そう、一言云って他のものを下げ、車を出してもらう。
乗ってきた時一緒だった2人は他のものに乗せてもらうように言ってあった。
ある程度の緊急治療になるが仕方ない。きちんとした治療は戻ってからだ。
傷のついた肌を見る。古いものから今日ついたであろう生々しい傷。大小様々だ。
こんなにひどいケガをして何故僕の元に来ない。
こんな事に気付けなかった僕にも責任はある。何故、ストップをかけなかった。彼がいなくなれば詩音が悲しむことぐらいわかっていたじゃないか。
『百華の歌。』
そうつぶやき、体中の怪我を治していく。
自分の痛みはどうでもいい。彼を助けなければ、彼は生きなきゃいけない存在。
『百華の歌。』
ズキズキと痛む身体。
彼はこれ以上の痛みを背負っていた。よく、たっていられたなと思う。
ある程度の治療を終える頃に車は拠点に帰ってきた。
中原さんを医務室に運ぶように告げ、僕もそのあとを走る。
何とか走れるが、かなり痛い。
既に包帯は意味をなさなくなってきているだろう。
医務室のベットに中原さんを寝かせ、服を脱がせる。
暗くて良く見えていなかった分の様々なところに傷がある。
ああ、こんなに無理をして。
『…百華の歌』
1つ、深呼吸をしてそう呟いた。
少し大きめに出した声。
翳した手の周りを大きな光が包んだ。
途端、身体中に響く痛み。
気が遠くなる。
『くっそ…あと少し。…もって。』
なんとか意識を繋げながら傷を治す。
全ての傷を治し終える頃、一気に意識が遠のいた。
それと同時に、バン!と開くドアの音。
誰が来たのだろう。そう思いながら僕は目を閉じた。