会合が行われる場所に入ると予想していたであろう下の人達が僕達を案内してくれた。
女性社員は退避しているらしい。彼らが正しい判断をしてくれて助かったなと思いながらすべての入口を塞ぐように指示する太宰さんを見守る。

パーティー形式で会合を行っているらしい。中にはウヨウヨと異能集団の護衛がいるらしい。
そんなに警戒するなら、ポートマフィアに喧嘩を売らなければいいのに。

馬鹿なことを考える頭だ。

黒蜥蜴の広津さんがドアの前に立った。


｢宜しいですかな？｣


ドアに手を当てそう聞く広津さんに太宰さんは頷く。


｢皆聞こえるか。これより、作戦を開始する。｣


静かな声で太宰さんがそう云うと、広津さんがドアを飛ばした。

ざわめく中の人。
飛ばされたドアによって何人か怪我をおっただろう。


｢会合中失礼するよ。｣

｢くっ！｣


挨拶をしたところで、銃による攻撃を仕掛けられた。


｢それが何よりの証拠だな。皆殺しだ。｣


そう云うとすべてのドアがバン！と開く。
その中には中原さん、詩葉、西鬼の姿もあって、始まることを無理にも自覚しなきゃならなかった。

大怪我だけは負わないようにして欲しい。

銃声の響く室内。
飛び散る赤は、どちらのものかわからなくなってきている。


『百華の歌。』


傷を私に移しまた戦いに行ってしまう人たち。
ズキズキと痛む傷だけれど他の人たちはもっと痛い痛みを受けて居るのだからそんなことを言っていられない。


｢『羅生門』！｣


芥川くんの異能を初めて見るが、充分強いじゃないか。ポンコツだとも聞いていたが、そういうわけじゃなさそうだ。
彼の外套の黒獣が敵を食べるように噛み付いていく。舞い散る赤の液体は黒獣の恐怖をさらに増加させるには十分なものだった。


『太宰さん、芥川くんかなり強いじゃないか。何故、ポンコツだなんて云うんだい？』

｢異能の発動までの時間が長い。一瞬が命取りになるからね。｣

『ふぅん…。』


良く見るとふらついている芥川くんの足下。


『太宰さん、芥川くんにしばらく休みを与えて。ドクターストップだよ。』

｢えー…。｣

『えー、じゃない。このままだと彼倒れる。今すぐ此処に連れてきて。』

｢はーい。｣


渋々と言ったように太宰さんが敵の中をひょいひょいと掻い潜って行く。


『百華の歌』


ちょいちょいとやってくる怪我人を治療する。
ひどい傷だ。


｢！詩葉！後ろ！！｣


太宰さんの声が聞こえる。
銃をホルスターから抜き、後ろにいた敵を撃つ。
赤い血が目の前で飛び散る。


『僕を狙うなんて、頭が悪いなぁ。』


まだ息のある敵の頭を持ち上げ耳元で囁きガンッと、頭を踏み付ける。

知らないうちに囲われて居たようだ。周りには敵が居た。


『かーごめかーごめーかーごのなーかのとーりぃーはーいーついーつでーやぁーるー』

｢後ろの正面、だぁれ？｣


目の前の男の頚動脈を詩音が斬る。


｢お姉ちゃん！無理しないでよ！｣

『詩音、ごめんね。』

｢まったく…。｣

『却説、背中は任せるよ？』

｢了解。｣


銃を構え敵に標準を合わせる。
バンッ！
と、1発。相手の心臓めがけ撃ち込み次の敵に標準を合わせる。
織田作さんと話すようになってから銃のことを色々と教えてもらった。織田作さんほどではないが、銃をどの体制からでも撃てる。
やりたくなかったけど、仕事だ。




『殺られたいのは、どの人かな？』