コードギアス(短編)
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居眠り上司の話。
うちの上司は、時々デスクに突っ伏して寝ていることがある。研究熱心な彼はサボりなんてするはずもなく、これは仕事の効率を高めるための戦略的なお昼寝なのだろうけれど、無防備に眠っている姿を見るのは正直面白い。
今日もまた、ロイドさんはすぴすぴと幸せそうな寝息を立てて眠っていた。最近は特に忙しかったとはいえ、そろそろお昼休みも終わりそうだし、上司が眠っているようじゃ作業も進まない。仕方なく私はロイドさんの顔を覗き込んだ。
「ロイドさーん……?」
まだ少しだけ休憩時間が残っていることを確認し、椅子に座って眠る彼の隣で頬杖をつく。そしてまじまじと、無遠慮に上司を観察してみた。普段は眼鏡をかけているのもあって目立たないけれど、思ったより睫毛が長いなあとか、唇も綺麗だし口角がきゅっと上がっていて可愛らしいなあとか、それくらいの感想しか出てこないけれど。
「ほんと、黙ってればかっこいいんだけどなぁ」
思わず独り言が出るくらいには整った容姿をしていると思う。この人は自分の魅力に気づいていないどころか、その奇人ぶりで他人を遠ざけている節すらあるのが勿体無い。
「ロイドさん、起きてくださいよ」
「んん……」
軽く身体を揺さぶっても、一向に起きる気配がない。相変わらずの綺麗な容姿を意に介さず、緩みきった表情で眠りこけている。なんだか憎く思えてきて、頬を指でつついた。
キメの細かい肌に、指がもにょりと沈んでいく。柔らかい。普段から表情がころころ変わるからこそ、表情筋が柔らかいのだろうか。下手したら私の頬より柔らかいんじゃないか。そんなことを考えながらぷにぷにと無心で触れていると、ロイドさんが小さく身じろぎをした。ううん、とかなんとか呟きながら頭を持ち上げる彼に、指を急いで引っ込めて声をかける。
「おはようございます、ロイドさん」
「ん……あぁ、おはよぉ……」
デスクに置いてある眼鏡を手探りで取り、寝ぼけ眼のまま私を見つめたロイドさんは、普段よりふわふわした表情のまま首を傾げた。
「……夢主くん、なんで僕の隣に?」
「ロイドさんのこと起こしに来たんです」
「それにしては、随分遊んでたじゃないの」
悪戯っぽく笑う彼を見て確信した。これは完全にバレている。
「いや、あのですね……これはちょっと興味本位でというか」
「へぇ、興味があるんだ」
そんなわけ、と否定しようとした私に、ロイドさんはずいと距離を詰めてくる。逃れようと後ずさりした私を両腕で捕まえて、耳元に顔を寄せてきた。
「やられっぱなしじゃあ、つまんないよねぇ」
突然の言葉に驚いて身を強張らせたけれど、お構い無しにそのまま唇を奪われる。触れるだけの軽いキスだけれど、状況を理解するには十分すぎる衝撃だった。
「な、……」
「隙だらけだよ、君も」
満足げに微笑む彼を前に、私は言葉を失うしかなかった。