コードギアス(短編)
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居候上司の話。
ゼロレクイエム後、私たち特派は公職を追われる羽目になってしまった。私はなんとか別の仕事を見つけ、安いアパートを借りて何とか生活していたけれど、ロイドさんに至っては奇天烈な性格も相まってそう上手く行かなかったらしい。爵位制度も崩壊し、放浪するしかなくなったロイドさんを一時保護したはいいけれど……
「あ、夢主くんおかえりぃ」
仕事を終えて家に帰ると、電気の点いているリビングから間の抜けた声が聞こえてくる。
「……またうちに上がり込んでるんですか、ロイドさん」
そう、ロイドさんはその後も定期的に私の家に押しかけてくるようになったのだ。セシルさんの協力もあって、今は研究に打ち込める環境が整っているらしいのだけれど、何故か私の家にほぼ毎晩上がり込んでくる。こんなんじゃほぼ居候に近い。
「だってここ、研究室から一番近いしねぇ」
「だからってずっと住まれても困るんですけど。セシルさんに言いつけますよ」
「ひゃ〜、こわいこわぁい」
ロイドさんは身体を縮めて怯えるジェスチャーをしたけれど、顔は全く怖がっていない様子でへらへらと笑っている。
実際、一時とはいえ保護したのは私だし、ロイドさんの境遇を考えると強く追い出せない部分もあるけれど、それでも単身用の賃貸に二人で住むとなると狭くて仕方がない。事実、強く言えていないから惰性で半年近く居候されているわけだし、一人暮らしなら満足すぎるくらい広々としたワンルームは、ロイドさんの荷物や布団で圧迫されている。
「だいたい、一人暮らし用の物件なんですからね、ここ。大家さんにバレたら引越しする羽目になりますよ」
「そんなのバレなきゃいい話じゃない。今までバレてないんだし」
「バレたってバレなくたって、そのうち出ていってもらいますからね」
「そんなにカリカリしないでったら。ほら、僕も家賃は払うから、いっそのこと大家さんにバレる前にさぁ、もう少し広い部屋に引っ越さなぁい?」
「なんで一緒に住むこと前提なんですか」
また適当なこと言ってはぐらかそうとしてるな、なんて思っていたけれど、ふとロイドさんの顔を見ると、思ったよりしんみりした表情をしている。
「君が居ないと寂しいからねぇ。本当は一緒に研究がしたかったんだけど、仕事を辞めさせてまで研究室に引きずり込むのは困るだろうから」
「だからって家に住み続けることないでしょう」
「あはぁ、それはただ単に君の料理とかが気に入ってるだけ」
確かに私の料理を食べているロイドさんは幸せそうだけど、それとこれとは話が違う。そう言おうとする前にロイドさんは私の目をじっと見つめて、それから満面の笑みで言い放った。
「それと、引っ越すのに赤の他人ふたりで同じ部屋に住むなんて言えないからねぇ。結婚しよっか!」
「えっ!!??」
ロイドさんが私のことを気に入っているのも、同じ研究が出来なくなって寂しいのも伝わったけれど、まさか結婚まで言われると思わなくて、思わず間抜けな声を漏らしてしまう。そんな私を見てロイドさんはけらけら笑っているけれど、いつもより少しだけ耳が赤い。きっと冗談なんかじゃないんだ、と気がついた瞬間にみるみる顔が真っ赤になった。
「あ、保留でもいいけどぉ? 事実婚でも不動産屋さんはきっと……」
「せ、せめて恋人からじゃダメですか?」
「そう? てっきり僕のことが好きだからずっと泊めてくれてるんだと思ってたけど」
「……とりあえず保留で!今回の話は保留です!」
ロイドさんは私の反応を楽しむように茶化してくるけれど、どこか安堵の表情が滲み出ているような気がした。その翌月、ロイドさんとお揃いの指輪を光らせて、仲良く不動産屋に行くことになるのは、また別のお話。
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