第一話
数日後
「ハルキー、準備はできた?」
ユーヒの声が部屋に響く。まとめた荷物を手にしながらもう一度、自分が生活していた部屋を見回す。目を覚ましたら記憶がなくなっていた自分を、優しく見守ってくれた人々との思い出の部屋。自分を思い出すきっかけになった、引き出しにあった24色の色鉛筆はカバンの中にある。ユキが持たせてくれたのだった。
「ハルキー?」
扉の傍にユーヒが立っているのが分かる。
「大丈夫?」
「…はい…、大丈夫です」
頬を伝う涙を拭い、荷物を持って振り返る。
「じゃあ行こう」
ユーヒは微笑んで、ハルキを外へと促した。
外には、一緒に旅立つジュンたちと、リュウ、ユキの姿があった。
「見送りに来たよ」
ユキが微笑んだ。ハルキはユーヒにマントを渡され、それを身に付けると仲間たちに向き直った。
「…皆には、今までとてもお世話になりました。…色々と、気遣ってくれたり、教えてくれたり…その…、ありがとう」
また浮かんできた涙を無視して笑った。
「泣かないでも、お前は帰ってくるんだろ?」
リュウが笑って頭を撫でる。
「先生が一番心配してたくせに」
ユキがニコニコしてそう言う。
「…そろそろ行きます。皆ありがとうございました。本当に…。ちゃんと帰ってくるから、その時はまた…」
ハルキは袖で涙を拭い取り、
「その時はまた、僕に沢山の事を教えてください」
高らかに言った。
「もちろんだよ」
リュウとユキが笑った。
「…行ってきます」
「ハルキー、準備はできた?」
ユーヒの声が部屋に響く。まとめた荷物を手にしながらもう一度、自分が生活していた部屋を見回す。目を覚ましたら記憶がなくなっていた自分を、優しく見守ってくれた人々との思い出の部屋。自分を思い出すきっかけになった、引き出しにあった24色の色鉛筆はカバンの中にある。ユキが持たせてくれたのだった。
「ハルキー?」
扉の傍にユーヒが立っているのが分かる。
「大丈夫?」
「…はい…、大丈夫です」
頬を伝う涙を拭い、荷物を持って振り返る。
「じゃあ行こう」
ユーヒは微笑んで、ハルキを外へと促した。
外には、一緒に旅立つジュンたちと、リュウ、ユキの姿があった。
「見送りに来たよ」
ユキが微笑んだ。ハルキはユーヒにマントを渡され、それを身に付けると仲間たちに向き直った。
「…皆には、今までとてもお世話になりました。…色々と、気遣ってくれたり、教えてくれたり…その…、ありがとう」
また浮かんできた涙を無視して笑った。
「泣かないでも、お前は帰ってくるんだろ?」
リュウが笑って頭を撫でる。
「先生が一番心配してたくせに」
ユキがニコニコしてそう言う。
「…そろそろ行きます。皆ありがとうございました。本当に…。ちゃんと帰ってくるから、その時はまた…」
ハルキは袖で涙を拭い取り、
「その時はまた、僕に沢山の事を教えてください」
高らかに言った。
「もちろんだよ」
リュウとユキが笑った。
「…行ってきます」
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