舞い降りたモノ
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デスマスクにシルフィの事を言われてから数日後。時折その事について考えることがあったが、手放したくないこの気持ちは憐れみからきているのだ、と無理に自分を納得させていた。
いつものように朝起きて、シルフィと顔を合わせてから食事を取り、任務に向かう。何時しか任務に向かう前に磨羯宮入り口でシルフィの頭を撫でるのが日課になり、それを嬉しそうに受け入れる彼女。ここで一つの疑問が浮かんだ。シルフィは自分の事を一体どう思っているのだろうか。
身を寄せる宛が無く、ただ現段階での仮の居場所としてここに仕えているのだろうか。それはそれで構わない。ただ、彼女が幸せであるのならば、自分の気持ちなど関係ない。
いつものように支度を整え、任務に向かおうと磨羯宮入口へと歩いて行くシュラ。その後ろをシルフィが付いてくるのがいつもの見送りだった。コツコツと聖衣の足音が響く廊下で、シュラが足を止めて振り返ろうとしたその時、彼の体は後ろから抱きついてきたシルフィによって制された。
「旦那様…今まで本当に…本当に…」
段々と震える声は小さくなっていき、背中から前へと回された腕は力一杯抱き締められている。抱き締める腕が震え、軽く乱れる呼吸に、振り返って抱き締めたくなったシュラだったが、何故か見てはいけないような気がして足を止めたままシルフィの体温を背中で感じる。
いつかはこの時がくるとは思っていたが、それはあまりにも唐突過ぎて、シュラの感情が付いてこない。喉の奥を締め付けられるような苦しさは、一体何から来るものなのか。
「私…旦那様には生きて欲しいんです…。私がここにいると…だから…」
「…そうか…」
苦しさの奥でようやく発した言葉はあまりにも素っ気ないものだった。シルフィがここから出ていく。仮に引き留めた所で、それは彼女の望んだものではない。ならばこれ以上心残りがないよう、自己防衛の為の言葉でもあった。
抱き締める腕が緩められると、シュラは一度も振り返ることなく磨羯宮を後に任務へと向かった。
任務を終えたシュラが磨羯宮へと戻ってくると、料理の匂いが奥から漂っている。僅かな期待を胸に聖衣を脱ぐのも忘れキッチンへと走ったシュラだったが、その期待虚しくキッチンには誰もいない。ただ、湯気の立つ鍋とテーブルに一枚の手紙が置かれている。シュラは手紙を手に取った。
そこにはシルフィの字で今までの礼を述べた言葉が綴られており、手紙の端は濡れて乾ききらない跡がポツポツと残っている。つい先ほどまでここに居たであろうシルフィの残り香を握り締めるとシュラは椅子に倒れこむように腰かけ、深くため息をついた。
今からでも追いかけて探せば間に合うだろうか。一瞬そんな考えが頭を過ったが、シルフィは自分の意思でここを出ていったのだ。何か理由があったに違いない。それを己の理由だけで引き留めるなど、シュラの性格上できるはずがないのだ。
静まりきったキッチンに再びシュラのため息が響いた。
いつものように朝起きて、シルフィと顔を合わせてから食事を取り、任務に向かう。何時しか任務に向かう前に磨羯宮入り口でシルフィの頭を撫でるのが日課になり、それを嬉しそうに受け入れる彼女。ここで一つの疑問が浮かんだ。シルフィは自分の事を一体どう思っているのだろうか。
身を寄せる宛が無く、ただ現段階での仮の居場所としてここに仕えているのだろうか。それはそれで構わない。ただ、彼女が幸せであるのならば、自分の気持ちなど関係ない。
いつものように支度を整え、任務に向かおうと磨羯宮入口へと歩いて行くシュラ。その後ろをシルフィが付いてくるのがいつもの見送りだった。コツコツと聖衣の足音が響く廊下で、シュラが足を止めて振り返ろうとしたその時、彼の体は後ろから抱きついてきたシルフィによって制された。
「旦那様…今まで本当に…本当に…」
段々と震える声は小さくなっていき、背中から前へと回された腕は力一杯抱き締められている。抱き締める腕が震え、軽く乱れる呼吸に、振り返って抱き締めたくなったシュラだったが、何故か見てはいけないような気がして足を止めたままシルフィの体温を背中で感じる。
いつかはこの時がくるとは思っていたが、それはあまりにも唐突過ぎて、シュラの感情が付いてこない。喉の奥を締め付けられるような苦しさは、一体何から来るものなのか。
「私…旦那様には生きて欲しいんです…。私がここにいると…だから…」
「…そうか…」
苦しさの奥でようやく発した言葉はあまりにも素っ気ないものだった。シルフィがここから出ていく。仮に引き留めた所で、それは彼女の望んだものではない。ならばこれ以上心残りがないよう、自己防衛の為の言葉でもあった。
抱き締める腕が緩められると、シュラは一度も振り返ることなく磨羯宮を後に任務へと向かった。
任務を終えたシュラが磨羯宮へと戻ってくると、料理の匂いが奥から漂っている。僅かな期待を胸に聖衣を脱ぐのも忘れキッチンへと走ったシュラだったが、その期待虚しくキッチンには誰もいない。ただ、湯気の立つ鍋とテーブルに一枚の手紙が置かれている。シュラは手紙を手に取った。
そこにはシルフィの字で今までの礼を述べた言葉が綴られており、手紙の端は濡れて乾ききらない跡がポツポツと残っている。つい先ほどまでここに居たであろうシルフィの残り香を握り締めるとシュラは椅子に倒れこむように腰かけ、深くため息をついた。
今からでも追いかけて探せば間に合うだろうか。一瞬そんな考えが頭を過ったが、シルフィは自分の意思でここを出ていったのだ。何か理由があったに違いない。それを己の理由だけで引き留めるなど、シュラの性格上できるはずがないのだ。
静まりきったキッチンに再びシュラのため息が響いた。