舞い降りたモノ
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再び眠るように意識が途絶えたシルフィを残して、三人は磨羯宮の中のいつも自分達が使う部屋の椅子へ座っていた。
「先に聖衣を脱いでくる」
そう言ってシュラは二人を残して一人部屋を出ていった。その姿を見送った二人はシュラの聖衣がいつもと違う輝きをしているような気がしたが、そんなことよりも彼が拾ってきたという女の事の方が重要だった。
「あれは一体何だ?」
デスマスクの口から出たのは正直な感想だった。その疑問は三人とも思っていたし、もしこの場に違う聖闘士がいたのであれば、その聖闘士だって同じことを思うはずだ。
人体に効く筈の止血が効かず、三人がかりでようやく効果を現した女の体は一体何なのか。そもそもなぜこんな所に落ちていたのか。
「人間じゃないとしたら天使、かな」
「バカ言え」
鼻で笑うデスマスクにアフロディーテも釣られて笑った。勿論、アフロディーテとて本気で言ってる訳では無かった。ただ、人間とも一概に思い難い存在だということは心の何処かで思っていたのは事実だった。
そうこう言っているうちに再び部屋のドアが開き、聖衣を脱いで着替えてきたシュラが入ってきた。
「またムウに修理を出さないとな…」
「聖衣、損傷してるようには見えねぇけどな」
「損傷はしていないが…どうもしっくりこない」
「君にしては曖昧だね」
「俺もどういう訳かさっぱり…。それより」
言葉を遮ってシュラは椅子に座った。
「アレの事だが…」
「名前で呼んであげなよ。自分がつけたんだし」
人間に名付けなど今まで経験がないシュラはどうも名前で呼ぶ事に少し抵抗があった。が、呼ばれる名前が無い悲しみよりは後付けの名前であってもそちらの方がいいに決まっている。シュラは観念したかのように小さなため息をついた。
「でもよ、なんでこんな場所に落ちてんだ?」
「俺が知るか。任務から帰ってきたら草葉の影が光っててそこに落ちていた」
「光って?」
同時に食いついた二人に、シュラはこれまでのいきさつを詳しく説明した。
任務終わり磨羯宮へと帰っている最中草が光り、その光りに包まれていたのがシルフィだったこと。その回りの草花があり得ない早さで成長し、光り輝いて彼女の傷を癒そうとするかのように纏わりついていたこと。そして、外で倒れていた時のシルフィはブロンドの髪にオッドアイであったこと。
見たまま、あるがままを話したシュラだったが、いざ口にしてみると何一つとして現実味がない話しだった。黙って話しを聞いていた二人も現実では想像できない出来事ばかりだと思ったが、実際小宇宙による止血が効いていない現状を目の当たりにして、シュラの話を信用するほか無かった。
「で、どうするんだよ」
「どうするって…」
「敵って訳じゃあなさそうだね」
「傷が癒えるまではここに置いて監視しようと思う。また宮の前で倒れられても困るしな」
それでは拾った意味がない、とシュラは頭をかるく振った。それに外で意識を手放す前に言った一言も気になる。
「傷が癒えたら色々聞き出そうと思う」
「その時はちゃんと教えろよ」
自分の理解を越えた存在にデスマスクは何としてでも情報を知りたかった。あいつは人間なのか、はたまたこの世の者ではないのか。単なる興味からだったが、滅多にみれるものではない出来事だ。これ以上の面白いことはなかった。
「まぁ、名前も無かったみたいだしデスの思っている楽しいことでは無いのかもしれないけどね」
「あー、今丁度街に何か来てるしなぁ」
二人が言っているのはきっと見世物行商のことだろう。生まれつき体に欠損や特徴があるものを商品として扱う、人間の倫理に反したシュラの嫌う一座だ。彼らは彼らなりに人間として扱っているとは言っているがそれが真実かどうかは解っていない。
しかし、もしシルフィがその一座だとしたらオッドアイも正直、納得がいく。透けるようなブロンドも、左右目の色が違う宝石の様なオッドアイも見る人が違えば忌み嫌われるのかもしれない。
「その可能性は、あるのかもしれないな」
もしそうだとして、シルフィの傷が癒えた時、自分はどうすればいいのだろうか。見世物行商から逃げてきたのだとしたら何か訳があるのだろうし、その場所に再び連れ戻すというのも酷だろう。シュラは新たな問題に頭を抱えた。
「先に聖衣を脱いでくる」
そう言ってシュラは二人を残して一人部屋を出ていった。その姿を見送った二人はシュラの聖衣がいつもと違う輝きをしているような気がしたが、そんなことよりも彼が拾ってきたという女の事の方が重要だった。
「あれは一体何だ?」
デスマスクの口から出たのは正直な感想だった。その疑問は三人とも思っていたし、もしこの場に違う聖闘士がいたのであれば、その聖闘士だって同じことを思うはずだ。
人体に効く筈の止血が効かず、三人がかりでようやく効果を現した女の体は一体何なのか。そもそもなぜこんな所に落ちていたのか。
「人間じゃないとしたら天使、かな」
「バカ言え」
鼻で笑うデスマスクにアフロディーテも釣られて笑った。勿論、アフロディーテとて本気で言ってる訳では無かった。ただ、人間とも一概に思い難い存在だということは心の何処かで思っていたのは事実だった。
そうこう言っているうちに再び部屋のドアが開き、聖衣を脱いで着替えてきたシュラが入ってきた。
「またムウに修理を出さないとな…」
「聖衣、損傷してるようには見えねぇけどな」
「損傷はしていないが…どうもしっくりこない」
「君にしては曖昧だね」
「俺もどういう訳かさっぱり…。それより」
言葉を遮ってシュラは椅子に座った。
「アレの事だが…」
「名前で呼んであげなよ。自分がつけたんだし」
人間に名付けなど今まで経験がないシュラはどうも名前で呼ぶ事に少し抵抗があった。が、呼ばれる名前が無い悲しみよりは後付けの名前であってもそちらの方がいいに決まっている。シュラは観念したかのように小さなため息をついた。
「でもよ、なんでこんな場所に落ちてんだ?」
「俺が知るか。任務から帰ってきたら草葉の影が光っててそこに落ちていた」
「光って?」
同時に食いついた二人に、シュラはこれまでのいきさつを詳しく説明した。
任務終わり磨羯宮へと帰っている最中草が光り、その光りに包まれていたのがシルフィだったこと。その回りの草花があり得ない早さで成長し、光り輝いて彼女の傷を癒そうとするかのように纏わりついていたこと。そして、外で倒れていた時のシルフィはブロンドの髪にオッドアイであったこと。
見たまま、あるがままを話したシュラだったが、いざ口にしてみると何一つとして現実味がない話しだった。黙って話しを聞いていた二人も現実では想像できない出来事ばかりだと思ったが、実際小宇宙による止血が効いていない現状を目の当たりにして、シュラの話を信用するほか無かった。
「で、どうするんだよ」
「どうするって…」
「敵って訳じゃあなさそうだね」
「傷が癒えるまではここに置いて監視しようと思う。また宮の前で倒れられても困るしな」
それでは拾った意味がない、とシュラは頭をかるく振った。それに外で意識を手放す前に言った一言も気になる。
「傷が癒えたら色々聞き出そうと思う」
「その時はちゃんと教えろよ」
自分の理解を越えた存在にデスマスクは何としてでも情報を知りたかった。あいつは人間なのか、はたまたこの世の者ではないのか。単なる興味からだったが、滅多にみれるものではない出来事だ。これ以上の面白いことはなかった。
「まぁ、名前も無かったみたいだしデスの思っている楽しいことでは無いのかもしれないけどね」
「あー、今丁度街に何か来てるしなぁ」
二人が言っているのはきっと見世物行商のことだろう。生まれつき体に欠損や特徴があるものを商品として扱う、人間の倫理に反したシュラの嫌う一座だ。彼らは彼らなりに人間として扱っているとは言っているがそれが真実かどうかは解っていない。
しかし、もしシルフィがその一座だとしたらオッドアイも正直、納得がいく。透けるようなブロンドも、左右目の色が違う宝石の様なオッドアイも見る人が違えば忌み嫌われるのかもしれない。
「その可能性は、あるのかもしれないな」
もしそうだとして、シルフィの傷が癒えた時、自分はどうすればいいのだろうか。見世物行商から逃げてきたのだとしたら何か訳があるのだろうし、その場所に再び連れ戻すというのも酷だろう。シュラは新たな問題に頭を抱えた。