舞い降りたモノ
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黄金聖闘士十二人全てが揃い、教皇の間へ並ぶ姿は圧巻だった。全てが見渡せる高座の一番上に重厚な玉座に座るアテナの前に、全ての黄金聖闘士は緊張の中意識を集中する。
「率直に言います」
よく通るアテナの声が部屋に響き、聖闘士達に緊張が走る。
「これから間も無く戦いが始まります」
黄金全てを集めて言われたこの言葉の重さを皆は知っている。しかし聖戦が終着したのはつい最近の事だ。再び聖戦が起きるには余りにも早すぎる。
「これは聖戦ではありません。神であるユグドラシルを守る為の戦いです」
アテナの言葉と共に玉座の後ろから出てきた人物に、シュラ、デスマスク、アフロディーテは目を疑った。そこにはブロンドの髪にオッドアイの姿のシルフィが銀の聖杯を持って立っていたのだ。
酸欠になったかのように口を何度も開くシュラ。再び会えるとは思ってもいなかったが、余りにも予想にしなかった事に今までの記憶が一気に脳裏に写された。
「ユグドラシルは生命の神。故に死の神タナトスに狙われ続け、その度に自ら命を絶ち世界の破滅を防いで来たのです。もうそんなこと、同じ神として私が絶ち切ります」
語尾強く言い放ったアテナの声が響く。主であるアテナがそう決めた以上、聖闘士達に選択肢はない。この負の連鎖を絶ちきるために命をかけて戦わねばならないのだ。
シルフィは聖杯を抱え、一歩一歩ふらつきながら聖闘士達へと歩みを進めた。そして深々と頭を下げると口を開いた。
「私は自ら戦う術を持っていません。もし、私に力を貸して頂けるのならば、この血を使って下さい」
自らの血が入った聖杯を床へ静かに置いたシルフィは膝を付き両手を前で組むと何か呪文を唱え始めた。呪文と共に淡く光だした聖杯の中身は金色へと色を変え、強大な小宇宙の渦を巻いていた。
「これで聖衣の強化はできる筈です。私にはこれくらいのことしかー」
言い終わらないうちにシルフィは気を失い、アテナが慌てて駆け付けた。神とて一度に大量の血が失われれば死の危険がある。アテナが小宇宙を送りこむと、朦朧としながらもシルフィは僅かに目を開けて皆に微笑んだ。
「シュラ、デスマスク、アフロディーテ。貴方達三人をユグドラシルの護衛に任命します。こちらへ」
アテナに呼ばれ駆け付けた三人は未だ信じられない様子で横たわるシルフィを見つめる。髪色や目の色が違うものの、その声や顔はシルフィそのものだった。
「奥の部屋に結界を張ってあります。今日から貴方達三人はユグドラシルの聖闘士として、彼女を守るように」
シルフィを支えるアテナに向かって膝を付き忠誠を誓う三人。
「おねがい、しま、す」
アテナの腕の中で呼吸荒く途切れ途切れに言ったシルフィは三人に微笑みかける。神であるのにそれを感じさせない、良く知った笑みに三人はどこか安心した。
アテナの結界が張られた部屋にシルフィを運び、ベッドへ寝かせる。あの日、磨羯宮の前に落ちていた時と同じだな、と頭の片隅で思い出しながらシュラはシルフィの頭をそっと撫でた。数日間触れることの出来なかった、否、もう二度と触れることなどできないと思っていた滑るような感触に、指先が喜んでいるようだった。
まさか、あの日拾ったモノが神だったなんて。そんなこと、一体だれが想像つくというのだろうか。神と知らなかったとはいえ、あのような口をきき、あまつさえ侍女として自分の元で働かせていたのだ。普通に考えて何かしらのお咎めがあってもおかしくない。
しかし特に何も咎められる事なく、以前からシルフィと面識がある自分たち三人が護衛に任命された。恐らくシルフィが何か言ったに違いないが、それを確かめた所でどうなるわけでもない。
あの日シルフィが自分の元から姿を消した時から確証していた気持ちは、今となっては叶う事も無くなってしまった。何故なら彼女は神だから。ならば、今度は二度と離れぬよう護衛として任務を全うするだけだ。
シュラは己の気持ちを固く閉じ込め、拳を握った。
「率直に言います」
よく通るアテナの声が部屋に響き、聖闘士達に緊張が走る。
「これから間も無く戦いが始まります」
黄金全てを集めて言われたこの言葉の重さを皆は知っている。しかし聖戦が終着したのはつい最近の事だ。再び聖戦が起きるには余りにも早すぎる。
「これは聖戦ではありません。神であるユグドラシルを守る為の戦いです」
アテナの言葉と共に玉座の後ろから出てきた人物に、シュラ、デスマスク、アフロディーテは目を疑った。そこにはブロンドの髪にオッドアイの姿のシルフィが銀の聖杯を持って立っていたのだ。
酸欠になったかのように口を何度も開くシュラ。再び会えるとは思ってもいなかったが、余りにも予想にしなかった事に今までの記憶が一気に脳裏に写された。
「ユグドラシルは生命の神。故に死の神タナトスに狙われ続け、その度に自ら命を絶ち世界の破滅を防いで来たのです。もうそんなこと、同じ神として私が絶ち切ります」
語尾強く言い放ったアテナの声が響く。主であるアテナがそう決めた以上、聖闘士達に選択肢はない。この負の連鎖を絶ちきるために命をかけて戦わねばならないのだ。
シルフィは聖杯を抱え、一歩一歩ふらつきながら聖闘士達へと歩みを進めた。そして深々と頭を下げると口を開いた。
「私は自ら戦う術を持っていません。もし、私に力を貸して頂けるのならば、この血を使って下さい」
自らの血が入った聖杯を床へ静かに置いたシルフィは膝を付き両手を前で組むと何か呪文を唱え始めた。呪文と共に淡く光だした聖杯の中身は金色へと色を変え、強大な小宇宙の渦を巻いていた。
「これで聖衣の強化はできる筈です。私にはこれくらいのことしかー」
言い終わらないうちにシルフィは気を失い、アテナが慌てて駆け付けた。神とて一度に大量の血が失われれば死の危険がある。アテナが小宇宙を送りこむと、朦朧としながらもシルフィは僅かに目を開けて皆に微笑んだ。
「シュラ、デスマスク、アフロディーテ。貴方達三人をユグドラシルの護衛に任命します。こちらへ」
アテナに呼ばれ駆け付けた三人は未だ信じられない様子で横たわるシルフィを見つめる。髪色や目の色が違うものの、その声や顔はシルフィそのものだった。
「奥の部屋に結界を張ってあります。今日から貴方達三人はユグドラシルの聖闘士として、彼女を守るように」
シルフィを支えるアテナに向かって膝を付き忠誠を誓う三人。
「おねがい、しま、す」
アテナの腕の中で呼吸荒く途切れ途切れに言ったシルフィは三人に微笑みかける。神であるのにそれを感じさせない、良く知った笑みに三人はどこか安心した。
アテナの結界が張られた部屋にシルフィを運び、ベッドへ寝かせる。あの日、磨羯宮の前に落ちていた時と同じだな、と頭の片隅で思い出しながらシュラはシルフィの頭をそっと撫でた。数日間触れることの出来なかった、否、もう二度と触れることなどできないと思っていた滑るような感触に、指先が喜んでいるようだった。
まさか、あの日拾ったモノが神だったなんて。そんなこと、一体だれが想像つくというのだろうか。神と知らなかったとはいえ、あのような口をきき、あまつさえ侍女として自分の元で働かせていたのだ。普通に考えて何かしらのお咎めがあってもおかしくない。
しかし特に何も咎められる事なく、以前からシルフィと面識がある自分たち三人が護衛に任命された。恐らくシルフィが何か言ったに違いないが、それを確かめた所でどうなるわけでもない。
あの日シルフィが自分の元から姿を消した時から確証していた気持ちは、今となっては叶う事も無くなってしまった。何故なら彼女は神だから。ならば、今度は二度と離れぬよう護衛として任務を全うするだけだ。
シュラは己の気持ちを固く閉じ込め、拳を握った。
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