舞い降りたモノ
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任務を終えたシュラは教皇の間から自身の守護する宮へと歩いていた。それはいつも見慣れた道…ではなく、視界の端にぼんやりと光りを放ち花が咲き乱れる場所が映った。
ーあれは何だ?
ただ純粋な疑問を持ったシュラは視界の端から見える場所へと進む進路を変更し、そちらへと歩いていく。
「…女?」
歩いていくと段々と明確になる「それ」は人の形をしていて倒れ込んだかのように寝転がっている。行き倒れかとも思ったが、それは誰がどう見ても普通の光景ではなかった。
倒れた女の周りには草花が成長し、伸びた葉先が女の周りを包むように光っていたのだ。足を進めるうちに周りに小鳥が集まって来ていたのか、シュラの足音に一斉に小鳥が飛び立った。
目の前の不思議な光景にシュラは無視するわけにもいかず、よくよく女を見てみると倒れ込んだ腕には傷を負っている。その傷は深いのか血が地面まで伝い、止まる気配は一向に無かった。
「おい、大丈夫か」
シュラの言葉にピクリと反応した女はそろそろと上半身を起こして目を開き、その光景にシュラはどきりとした。開いた女の目は左右色が違い、髪は白に近いブロンド。透けて見えるのではないかと思う程肌は白かったからだ。
オッドアイの人間なんてそうそう居るものではない。近場で居るのであれば少なからず噂にはなっているはずだ。そんな噂は耳にしたことがないし、それにここは聖域。しかも教皇の間に近い、ともなれば一般人が入ってくるなんてあり得ない。そうすると、一体これは何なんだ。
「…私を」
色々な疑問が頭を駆け巡るシュラに女は口を開いた。
「殺して…」
聞き間違いかと耳を疑ったシュラだったが、聞き直すことはできなかった。女は言い終わると同時に再び気を失い地面に突っ伏したのだ。
周りのぼんやりと光っていた草花からは光が消え、白に近いブロンドの髪は真っ黒になっている。これは夢かと疑うシュラだったが、白い肌に鮮やかすぎる鮮血が現実に引き戻した。
倒れている女の傷口に手をかざし、己の小宇宙を集める。小宇宙を応用した止血。戦いの中では多いに役立つ術だ。高められた小宇宙を近付け、裂けた血管を塞ぐこの応用術は黄金聖闘士だからこそできる業である。もうしばらくしたらこの流れる血も止まるはずだ。
「……どういうことだ」
予想だにしない出来事に思わずシュラの口から言葉が漏れた。いつもならもう止まってもいいはずの出血が一向に止まらない。自分の小宇宙が弱まっているのかと一瞬疑ったが、先程任務を終えたばかりだ。それはない。
さらに送る小宇宙を強めて止血を試みるシュラだったが、己の疲労に反して出血が止まる事はなかった。
こんな場所で放っておけばいずれこの女は死ぬだろう。そんな事になっては余計に面倒だ。それになぜ小宇宙が効かないのかも気になる。
面倒だが、女を一度宮へと連れて帰る事にしたシュラは女を抱き上げた。抱き抱えた女の血が付いた地面には草花が生い茂り、命輝くように青々としている。不可解な出来事ばかりが先程から起こっているが、兎に角今はこの女の治療が優先だ。詳しい事は後から聞けばいいだろう。
生い茂る緑を後に、シュラは目の前に見えている磨羯宮へと足を運んだ。
磨羯宮へと戻り空いているベッドへと女を運んだシュラだったが、改めて女を見ると次から次へと疑問が沸いて出てくる。色々問いたい事は山ほどあるのだが、まずはこの怪我をなんとかしなければならない。
怪我の根本からキツく縛り応急処置をしているが、いくらかマシにはなった程度で、完全に止血はされていないのだ。普通の人体ならばもう血が止まってもおかしくない。自分の理解を越えた出来事に、シュラは小宇宙で友人達に助けを求めた。
ーあれは何だ?
ただ純粋な疑問を持ったシュラは視界の端から見える場所へと進む進路を変更し、そちらへと歩いていく。
「…女?」
歩いていくと段々と明確になる「それ」は人の形をしていて倒れ込んだかのように寝転がっている。行き倒れかとも思ったが、それは誰がどう見ても普通の光景ではなかった。
倒れた女の周りには草花が成長し、伸びた葉先が女の周りを包むように光っていたのだ。足を進めるうちに周りに小鳥が集まって来ていたのか、シュラの足音に一斉に小鳥が飛び立った。
目の前の不思議な光景にシュラは無視するわけにもいかず、よくよく女を見てみると倒れ込んだ腕には傷を負っている。その傷は深いのか血が地面まで伝い、止まる気配は一向に無かった。
「おい、大丈夫か」
シュラの言葉にピクリと反応した女はそろそろと上半身を起こして目を開き、その光景にシュラはどきりとした。開いた女の目は左右色が違い、髪は白に近いブロンド。透けて見えるのではないかと思う程肌は白かったからだ。
オッドアイの人間なんてそうそう居るものではない。近場で居るのであれば少なからず噂にはなっているはずだ。そんな噂は耳にしたことがないし、それにここは聖域。しかも教皇の間に近い、ともなれば一般人が入ってくるなんてあり得ない。そうすると、一体これは何なんだ。
「…私を」
色々な疑問が頭を駆け巡るシュラに女は口を開いた。
「殺して…」
聞き間違いかと耳を疑ったシュラだったが、聞き直すことはできなかった。女は言い終わると同時に再び気を失い地面に突っ伏したのだ。
周りのぼんやりと光っていた草花からは光が消え、白に近いブロンドの髪は真っ黒になっている。これは夢かと疑うシュラだったが、白い肌に鮮やかすぎる鮮血が現実に引き戻した。
倒れている女の傷口に手をかざし、己の小宇宙を集める。小宇宙を応用した止血。戦いの中では多いに役立つ術だ。高められた小宇宙を近付け、裂けた血管を塞ぐこの応用術は黄金聖闘士だからこそできる業である。もうしばらくしたらこの流れる血も止まるはずだ。
「……どういうことだ」
予想だにしない出来事に思わずシュラの口から言葉が漏れた。いつもならもう止まってもいいはずの出血が一向に止まらない。自分の小宇宙が弱まっているのかと一瞬疑ったが、先程任務を終えたばかりだ。それはない。
さらに送る小宇宙を強めて止血を試みるシュラだったが、己の疲労に反して出血が止まる事はなかった。
こんな場所で放っておけばいずれこの女は死ぬだろう。そんな事になっては余計に面倒だ。それになぜ小宇宙が効かないのかも気になる。
面倒だが、女を一度宮へと連れて帰る事にしたシュラは女を抱き上げた。抱き抱えた女の血が付いた地面には草花が生い茂り、命輝くように青々としている。不可解な出来事ばかりが先程から起こっているが、兎に角今はこの女の治療が優先だ。詳しい事は後から聞けばいいだろう。
生い茂る緑を後に、シュラは目の前に見えている磨羯宮へと足を運んだ。
磨羯宮へと戻り空いているベッドへと女を運んだシュラだったが、改めて女を見ると次から次へと疑問が沸いて出てくる。色々問いたい事は山ほどあるのだが、まずはこの怪我をなんとかしなければならない。
怪我の根本からキツく縛り応急処置をしているが、いくらかマシにはなった程度で、完全に止血はされていないのだ。普通の人体ならばもう血が止まってもおかしくない。自分の理解を越えた出来事に、シュラは小宇宙で友人達に助けを求めた。
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