ONEPIECE短編集
主人公の名前
ツバメ・セナガキツバメ(初期設定)
21歳。元海軍中将。
今はいろいろあって麦わらの一味のクルー(戦闘要員)になっているけれど、ローに命を助けてもらったことがあり、ハートのクルー達とも仲がいいので船を行き来することが多い。
セナガキ(初期設定)
ツバメが海兵時代に使っていた偽名。
男性ということになっている。海軍暗部。
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12月29日。
さすがに海上は寒いから潜水することになったので甲板にいるツバメ屋を呼びに行ったら、一人で物憂げに海を眺めていたから、一瞬声をかけるのをためらった。
「…ツバメ屋」
そう呼んで振り返ったツバメ屋は、煙草をくわえていて、一瞬ツバメ屋がコラさんの面影と重なる。
「どうしましたか?」
ツバメ屋は使い古した携帯灰皿に吸い殻を入れて、青い瞳で俺を見た。
「お前、煙草吸うのか」
「たまにですよ」
そう言ってツバメ屋は新しくタバコを取り出してまた火をつける。
「海軍にいた頃は2箱くらい吸っていましたけど」
「死ぬぞ」
「人間そんな簡単に死にませんよ」
ふーっと煙を吐いて、ツバメ屋が言った。
「…今日、何の日か知ってますか」
コラさんと同じ匂いだと思っていたら、急にそんな質問をされた。
忘れるはずもない。
「…煙草一本くれ」
「どうぞ」
ツバメ屋は俺に煙草を渡し、吸っていた煙草の火をくれたが、煙を吸った瞬間にむせてしまう。
「…っごほっ」
「煙草吸ったことないんですか?」
「ねえよ」
「慣れですね」
「こんな身体に悪いもんに慣れてたまるか」
「死の外科医はクリーンですね」
ツバメ屋はまた煙を吐いて、あははっと笑って言った。
俺はツバメ屋にタバコを返すと、二本同時に吸い出して、ぎょっとする。
「スモーカーみたいでしょ」
「やめとけ」
「あはは」
またふーっと煙を吐く。
やっぱり、煙草を吸うこいつはコラさんそっくりだ。
「…海軍辞めて海賊になったって言ったら、ロシーびっくりするだろうなあ」
「俺だって、海賊団立ち上げたっつったら驚かれるだろうな」
「きっと驚かせることばっかりですよ。
タバコは吸うし、海賊になってるし、四皇の幹部だし、お尋ね者だし…ローさんに出会えたし」
ツバメ屋は俺を見て、にいっと笑う。
俺は顔を逸らして、ツバメ屋の赤い毛糸の帽子の上からぽん、と頭を撫でた。
俺がコラさんに拾われたように、
ツバメ屋はロシナンテ中佐に拾われた。
運命としか言えねえ俺たちの出会いは、あの人がもたらしてくれた。
「…そろそろ行くぞ。潜水するからしばらく煙草吸うなよ」
「この船、喫煙所作らないんですか?」
「うちのクルーに煙草吸うやつはいねえ」
「じゃあ寒いのくらい我慢しましょうよ、北の海育ちなんだから」
「どんだけ吸いたいんだよ」
そんなことを言い合いながら、温かい船内に入っていった。
end.