モーニング
主人公の名前
ツバメ・セナガキツバメ(初期設定)
21歳。元海軍中将。
今はいろいろあって麦わらの一味のクルー(戦闘要員)になっているけれど、ローに命を助けてもらったことがあり、ハートのクルー達とも仲がいいので船を行き来することが多い。
セナガキ(初期設定)
ツバメが海兵時代に使っていた偽名。
男性ということになっている。海軍暗部。
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AM4:00
海兵の朝は早い。
朝起きると、ふわっとバターの香りが鼻をくすぐった。
香りのする方へ顔を向けると、セナガキさんがパンケーキを焼いているところだった。
「おはよう」
「お…おはようございます…」
見間違いかと思って、目をこすって、眼鏡をかける。
セナガキさんが、パンケーキを、焼いている。
いつもの血の付いたスーツ姿ではなくて、ゆるい黒のVネックに海軍ジャージ。
背が高いしすらっとしているから、それだけですごくかっこいい。
「なんだよ?」
セナガキさんが振り向く。
いつもの殺気立った様子もなく、穏やかだ。
朝から見たことないものが多すぎて心臓が追い付かない。
「いえ…珍しいこともあるもんですね」
「はっ倒すぞ」
「もしかして、僕のために…?」
「…悪いかよ」
セナガキさんは照れくさそうにしながらパンケーキをサラダの盛られたプレートに盛って、バターと蜂蜜をおしゃれにかけてくれた。
すごくふわふわしてそう。
しかも表面に焼き色でクマの顔の絵が描かれている。
コーヒーと煙草のイメージしかないから、朝にこんなにかわいらしいパンケーキを作るなんて意外すぎてキュンときた。
「いえ…嬉しいです。ありがとうございます」
「…カフェオレ?」
「ありがとうございます」
僕のマグカップにコーヒーと温めたミルクを注いでくれる。
ミルク多めで。
セナガキさんは、ブラックコーヒー。
「いただきます」
「いただきます」
普段はセナガキさんが深夜勤務で、これくらいの時間に帰ってきて、それに合わせて僕が朝の訓練の前に少しだけ会いに来る。
昨日は珍しくセナガキさんがオフだったから、僕が仕事が終わってから夜に泊まりに来た。
一緒に朝食を食べるなんてはじめてだ。
「どうした?」
今日のセナガキさんは、なんだかかわいく見える。
「いえ…新婚ってこんな感じなのかなあと思いまして…」
「なっ…!」
「僕、今すごく幸せです」
僕がそう言うと、セナガキさんが顔を少し赤くして、パンケーキをほおばった。
セナガキさんがモノを食べているところ、はじめて見たかもしれない。
リスみたいでかわいいな…と思っていたら、ふと、セナガキさんの首筋から鎖骨の下あたりに、赤い跡がたくさんついているのが見えて、昨日のことを思い出してしまう。
変装を解いたら亜麻色の髪の小柄な女性だなんて本当に想像つかないよなあ…。
めちゃくちゃ美人だしめちゃくちゃかわいかった…。
「お前…自分で言って照れるなよ」
「ち、違いますって」
「?なんだよ?」
「その、今夜また泊ってもいいですか…?」
「今日は俺仕事だぞ?」
「そうなんですけど…えっと…その…したいです…」
「はあ…!?」
「だめですか…?」
「…夜はダメだ…仕事に差しさわりが出る………お前の朝の訓練終わってからなら」
「本当ですか!?」
「あ、ああ…」
「ありがとうございます!よし、やる気出ました!ごちそうさまでした!」
手をパンと合わせて、お皿を片付けて、歯を磨いてさっと着替える。
「セナガキさん」
支度ができてから、皿を洗ってくれているセナガキさんを後ろから抱きしめてみた。
僕の方が背が低いから抱き着いてるみたいになっちゃうんだけど、筋肉は僕の方があるから、釣り合ってることにしたい。
「なんだよ、早くしないと遅れるぞ」
「いってらっしゃいのキス、してくれませんか?」
「…お前、要求増えてきてねえ?」
「そうですか?」
「ったく…」
セナガキさんは皿を洗う手を止めてこちらを向くと、頬にちゅっとしてくれた。
昨日あんなことまでしておいてほっぺにチュウって…
「かわいいんですけど…」
「うるせえ早く行けよコビー大佐!」
今度は僕がセナガキさんの口を塞ぐ。
「セナガキさん、もう一回『コビー大佐』って呼んでください」
「めんどくせえなお前!遅れてガープさんにキレられても知らねえぞ!?」
「だって…」
「訓練終わったらいくらでも呼んでやるからさっさと行け!」
「約束ですからね!?恥ずかしいとかナシですからね!?」
「分かったから!ほら、いってこい!!」
「うわあ、ちょっと、押さないでくださいよ!」
いつも入ってくる窓から押し出されて、訓練場まで月歩で向かった。
僕、幸せすぎておかしくなっちゃいそうです。
end.