ONEPIECE短編集
主人公の名前
ツバメ・セナガキツバメ(初期設定)
21歳。元海軍中将。
今はいろいろあって麦わらの一味のクルー(戦闘要員)になっているけれど、ローに命を助けてもらったことがあり、ハートのクルー達とも仲がいいので船を行き来することが多い。
セナガキ(初期設定)
ツバメが海兵時代に使っていた偽名。
男性ということになっている。海軍暗部。
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「「「王様だーれだ!?」」」
「あ、あたしね!」
ナミ屋が冠マークの割りばしを見せると、一斉にみんな嫌な顔をした。
「またお前かよ」
「なによその顔!」
「だって、碌な命令しねえじゃねえか」
長鼻屋の言葉に、黒足屋以外の人間が頷く。
「なに言ってんのよ、こういうのは碌なこと期待しちゃダメよ」
「ええー…」
「で、どうすんだ、ナミ?」
麦わら屋がトニー屋の割りばしと自分の割りばしを鼻と口にかけて、トニー屋が大爆笑している。
「じゃあ、6番が2番にキス!はい、6番だれ?」
「げっ…」
思わず自分の割りばしの番号を見て声が出た。
「お、トラ男ちゅーすんのか?」
後ろから麦わら屋がのぞき込んでくる。
キスって。誰に当たっても顰蹙買うじゃねえか!
「てめえ、ロビンちゃんかツバメちゃんだったら承知しねーぞ!」
「セーフ…俺じゃなかった…よかった…」
こんな大勢の前でキスなんざ屈辱的だ…くそっ…。
…仕方ねえ、黒足屋の言う通り女じゃなければまだいいか…男も無理だが。
とりあえず麦わら屋と黒足屋と長鼻屋は外れのようだ…
「6番トラ男ね!2番は?」
2番誰だ。
なかなか名乗り出てこねえ。
ゾロ屋は興味なさそうだからまだマシか…
海狭屋は大人だが後々気にしそうだ…
改造屋は変態だし骨屋は勘弁してほしい…
絵面的にトニー屋が一番安全か…?
と思っていたら。
「はい………」
ツバメ屋が恐る恐る割りばしを持った手を挙げた。
…まじかよ。
「おおー!」
「まあ」
「ヒュ~♪」
「ヨホホホ…!」
「いいのう、若いのは…」
トニー屋、ニコ屋、改造屋、骨屋、海狭屋はほほえましそうに俺とツバメ屋を見ている(なぜそうなる…)が、他の奴らは荒れだした。
特に黒足屋。
「麗しのツバメちゃんとキッスだと…!?
乙女を危険にさらすことはこの俺が許さん!ロー、番号代われ!」
「お前が一番危ねえんだよ、エロコック!!」
「なんだとクソマリモ!ツバメちゃんの貞操の危機を紳士が守れねえでどうするんだ!!」
「テメエはツバメとキスしてえだけだろ!俺の方が安全だ、トラ男、代われ!」
「抜けがけしようとしてんじゃねーよ変態剣士が!!」
「ちょっとゾロ、サンジ君、乱闘しないでよね!」
「いや、でもさすがにキスってやりすぎじゃねえ?」
長鼻屋がナミ屋に抗議するが、いいじゃない♪の一言で一掃されている。
「子供じゃあるまいし…あ、ちゃんと口にすんのよ?」
「ぐっ…」
頬とか額ならまだマシかと思ったのに…。
「よかったなートラ男、お前ってツバメのこと「やかましい!!!」…ぶへっ」
とりあえず後ろの麦わら屋は殴り飛ばしておいた。
どうする…?
ちゃんと段階踏んで交際までこぎつけるつもりだったのに予定が狂った…。
まだ付き合ってすらねえのにキスって。
そもそもツバメ屋が俺のことどう思ってんのかも分かんねえのに。
仕方ねえ…後で謝ろう。
「ツバメ屋、目、閉じろ」
俺は隣にいたツバメ屋の肩に触れる。
「………っ」
「………」
傍から見たら全く動じていないように見えるだろうが、近くにいると分かる。
めちゃくちゃビビってる。
どれだけ強い敵を前にしても、グロテスクな生物を目にしても、幽霊が出る海域に入っても全然ビビらねえこいつが、キス一つでビビるのか…。
(ツバメ屋…ごめんな)
(え…)
周りからはそう見えるようにしながら、口の端に少し唇が触れる程度の、キスと呼べるか分からないほどのキスをした。
「………」
ツバメ屋が俺を見上げる。
見つめ返すと、真っ赤になって俯かれた。
「え…」
予想外すぎる反応に、思わず声が出る。
バカか。
そんな反応されたら、俺までつられちまうだろ…。
その場にいる全員が、こみあげてくる声を上げるのを我慢して悶えているのを感じて、照れ隠しに鬼哭を抜いた。
end.