レイトン街恋物語
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それからすぐロッキーポート事件でかなりバタバタして、本のことなんてすっかり忘れていた。
事件から2ヵ月ほど経って、王下七武海の会議がマリンフォードで行われた。
今回出席した七武海は、バーソロミュー=くまとトラファルガー=ローだけ。
相変わらず出席率は悪いようで、センゴクさんが頭を抱えていた。
僕はロッキーポート事件でローさんと面識があったので付き添いという名の監視係として一緒に会議に参加したけど、途中で能力でどこかへ消えてしまって、探す羽目になってしまった。
マリンフォード中探してもいない。
もしやもう帰ったのでは…と思っていたら、廊下の窓から見下ろしてすぐの白い足場のところにいた。
「ローさん!」
ローさんが僕の声に振り返ると同時に、剃でローさんのいる足場までたどり着く。
「コビー屋か」
「もう、いきなり会議抜け出さないでくださいよ!」
ローさんはマリンフォードの海を眺めながら、隣にいる僕に話す。
今日も海は穏やかだ。
「あんな俺ばっかり割食うような条件押し付けられるとは思わなかったからな…真面目に聞くのも馬鹿らしいだろ」
「うう、確かにそうかもしれませんけど…」
「他の七武海は来ねえし海軍の奴らは俺を便利屋扱いしすぎだし、せっかく来たのにここまでやる意味のない会議を税金使ってやってると思うとやる気が失せるのも当然だと思わないか」
「そんな、まさか辞めるんですか…!?」
「そのつもりはないが…今回は来る必要なかったな…あいつもいねえし、とんだ無駄足だった」
「あいつ…?」
ふと、ローさんの首に大きなシルバーのリングがついたネックレスがかかってあるのが目に入った。
あれ?この指輪どっかで見た…?
「あの…その指輪って…」
「あ?貰いもんだが…これがどうした?」
「誰にもらったんですか…?」
「大事な人のものだ。お前に教える必要はない」
『大事な人』…。
ローさんからそんな言葉が出てくるとは思わなかった…。
「コビー!!!」
ふと上から声がして二人して見上げると、小さくてほぼ見えないがツバメさんが最上階の自室の窓からこっちに向かって叫んでいた。
「やば、ツバメさんだ」
「えっ…!?」
僕のこぼした言葉にローさんは僕を見た。
やばい。
海賊と仲良くしてるとこ見られた…どうしよう、大目玉だぞ…。
「テメエ会議サボってんなところで何してんだあああ!?」
「ひいいいいすいませんすいませんすいませんすぐ行きますううううう!!」
ツバメさんは部屋の窓から飛び降りると、月歩でこっちまでやってくる。
「あわわわわどうしよう…これはやばいぞ殺されるううう…」
あたふたしている僕の横で、ローさんはツバメさんの方を見ながら毅然と構えている。さすが賞金首は肝が据わってるなあ…。
ツバメさんは僕たちの目の前に着地すると、大きく鋭い目で僕を見つめた。
…怖い…。
ツバメさんは憧れで大好きな海兵だけど、こういう時はとてつもなく怖い…。
「ったく、大佐が会議サボるんじゃ、ねえ、よ………!!!」
ツバメさんがそう言いながらローさんを見て目を丸くした。
うわあああもうだめだあああああ!!!
大佐のくせに海賊と仲良くしてごめんなさい!!!
「ローさん………!?」
え?
「久しぶりだな、ツバメ」
え…ええっ!?知り合い…!!??
僕はローさんとツバメさんを交互に見た。
「見ない間に大人になったな」
ローさんは凶悪面から想像できないほど柔らかくほほ笑んだ。
「どうしてここに…?」
「七武海の招集がかかったから、お前に会うついでに参加してやろうと思ってな」
ツバメさんは驚きすぎて言葉が出ないようだ。
「お前いねえしつまんねえしふざけたことばっか抜かしやがるからバックレてきた」
「…子供ですかあなたは」
やっとツバメさんが言葉をひねり出してきて、少しだけ笑った。
「あの、ツバメさん…知り合いでしたか?」
僕はツバメさんに訊いた。
「まあな…昔世話になったんだ」
ツバメさんも見たことないほど柔らかく笑う。
「世話になったのは俺の方だ」
「僕は何もしていませんよ」
「あの日お前に出会っていなければ、うちの海賊団は解散していたかもしれねえからな」
「僕だって、ローさんが助けてくれなかったらあのまま悪党に売り飛ばされていましたよ」
またお互い見つめ合って、幸せそうに笑った。
ツバメさんが『僕』…しかも敬語…。
それに、センゴクさんにもガープさんにも僕にすら見せないような柔らかい表情。
僕はあの本…『レイトン街恋物語』の存在を思い出した。
『海賊と青年』…。
まさか、ツバメさんが恋に落ちた『海賊』って…。
「七武海・トラファルガー=ロー殿、お勤めご苦労様であります!」
ツバメさんは嬉しそうにローさんにぴしっと敬礼した。
青い宝石のついた指輪を光らせながら。
end.