#07 聖バレンタインデー
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side.スバル
ローさんが家を出たのを確認した瞬間、玄関で急に力が抜けてがくっと膝から崩れ落ちた。
言ってしまった…。
さっきローさんと重ねた唇を指でなぞる。
…柔らかかったな…じゃなくて…どうしたものか…。
だが仕方ないだろう。少しでも下手に出たらやられる状況だったんだから。あれは正当防衛だ。
思わず覇気も技も使ってしまったけど、あんなの不可抗力だし、これくらいならすぐ戻る…殺してないだけマシだ…。
僕は悪くない。悪いのはローさんだ。
「…っくそっ」
頭をガシガシ掻く。
…どうしたらいいんだ…。
身分を明かすか…?
いや、ローさん相手だと全然得策ではない。
そこまで常識を気にする性格ではなさそうだし、逆にサカってこられる可能性も低くない。年齢や性別を知られるのはどう考えてもまずい。
プライドへし折ったのは謝りたいが、ここで下手に出るのはまだ危ない。
…クビにするか…。
そうだ、元々は僕がローさんを雇っていて、被害を受けたわけだから、クビにしたって問題はないはずだ。
残り半月だから、1億の半額から前払い分を引いた残りの額を渡せばいい。3800万か…手切れ金としてあと200万渡してやれば船の修理は間に合うし、ローさんだって困ることはない…。
簡単に諦める人でもない。付き纏われて正体がバレる前にすっぱり縁を切った方がいい。それがいい。そうしよう…。
「………あれ…?」
ぱたっと床に涙が落ちた。
…いい案だと思ったのに、次から次へと涙が出てくる。
なんで…
…なんで僕がこんなに傷ついてるんだ…。