#13 別れ
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2月29日の午前11時50分。
ツバメも荷物を運びこむのを朝から手伝ってくれて、ようやく出港準備ができた。
アンリ屋とシャルル屋とステラ屋も見送りに来てくれた。
「ローくん、スバル…いや、ツバメか…二人とも世話になったな」
船の前で、シャルル屋と握手をした。
「こちらこそ」
「シャルル博士のおかげで、楽しく古代文字の勉強ができました。ありがとうございました」
「君は最高の弟子じゃ…立派な海兵になるんじゃぞ」
「はい…!お世話になりました」
ツバメがシャルル屋に深々と頭を下げ、敬礼した。
「ローさん、ツバメさん、ありがとうございました!」
隣にいたアンリ屋とステラ屋とも握手を交わす。
「こちらこそ、お世話になりました」
「ローさん、これ、アンリと選んだの、餞別」
「なんだ…?」
俺がステラ屋から包みを受け取って開けると、中にはお洒落な模様のタンブラーと、クッキーが入っていた。
「ステラ珈琲オリジナルタンブラー!今回作ってみたの!クッキーはアンリが作ったの」
「ああ、ありがとう…」
「また遊びに来てね!」
「ツバメさんには、これなんですけど…」
アンリがラッピングされた小さな何かをツバメに渡す。
「ありがとうございます…開けていいですか?」
「ええ」
ツバメはラッピングを丁寧に開けて中を取り出した。
「携帯灰皿!僕煙草吸うなんて言いましたっけ?」
「ペンギンさんとシャチさんに相談して、ステラさんと4人で選んだんです」
「そうでしたか…ありがとうございます。大事にしますね」
ツバメは嬉しそうに笑った。
「…ツバメさん…私、ツバメさんのこと、ずっと好きでいていいですか…?」
アンリ屋はツバメに訊くと、ツバメは笑った。
「アンリさんにはもっと良い人が現れますよ」
アンリ屋もふふっと笑った。
「どうか、お元気で…」
「アンリさんも」
「ツバメ」
俺はアンリ屋から奪い取るようにツバメにキスをした。
アンリ屋もシャルル屋もステラ屋も、船に乗ったクルーもみんな驚いている。
「もう、人前ですよ」
「お前、これからどうするんだ?」
「…一旦本部に戻ります」
「本部まで送ってやろうか?」
「僕は明日までに帰らないといけませんから…ルブニールの南東の港に海軍の軍艦が停泊しているので、それに乗って帰ります。ローさんはグランドラインに入るのを最優先に考えてください」
「わかった…」
「…健闘を祈ります」
「ああ、お前もな」
俺はツバメを見つめる。
ツバメも俺を見つめると、俺の首に腕を回して抱き着いた。
「愛してるぜ、ローさん」
「俺も…愛してるぜ、ツバメ!」
「キャプテン、そろそろ時間だよ!」とベポの声が甲板から聞こえてくる。
別れのキスをして、名残惜しさを感じながら腕を解いた。
「いってらっしゃい」
「…いってくる」
俺は船に乗って、甲板からツバメを見下ろした。
「「「出航だ!!」」」
ペンギンもシャチも、ツバメたちに大きく手を振ると、船が出発した。
どんどん島が離れていく。
ツバメは船に乗った俺たちに敬礼したまま、見送ってくれた。
左手の薬指に、あの指輪を光らせながら。
end.
→エピローグ