#09 殺し屋レグルス
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スバルは男を見送ってからさらに北へ歩き、工場が立ち並ぶ港まで来ると、シルクハットに杖をついた男と付き人らしき男が立っていた。
俺は大きなコンテナの陰に隠れて様子を見る。
「ルマンド伯爵」
「待っていたよ、Mr.レグルス」
スバルがスーツケースを相手の前で開けると、付き人が中身を確認した。
「ええ、30億ベリー確かに」
付き人と顔を見合わせて頷くと、付き人は大きなスーツケースの中にアタッシュケースを入れ、伯爵は何か小さなものをスバルに渡した。
「今後ともよろしくお願いします」
「今後があるとお思いかな?」
陰から数十人の黒服の男たちが出てきて、スバルを取り囲んだ。
「そのセリフ、そのままそっくりお返しするしかないようですね」
…かと思ったら、一瞬で全員がその場に崩れ落ちて動かなくなってしまった。
なんだ今の…覇王色の覇気か?!
桁違いに強いぞ…。
スバルは倒れて動かなくなった伯爵の頭に弾丸を一発打ち込むと、ポケットから電伝虫を取り出して撮影し、誰かに送信した。
どういうことだ…?
スバルは海兵のはずじゃなかったか………?
「まさかこんなところまでついてくるとは思いませんでしたよ、ローさん…」
「!」
しまった!
はっと気づいた時には遅かった。
スバルが後ろから俺の首を絞めてこめかみに拳銃を突きつける。
なんでだ…?さっきまであそこにいたのに一瞬でどうやって…?!
「僕のことを付け狙って、どうするつもりだったんですか?」
甘くて、妖艶で、危険な声色。
俺はすぐに能力で石と入れ替わって拘束から逃れる。
強すぎる威圧感だ。
気を抜けば殺られる…!!
「お前こそ、こんなところで何をしている?」
「仕事です」
「仕事だと?」
「こっそり監視するだなんて営業妨害です、帰ってください」
ぷるぷるぷる…
急に電伝虫が鳴って、スバルが俺に拳銃を向けながら受話器を取る。
『オフィーリオか』
!!!
この声は………!
「ええ、先ほどバラしました」
『写真を確認した…さすが仕事が早いな、シルベーヌが惚れるわけだ…だが首を切って俺宛に送れ。写真はいくらでも偽装できるからな…』
「承知しました」
『ンフフフフ…いい…いいぞオフィーリオ…』
ドフラミンゴ…!!!
「どうです?僕を3代目コラソンにする気になりました?」
3代目コラソンだと…!?
『お前のその強気で野心家なところは気に入っているが…あいにくその席はもう埋まっているんだ』
「おや、それは残念…」
『お前が3代目コラソンを探し出して殺すというなら話は別だがな…』
「なるほど…?」
『今度メシでも食いに来い…ゆっくり話をしようじゃねえか…ンフフフフ…』
「ええ、是非…」
がちゃっ
通信が切れると、スバルは先ほどの伯爵の元へ行って片手で首を千切ると、付き人が引いていたスーツケースに首を詰め込んだ。
吐きそうだ…。
「お前、さっきの男は…!」
「僕の上司です」
「上司だと!?」
「さすがに元上司の声は覚えているようですね?」
「!!!」
「僕もう一件仕事があるので、失礼します」
「待て!」
スバルは素早く拳銃を構える。
「これ以上僕の邪魔をするなら…3代目コラソンの座を譲ってもらいましょうか…
トラファルガー=D=ワーテル=ロー…!」
「お前…!なぜその名を知っている?!」
「『トラファルガー』…古代語を勉強すれば必ず出てくる名前です…あなたのことは調べ上げさせてもらいましたよ」
スバルは不敵に笑う。
「今あなたに構っている時間はありません…帰ってください」
「…俺も行く」
反射的にそう口に出していた。
「ドフラミンゴのところだろう…俺も連れて行け」
「ドフラミンゴのところではありませんよ…彼の付き人の一人のシルベーヌという女性に会ってきます…着いてくるなんて野暮ですよ」
「お前…」
「ごめんなさい、僕どうしても幹部にならなきゃいけないんです」
「………お前は…何者なんだ…海兵じゃないのか…!?」
ぷるぷるぷる…
またスバルの電伝虫が鳴る。
がちゃっ
「シルベーヌかい?」
甘くとろけるようなスバルの声に、一瞬どきっとした。
『オフィーリオ、ごめんなさい、若様にお呼び出しされちゃって…今日はキャンセルして明日にしてくださらない?』
「明日だね…わかった、僕の方で予約しておくよ」
『ありがとう』
「…君に会えるの、楽しみにしているんだ」
『ええ、私もよ。また連絡ちょうだい』
「ああ、また明日」
『愛してるわ、オフィーリオ』
「僕もだよ、マイハニー…」
がちゃっ
「…帰りましょうか」
スバルは俺に綺麗に笑いかけると、コートを脱いで俺にかけ、スーツケースを持つ手と反対の手で俺の腕を引っ張って大通りまで歩き出した。