#07 聖バレンタインデー
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スバルが女だとは思わなかったが、驚いている場合ではない。
「まずいな…」
「どうしました、キャプテン?」
「俺こいつの血液型知らねえ」
「F型ですよ」
後ろからアンリが言った。
「本当か?」
「手帳に書いてましたから」
スバルのコートのポケットから白地に青のラインが入った小さな手帳を出して俺に見せた。
海軍手帳か。
確かにF型だ。
「ありがとう」
「…スバルさん、大丈夫ですよね…?」
「任せとけ…」
~~~~~~~~~~~~~~
能力でスバルの家の2階まで移動してから船内にある必要な医療機器を移動させて、2時間ほどで手術を終えて医療機器を戻した頃には能力の使い過ぎで疲労困憊していた。
「大丈夫ですか、キャプテン」
「ああ、寝たら治る」
俺は布団を敷いたあとに、スバルの手帳を思い出して、コートから取り出して中身を見た。
中を開くと、警察や海軍駐屯地や俺の連絡先が書かれた小さな紙が挟んであった
その次のページには、海兵の軍服を着たスバルの顔写真。
明るくてかわいい奴だと思っていたが、写真のスバルは別人のように精悍でかっこいい海軍将校だった。
顔写真の隣に
『マリンコード06082 ツバメ
所属:海軍本部 階級:少尉』
とあって、海軍の印鑑が押されている。
「ツバメ…?」
それがこいつの本名か…。
まさかスバルが海兵だったとは…。
情報欄を見ると、スバルは20歳だとステラ屋が言っていたが、年齢のところに『15』と書かれてあって驚いた。
7歳も年下だったのか…つかガキじゃねえか…。
誕生日は8月らしいが、書いてあるのは『2月8日』。
出身はウエストブルーだと言っていたが、手帳に書かれてあるのは『マリンフォード』。
性別の欄は『男』。身長は『180㎝』。体重は『63㎏』。血液型はF型。
緊急連絡先の欄には連絡先が書かれてあるが、さっきの小さな紙に書かれてあった海軍本部の直通電伝虫と同じ番号だった。
嘘ばっかじゃねえか…。
潜入捜査か何かか?
いや、半月ずっと一緒にいたがそんな素振りはなかった。
こんな田舎町に身分を隠して住んで、その上俺をボディーガードに雇った意味が分からねえ…。
最後のページとカバーの間に挟まれていた写真を見て、また驚いた。
「コラさん…?!」
そう、写真に写っているのは、6歳前後で海兵のセーラーを着た、プラチナの髪に青い瞳をした小さなかわいらしい女の子が、海軍将校の制服を着た、金髪赤目の大男の腕にぶら下がって笑っている写真。
間違いない。
ドンキホーテ=ロシナンテ中佐と、スバルだ。
「ローさん………?」
ベッドの脇でスバルがゆっくりと目を開いた。
「スバル!気が付いたか…!」
まだ少し寝ぼけているようだが、俺の顔を見て、少しはっとした。
「具合はどうだ」
「元気ですよ…」
か細い声。
「…守ってやれなくてごめん…!」
俺はスバルの手をぎゅっと握った。
「僕は生きてますよ」
「そうだが…!お前を守るのが仕事なのに」
俺がそう言うと、スバルは少し困ったような顔で笑った。
「そんな顔しないで…」
「…いきなり悪かった…手当もしちまったし、クビにしてくれて構わねえ」
「いやいやいやクビにされたら困るんですよ!」
後ろにいたペンギンとシャチが慌てて俺を押しのけて土下座した。
「「うちのキャプテンが申し訳ありませんでした!!!」」
「スバルく、いやスバルちゃん?…スバルくんに雇ってもらえないと俺らも困るんです!どうか今回だけ、許してはくれませんか!!」
「キャプテンが嫌だったら代わりに俺がボディーガードやるんで!どうか!!」
二人が頭を下げて、俺も頭を下げた。
「悪いようにはしませんから…心配しないで…」
スバルが力なくそう言うと、俺たちは顔を上げた。
「ですが…少し、考えさせてください…僕も、気持ちの整理ができていませんから…」
「ペンさんとシャチさん、すみませんが、席を外してくれませんか…」
スバルがそう言うと、ペンギンとシャチが部屋を出ていって、俺とスバルの二人だけになった。