#07 聖バレンタインデー
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side.ロー
書店の前に海賊が大勢押し寄せているのを斬り刻んで中に入る。
中に入ると既に60人くらいはのされて端の方で山になっていて、スバルは階段の前で向かってくる男たちを蹴って殴って投げ飛ばしてのしていっているところだった。
…胸に短剣が刺さったまま。
「スバル!!!」
大声で叫ぶと、全員がこちらを振り返った。
「ローさん…!」
「ペンギン、手当てを頼む」
「アイアイ」
「必要ありません」
「何言ってやがる!後は俺らに任せてお前は安静にしとけ!」
俺はなんとなく違和感を感じながらスバルを後ろ手に庇った。
「なんだてめえは!?」
海賊の一人が喚く。
「おい、こいつトラファルガー=ローじゃねえか!?」
「なんでこんなところに?!」
ボスらしき男が俺たちの前に現れる。
「ほう?海兵さんが賞金首の海賊とお友達だったとはな…」
「なんだと…?!」
「まさか知らずに仲良くやってたとでも言うのか?」
ボスがクツクツと笑う。
「そいつは3か月前、俺らの船を117隻沈め俺たちの仲間を5832人殺した後、海軍の軍艦を8隻沈めて味方の海兵を150人殺した大量殺人犯…」
「え…!?」
「なんだって…!?」
「じゃあ、スバルくんって…!?」
「『ゴーストマリーン』…俺たちはそいつに復讐するために今日まで生きてきたんだよ!」
海賊の一人がスバルに向かって叫ぶ。
嘘だろ…こいつが…?!
「シャルルを連れ去る予定だったが代わりにいたのがこいつだ!まさかこの街にいるとは思わなかったぜ!男のくせにキレーな顔してやがる…安心しろ、すぐには殺さねえ…たっぷりかわいがって嬲り殺して…」
俺は聞いていられなくなってその場にいる海賊の首を一気にはねて決着をつけた。
口ほどにもねえ。
荒れた書店に、急に夜の静けさが広がる。
「スバル、気をしっかり持てよ、今手当てしてやるから「触んな!」
スバルを横抱きにして寝かせようとしたら、頬を殴り飛ばされて床に落としてしまった。
…こいつ、めちゃくちゃ軽かったぞ…?
それにここまで細かったか…?
よく見たらシャツもズボンもぶかぶかで、丈も全然合ってない。
なんでだ…?
「手当てするだけだ、何もしねえ」
「だから、手当すんなっつってんだよ…!」
「死ぬ気か?」
「大丈夫だから…!こんな傷、ほっといたら、治るから…」
俺は構わずその場でシャツのボタンに手をかけると、思いっきり頭突きをくらう。
「何しやがる!」
「こっちのセリフだ…っ!」
「暴れるな!傷が開く!」
暴れるスバルの肩を地面に押し付けようとしたら、綺麗な右ストレートが頬に炸裂して吹っ飛んで、カウンターに身体をぶつけた。
「「キャプテン!!」」
「ってえ…」
「きゃあああああ!!!」
2階からスバルのコートを肩にかけたアンリが降りてきて、血まみれのスバルを見て金切り声を上げた。
「スバルさん…?!」
「アンリさん…もう大丈夫です…」
「スバルくん、ダメだよ、体動かさないで!」
ペンギンとシャチがスバルを押さえようとするが吹っ飛ばされる。
どこにそんな力があるんだ。
「スバルさん!」
「くそっ…!」
スバルが起き上がれずに地面に倒れた。
やっぱり小さくなってるし…。
心なしか目の色がいつもと違うし髪色も月明りを受けて光っているように見える。
そもそも…こいつこんなに幼い顔だったか…?
「っ触んな!!!」
「さっきは悪かった…本当に何もしねえから手当てさせてくれ!」
蹴り飛ばされそうになるのをガードする。
気絶させようにも心臓を刺されているし、あまり衝撃を加えたくない。
「手当てなんかいいから…!ほっとけば治るから…」
確かに最初に見た時は青くなっていた顔のアザはもう跡形もなく消えかけているが、胸の傷はどう考えても治る前に死んでしまう。
「やめろって…!!!」
服に手をかけると取っ組み合いになって引っ張ったシャツのボタンが飛んで、真っ白な肌が顕になる。
刺さったナイフでちぎれ落ちたサラシの下から、少し胸が膨らんでいるのが見えた。
「え………?!」
「………!」
スバルがはっとして胸を隠す。
女………?!
強烈な回し蹴りが左こめかみにクリーンヒットして、地面に叩きつけられた。
「ってえ…!」
「てめえ…それ以上近づくな…近づいたら、お前…クビに、す、から、………っ」
スバルは力尽きて気絶した。