#07 聖バレンタインデー
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side.ロー
〜ガールズバー『ビアード』〜
「「ええっ、クビになった?!」」
ペンギンとシャチが俺の向かいに座って声を揃えた。
「まだそうと決まったわけじゃねえが…」
「どうするんですか、船の修理代!?キャプテン任せだったし、シャチと合わせても俺らそんなにありませんよ?!」
「だから今からそれを考えるために来たんだよ…」
あんな金の出され方したら、へこむし怒りでいっぱいになる。
なんだよあいつ、人の気持ちも知らねえで…。
ずうん、と落ち込んでる俺のグラスにペンギンがワインを注ぐ。
「クビって、何したんですかあんた…」
「7割俺が悪いが、3割はあっちが悪い」
「7割悪いなら素直に謝りましょうよ!」
「そうですよ!5000万のために謝り倒してあと半月雇ってもらった方がいいです!」
「そうしたいのは山々だが…謝って済む話じゃねえかも…」
マジで落ち込む方にしかいかねえ…。
「ほんとあんた何したんですか…」
「………襲った」
「「襲ったあ?!?!」」
「ってもキスしただけだ」
「キス…キャプテンがスバルくんに…?!」
「ああーーー、絵になるけどダメだ!それはだめだ!クビだ!!気持ちは分からんでもないけどクビにするしかない!!」
二人ともうるせえ。
だがうるせえおかげでどん底まで落ちずに済んでいる気もする。
「謝って済む話じゃないけど謝らないとはじまらない!クビ宣告される前に謝った方がいいです!!」
「ワイン飲んでる場合じゃないですよ!さっさと謝りに行きましょう!つか俺らも一緒に行きますんで!!!」
ペンギンとシャチに半ば連れ去られるようにして家に戻った。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜
家に戻ったが鍵を開けてもスバルはいなくて、一気に肝が冷えた。
こんな時間にどこへ行ったんだ…。
通帳はいつものところにあって、ないのは鍵と財布だけ。
財布がねえってことはどっか店で時間潰してる可能性はあるが、アンリのところもステラのところももうとっくに閉店している…。
「戻ってくるまで待つしかないですね」
シャチがソファーに腰かけるが、俺はまた玄関へ戻った。
「どこ行くんですかキャプテン」
「決まってるだろ、探しに行く」
「探すってどこへ」
「分からねえが…本屋も珈琲屋も閉店してる時間だぞ」
「こんなに寒いんだから、閉店してるなら戻ってきますって」
「あいつに何かあったらどうすんだ!?」
思わず大きい声が出て、ペンギンもシャチもびくっとした。
俺が黙って家を出ると、ペンギンもシャチもついてきてくれる。
こういう時、一人じゃなくてよかったと思いながら、雪の降る夜の道を3人で歩いた。