#03 無自覚な恋
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「スバル、お前…古代文字読めるのか?」
アンリ古書堂からの帰り道、スバルに聞いてみた。
「まだまだ勉強中ですよ。ですが、奥が深くて面白いです」
こんなところで古代文字を読める人間に出会えるとは…。
「…お前…俺の仲間にならねえか」
「お断りします」
「即答かよ」
「僕は祖父の後を継ぎたいので」
「お前のじいさんって」
「そんなことより…アンリさんとなに話してたんですか?」
急に振り返ったのでびっくりした。
「え?」
「アンリさん、顔真っ赤だったじゃないですか。もしかして口説いてたんですか?」
「んなわけねえだろ」
こいつまさか惚れられてる自覚がないのか…?
あんなに分かりやすいのに?頭いいのにそういうのは鈍いのか。
「そうですか?聖バレンタインデーが近いからてっきりお相手探しをしていたのかと思ってました」
「何言ってんだ」
「僕はアンリさんいいと思いますよ?内気ですが知的で優しい方ですし。海賊船には乗りたがらなそうですがね」
「だから違うっつってんだろ」
「あ、良い匂い!」
自分から振ったくせに俺の話を全く聞かずに焼き芋の屋台へ突き進んで、1つ買うと、半分に割った片方を手渡される。
「どうぞ!焼き芋はワノ国の霜月一族がイーストブルーにたどり着くまでの途中でいろんな島に上陸して広めたそうですよ」
「…お前って」
「?」
「いや、なんでもない…」
いただきます、とパクッと食べると、芋の甘さが口の中に広がる。
焼き芋食べたのいつぶりだろう。
「あつっ…」
隣でスバルが涙目で口を押さえている。
「大丈夫か」
「ちょっと火傷しました」
「見せてみろ」
「大丈夫ですよ」
「いいから口開けろって」
半ば無理矢理あー、と口を開けさせる。
顔というか顎が小さくてびっくりしたが、確かになんともない。
「うわあっ!」
「おっと…」
スバルがバランスを崩して後ろへ倒れそうになったのを、なんとか左手で受け止めた。
危なかった。階段から転げ落ちるところだったぞ。
「大丈夫か?」
「ええ…ありがとうございます…」
「…」
「…」
腰細え…というか軽すぎないか…?
確かに俺の肩くらいしかねえし小柄かもしれねえが、こいつ男だよな…?片手で受け止められるってどういうことだよ。大丈夫かこいつ。ちゃんと食ってんのか…?いや毎日3食食ってるな…体質か?つーか近くで見ると本当にキレーな顔してやがるな………
「あの…ローさん?」
「…ああ、悪い」
スバルに呼ばれてはっとして、体を元に戻す。
なに考えてんだ俺は。
「念のため今食わねえ方がいい」
「大丈夫ですって、何も痛くありませんし」
「お前の痛くないは信用できない」
「せっかく焼きたてを買ったのに…」
「帰る頃には問題ないだろ、トースターで焼いて食えばいい」
「それもそうですね」
気を取り直したようで、食べかけの焼き芋を袋に入れて、また歩き出した。