#07 短くて7年…
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side.コビー
ぜんぜん眠れなかった。
セナガキさんがまだ帰ってきていないのがすごく心配だけど、そんなこと関係なく朝稽古は毎日ある。
…ここにはもう来ないでくれ、か。
昨日言われたことを思い返す。
盆に出会ってまだ半月くらいしか経っていなかったことに気が付いてびっくりする。
それだけ濃い時間だった。
どうしてこんなことになってしまったんだろう…。
だめだだめだ。今考えたらドツボにはまってしまう。
稽古に行かなきゃ。
僕はえいやっと起き上がって準備を始めた。
~~~~~~~~~~~~~~~
「コビー、お前女でもできたか?」
朝稽古が終わって木陰で水を飲んでいる時に、ヘルメッポさんに訊かれた。
「え?」
「最近お前急にカッコよくなったって、女子の間ですげー噂になってるぞ?」
「いや、いないよそんな人…」
いないこともないけど、昨日別れを切り出されたばっかりなんだよね…。
それでも、どんな状況でもセナガキさんの話はしてはいけない。
「コビー!最近セナガキとどうなんじゃ?」
…と思った端からガープさんが盛大に関係性をバラしてくる。
「ガープさん!どうしてそれを…!?」
「ん?センゴクに聞いた。で、どうなんじゃ、うまくやっとるのか?」
目玉が飛び出るほど驚愕している僕にお構いなしに軽いノリで聞いてくる。
「まあ、おかげさまで…ははは…」
「ガープさん、こいつの彼女知ってるんすか?!」
「おー、ものすごく美人じゃよ!さすがワシの一番弟子といったところか!がっはっは!」
ヘルメッポさんは「くーっ、うらやましー!」と騒いでいるのがすごくうっとうしい。
「じゃが…お前、大丈夫か?」
「なにがですか?」
急にガープさんが心配そうな顔つきになった。
「あいつ9月から長期任務じゃろ?」
「…えっ?」
「短くて7年じゃからなあ…セナガキも心配じゃが、ワシはどちらかと言うとお前の方が心配じゃ…不安定になったらワシを頼れよ」
「長期任務…?7年…??」
「なんじゃ、聞いてないのか?」
「聞いてません…!9月って、もう明後日じゃないですか?!どうしてそんな大事なこと…!!」
「あまり怒ってやるな、なにせ『短くて7年』じゃ…セナガキの奴も言い出せんかったんじゃろう…急に決まったことらしいしな」
ショックだ。
雷が落ちたみたいだ。
「…昨日、別れてくれって言われたんです…もう部屋に来るなって…それってまさか…」
「お前を悲しませないためじゃろうな…」
「そんな…僕、7年くらい待つのに…」
「『短くて7年』というと、そんな簡単な話ではない…セナガキの優しさだと思って、別れてやれ」
ガープさんが意味深に言った言葉を、僕はどうも受け入れられなかった。
ヒグラシが鳴く朝8時。
end.