#05 紛争
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
side.コビー
セナガキさんの部屋に行こうとしたら、部屋にセンゴク元帥とトラファルガー=ローがいたので、慌てて窓枠の下に隠れた。
見間違いかと思ったけど本物だ。
実際に見るとオーラがすごい。
闇医者を呼ぶから治療が終わるまで絶対に来るなって言ってたけど、闇医者って『死の外科医』のことだったのか。
しばらくしてトラファルガー=ローは帰ったが。
「そこにいるのは分かっておるぞ、コビー!」
センゴク元帥には普通に気づかれていて、窓から部屋の中に入った。
「そんなところで何をしておった?」
「いやあ、ははは…」
「フン、まあいい…しばらく安静にしておけば問題ないそうだ」
「本当ですか!?」
トラファルガー=ロー、手配書でしか知らなかったけど、腕は確かなんだな…。
「コビー…なぜこいつを助けた?」
センゴク元帥は変装を解いたセナガキさんの寝顔を眺めながら僕に訊いた。
「言ったはずだ、こいつには近づくなと!
敵陣でお前がこいつを助けるということは、この諜報員が海軍と繋がっていると敵にバラしているようなもんだ!敵の誰かに顔が割れたらどうするつもりだ?!」
「…すみません」
「こいつはもし捕まっても身元は分からん。
自力で助かる術を持っておる。拷問の耐性もある。助からない場合黙って殺される覚悟もある。お前が助けないといけないような奴ではない…今後はこいつを見ても手を貸すな、分かったか?!」
「………」
「返事は?!」
「それは、できません…セナガキさんは、大事な人ですから…」
「…!」
「それに…死にかけている人間を…助かるかもしれない人を見殺しにするなんて…僕にはできません…」
「…コビーよ、その優しさは命取りになるぞ」
「重々承知しています」
センゴク元帥がため息をつく。
「………そんなにセナガキが大事か」
「はい…愛しています」
真っ直ぐ答えると、センゴク元帥が狼狽えたのが分かった。
少し間を置いてから、静かに口を開く。
「コビー少尉…やはり君だったのか…」
「?」
「…君がこいつの部屋に出入りしていたことは知っていた。本来処罰の対象になるが…気づいた頃にはこいつは不思議なほど人間らしく変わっていた…」
「『死神』としてあってはならんことだ…だが…親代わりに育てた身としては嬉しかったもんで…何も言えんかった…」
センゴクさんは窓から景色を見下ろした。
「部屋に花を飾るような子ではなかった。
料理をするような子でもなかった。
あんなに笑う子ではなかったし、
人を想って泣くような子でもなかった。
ワシに逆らったことなど一度もなかった…」
「…」
「最近こいつの顔が息子と重なるようになったよ…心優しい、私の息子と………血の繋がりはないが、息子同然に思っておったのがいるんじゃ…ロシナンテと言うんじゃが…」
「え…」
ロシナンテ…。
セナガキさんのお父さん。
「ある日、まだ小さかったロシナンテが海軍に逃げ込んできた。
ロシナンテは私が育て、やがて彼は立派な海兵となった。
ある日、ロシナンテが任務でウエストブルーの紛争地帯から帰ってきた時に、4歳ほどの子供を連れて帰ってきた…その子供が、セナガキじゃ」
「え…?!」
「服も髪もボロボロの血塗れで、靴も履いていない。逃げる時に親とはぐれてしまったのか死んでしまったのかは分からんが、子供は一人で死体の山の上でパンを食っておったらしい。
声をかけると、持っていた刀を抜いてロシナンテに向けたそうじゃ。禍々しいほどの覇王色の覇気に覚醒していて、まだ小さいのに恐ろしいほど刀の扱いに慣れておったと…おそらく紛争地帯で生き延びるために身につけたんじゃろう」
セナガキさんがあの子供にこだわっていた理由がやっと分かった。
それにしてもセナガキさん、殺しに慣れたと言っていたのは、そういうことだったのか…。
そんなに小さい頃から…。
「ここにきた時は手負いの虎のようじゃった。完全に心を閉ざしておった。言葉も分からず文字も書けず何も話せない子だったが、ロシナンテはセナガキを実の子供のように育て、セナガキもロシナンテに懐くようになった。
だが、セナガキが9歳の時にロシナンテは潜入捜査先で殉職した…」
「それからはワシが親代わりに育てたが…私も息子を失ったショックが大きくてな…セナガキにはあまり情をかけてやれんかったように思う…セナガキも親を失って辛かったろうに、私はそこを見てやれんかった…当たり散らしたことも多かったよ。
それでもセナガキはロシナンテのような海兵になりたいと言って、海軍に入隊する前からガープに頼んで日々鍛錬しておった…」
「ええっ、セナガキさんがガープ師匠に?!」
「そうだ」
全然合わなそう…。
「ロシナンテに代わって海兵を志してくれることは嬉しかった。
16歳で少尉になった時には他の海兵より頭一つ抜けておってな…セナガキは『死神』に任命することになった…」
「え…」
「私は反対だったのだが、総帥のコングたっての希望でな…『海軍鉄の掟』にぴったり当てはまる人間はそういない…他の人間に比べて躊躇いなく人を殺せるのは適任だった」
「…」
「反論できなかったことを後悔しておる…無機質に育ってしまっと思っていた。
確かに仕事は正確で速くて信頼が置けるが…人間としてはものすごくいびつだった…君がいてくれて良かったよ」
「…セナガキさんはすごく優しい人ですよ…僕も助けられましたから…」
「そうか…」
「僕が敵を殺すのを躊躇って大きな犠牲を出してしまった時に、セナガキさんに言われたんです…「お前は海軍の正義を背負っているんだから人を殺すことに慣れるな」って。
「あいつがそんなことを…?」
「ええ…『経験して慣れろ』って周りからは言われましたが、僕はセナガキさんの言葉に救われました…僕もセナガキさんみたいな海兵になりたいんです」
「そうか…そうか…」
センゴク元帥は目を潤ませてほほ笑んでいた。
セナガキさんの部屋に行こうとしたら、部屋にセンゴク元帥とトラファルガー=ローがいたので、慌てて窓枠の下に隠れた。
見間違いかと思ったけど本物だ。
実際に見るとオーラがすごい。
闇医者を呼ぶから治療が終わるまで絶対に来るなって言ってたけど、闇医者って『死の外科医』のことだったのか。
しばらくしてトラファルガー=ローは帰ったが。
「そこにいるのは分かっておるぞ、コビー!」
センゴク元帥には普通に気づかれていて、窓から部屋の中に入った。
「そんなところで何をしておった?」
「いやあ、ははは…」
「フン、まあいい…しばらく安静にしておけば問題ないそうだ」
「本当ですか!?」
トラファルガー=ロー、手配書でしか知らなかったけど、腕は確かなんだな…。
「コビー…なぜこいつを助けた?」
センゴク元帥は変装を解いたセナガキさんの寝顔を眺めながら僕に訊いた。
「言ったはずだ、こいつには近づくなと!
敵陣でお前がこいつを助けるということは、この諜報員が海軍と繋がっていると敵にバラしているようなもんだ!敵の誰かに顔が割れたらどうするつもりだ?!」
「…すみません」
「こいつはもし捕まっても身元は分からん。
自力で助かる術を持っておる。拷問の耐性もある。助からない場合黙って殺される覚悟もある。お前が助けないといけないような奴ではない…今後はこいつを見ても手を貸すな、分かったか?!」
「………」
「返事は?!」
「それは、できません…セナガキさんは、大事な人ですから…」
「…!」
「それに…死にかけている人間を…助かるかもしれない人を見殺しにするなんて…僕にはできません…」
「…コビーよ、その優しさは命取りになるぞ」
「重々承知しています」
センゴク元帥がため息をつく。
「………そんなにセナガキが大事か」
「はい…愛しています」
真っ直ぐ答えると、センゴク元帥が狼狽えたのが分かった。
少し間を置いてから、静かに口を開く。
「コビー少尉…やはり君だったのか…」
「?」
「…君がこいつの部屋に出入りしていたことは知っていた。本来処罰の対象になるが…気づいた頃にはこいつは不思議なほど人間らしく変わっていた…」
「『死神』としてあってはならんことだ…だが…親代わりに育てた身としては嬉しかったもんで…何も言えんかった…」
センゴクさんは窓から景色を見下ろした。
「部屋に花を飾るような子ではなかった。
料理をするような子でもなかった。
あんなに笑う子ではなかったし、
人を想って泣くような子でもなかった。
ワシに逆らったことなど一度もなかった…」
「…」
「最近こいつの顔が息子と重なるようになったよ…心優しい、私の息子と………血の繋がりはないが、息子同然に思っておったのがいるんじゃ…ロシナンテと言うんじゃが…」
「え…」
ロシナンテ…。
セナガキさんのお父さん。
「ある日、まだ小さかったロシナンテが海軍に逃げ込んできた。
ロシナンテは私が育て、やがて彼は立派な海兵となった。
ある日、ロシナンテが任務でウエストブルーの紛争地帯から帰ってきた時に、4歳ほどの子供を連れて帰ってきた…その子供が、セナガキじゃ」
「え…?!」
「服も髪もボロボロの血塗れで、靴も履いていない。逃げる時に親とはぐれてしまったのか死んでしまったのかは分からんが、子供は一人で死体の山の上でパンを食っておったらしい。
声をかけると、持っていた刀を抜いてロシナンテに向けたそうじゃ。禍々しいほどの覇王色の覇気に覚醒していて、まだ小さいのに恐ろしいほど刀の扱いに慣れておったと…おそらく紛争地帯で生き延びるために身につけたんじゃろう」
セナガキさんがあの子供にこだわっていた理由がやっと分かった。
それにしてもセナガキさん、殺しに慣れたと言っていたのは、そういうことだったのか…。
そんなに小さい頃から…。
「ここにきた時は手負いの虎のようじゃった。完全に心を閉ざしておった。言葉も分からず文字も書けず何も話せない子だったが、ロシナンテはセナガキを実の子供のように育て、セナガキもロシナンテに懐くようになった。
だが、セナガキが9歳の時にロシナンテは潜入捜査先で殉職した…」
「それからはワシが親代わりに育てたが…私も息子を失ったショックが大きくてな…セナガキにはあまり情をかけてやれんかったように思う…セナガキも親を失って辛かったろうに、私はそこを見てやれんかった…当たり散らしたことも多かったよ。
それでもセナガキはロシナンテのような海兵になりたいと言って、海軍に入隊する前からガープに頼んで日々鍛錬しておった…」
「ええっ、セナガキさんがガープ師匠に?!」
「そうだ」
全然合わなそう…。
「ロシナンテに代わって海兵を志してくれることは嬉しかった。
16歳で少尉になった時には他の海兵より頭一つ抜けておってな…セナガキは『死神』に任命することになった…」
「え…」
「私は反対だったのだが、総帥のコングたっての希望でな…『海軍鉄の掟』にぴったり当てはまる人間はそういない…他の人間に比べて躊躇いなく人を殺せるのは適任だった」
「…」
「反論できなかったことを後悔しておる…無機質に育ってしまっと思っていた。
確かに仕事は正確で速くて信頼が置けるが…人間としてはものすごくいびつだった…君がいてくれて良かったよ」
「…セナガキさんはすごく優しい人ですよ…僕も助けられましたから…」
「そうか…」
「僕が敵を殺すのを躊躇って大きな犠牲を出してしまった時に、セナガキさんに言われたんです…「お前は海軍の正義を背負っているんだから人を殺すことに慣れるな」って。
「あいつがそんなことを…?」
「ええ…『経験して慣れろ』って周りからは言われましたが、僕はセナガキさんの言葉に救われました…僕もセナガキさんみたいな海兵になりたいんです」
「そうか…そうか…」
センゴク元帥は目を潤ませてほほ笑んでいた。