幼少期
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5歳の決意からわずか半年、彼、東雲 徠焔の姿はアメリカのロサンゼルスにあった。
どうして日本から離れ、ここアメリカに来ることになったかというと単に徠焔の希望である。
前世でも色々と助けてもらうことの多かった母方の叔父がアメリカで軍事関係の仕事をしていたことも大きく、殊更叔父の『俺が面倒みる!!』と鶴の一声が後押しにもなった。
「ライ!良い子にしてたか!?ほら、お土産あるぞー?」
叔父は、ハウスキーパーと共に留守番をしていた徠焔に帰宅早々ハグと共に出張のお土産を差し出した。
中身は、軍事用の応急キットである。
「叔父さん、僕はまた5才なんだけど?」
徠焔は、迷彩柄の応急キットを眺めながらも呆れたようにため息をこぼした。
叔父の感性には助けられる部分が多いのだが、こういったどこまで気がついているのかわからない言動には徠焔本人もどう反応を返せば良いのか悩まされる部分である。
「んー?興味があるかと思ったんだが気に入らなかったかー?」
「何かの役に立つかもしれないからもらっておくよ」
叔父の言葉に困ったように微笑みながら日常的に持ち歩くバックパックにお土産をしまった。
その行動に叔父は満足気に笑みを漏らす。
「ごめんなー?ちょくちょく家を空けちまって…これじゃライの面倒を見るって大見得切ったのに姉さんにどやされちまうよ」
叔父は、力無く苦笑を浮かべながらドカリと徠焔の隣に座り込んだ。
「そんなことないよ。それだけ忙しいのに時間があればこうやって様子を見に帰ってきてくれるし、休日は出来るだけ一緒に過ごそうとしてくれてるじゃない?」
徠焔は、自分の為に時間を作り出来る限りのことをしようとしてくれるこの叔父の存在に表情を綻ばせる。
徠焔にとって達観した中身を見透かしたかのように様々な経験をすでにさせてくれる叔父のような存在は大変心地の良いものとなっていた。
「くーっ、可愛い息子同然の甥っ子に気遣われるとはー」
叔父は、大袈裟にも手で顔を覆いながら天井を仰ぐ。
「(どこまでも無邪気さを失わないこの叔父の存在は前世でもかなり助けられたな)」
徠焔は、苦笑を浮かべながらも前世での叔父とのやり取りを思い出していた。
前世でもかなり可愛がってくれていた叔父の印象は一言で言えば『謎の多き軍人さん』だ。
知っていることはアメリカで軍人をしているということだけで詳しい所属などは上手くはぐらかされていた。
しかし、ここぞというときに徠焔の必要としている情報をフラりとやって来てはポイッと簡単に手渡してふらりと姿を消すそんな存在だ。
そんな彼が、自分によく構ってくるようになったのは前世では12才を越えた頃だっただろうか。
長期の休みになるとキャンプや体験見学ツアーに連れ回された覚えがある。
NASAの見学ツアーや科学館体験ツアー等々果てには射撃場での手解きなど本当に様々であった。
「(それがその年からこれじゃ先が思いやられるよ…どこを目指してるんだ?)」
徠焔は、自身の横で次回の休日の予定を色々と考えている叔父の姿に密かに苦笑を漏らしたのであった。
~とある軍人の焦燥~
俺は俗にいうシスコンだ。
姉とは7才も年が離れており、幼い頃は本当に姉の後ろばかりを追いかけていた記憶がある。
そんな姉が結婚して子供を産んだ。
姉が結婚したときは祝福していたが何となく顔を合わせづらくなってしまった。
少し距離を置いて仕事に没頭していたときに届いた知らせ、『子供が生まれた』。
その知らせを受けたとき言いようもない焦燥感に駆られた。
『会いに行かなくては…』
その思いだけで少々疎遠になりつつあった姉夫婦の住む日本への飛行機に飛び乗った。
飛行機の中ではなぜか一睡もできなかった。
ただただ焦りだけが募っていく。
『早く、速く、はやく…』
『会いに行かなくては…』
姉夫婦の家につき、玄関が開くと同時に中に駆け込む。
玄関で出迎えた義兄の顔が驚きに染まっていたが今は構っている余裕もなかった。
そのままの勢いでリビングまで駆け込むと赤ん坊を抱えた姉が驚き半分苦笑半分の様子で出迎えてくれた。
その腕に抱かれてスヤスヤと眠っている赤ん坊に俺の目は釘付けだった。
その時、俺の目から涙が滴り落ちた。
『よかった』
心の中を占めたのは安堵。
未だにあのときの涙と安堵の理由はわからない。
しかし、涙する俺を見て姉も義兄も安心したような笑みを浮かべていた。
結婚を機会に俺が姉の元にぱったりと寄りつかなくなったことを二人とも心配してくれていたのだ。
安堵の次に浮かんだ思いは今でも不思議だが『今度こそは』という後悔だった。
何が『今度こそ』なのかもわからないまま漠然とした決意だけが胸に灯っていた。
だから、俺は決めたのだ。
後悔だけはないように、この思いのまま進んでみようと。
だから、俺は足しげく甥っ子の元を訪れた。
大事な判断を見誤りたくはなかったのだ。
そしてその時は訪れた。
大切な甥っ子の瞳に宿る確かな決意を見た。
俺の心が『今だ』と囁いた。
だから、声を上げた『アメリカに来ないか』と。
まだ、たった5才の子供を両親の元から引き離してあまつさえ海外に移住させようとは正気の沙汰とは思えない。
しかし、俺はそれが『必要なこと』だと思ったし姉夫婦も何故か甥っ子の背中を押すように賛同してくれた。
勿論、はじめは甥っ子と共に姉もアメリカに来ると話が出ていたのだが仕事の都合上、日本を離れられない義兄の事を思った甥っ子がストップをかけた。
曰く、『お父さんだけ寂しい思いをさせたくない。自分は叔父さんがいれば寂しくはない』と。
義兄だけを日本に残していくことに不安があった姉はその言葉を受けて涙ながらに日本に残ることを決めた。
勿論、年に数回長期の休みをとっては甥っ子と家族三人いろんなところに旅行に行こうと約束していたが。
こうして甥っ子はアメリカに在住することになった。
まだ、エレメンタリースクール(小学校)にも通えない年齢な甥っ子は日がな一日読書をしていることが多い。
はじめは部屋の片隅にあった英字新聞を手に難しい顔をしていたかと思えば夕食の際には世界情勢についての質問を投げ掛けられて度肝を抜かれた。
しかし、心のどこかで納得していた『これが甥っ子』だと。
なので、甥っ子の質問にも気がついたときにはするりと答えを口にしていた。
そこからだ、出張のお土産と称して子供に似つかわしくないものを次々と与えるようになったのは…。
手始めは10才頃からはじめる『科学の基礎』という本からだった。
甥っ子は、訝しげな顔をするものの素直に受け取りお礼をいうことが多かった。
『基礎科学』から『専門的な科学』へ、『家庭の医学』から『軍人の野戦的な治療法』まで様々な分野の情報を手を変え品を変え与えてきた。
そのどれも甥っ子にとっては『難しすぎる』と言うことはなかったようだ。
こういう子供を『ギフテット』というのであろうか。
そんな日常を送りつつ、時折過る言い様のない焦燥感。
『まだだ、もっとだ』
知識を技術を与え続けてもこの感情は俺の心をざわつかせる。
何に対しての焦燥感なのか今だ理解できないがこの心の思うままに俺はこれからも甥っ子を助けていこう。
例えどんな障害や危機が立ちはだかろうとも越えていけるだけの力を得られるように。
『今度こそ』
俺はそう心の中で改めて決意する。
この愛しい甥っ子の笑顔を護るためにも俺は俺にできる事をと。
どうして日本から離れ、ここアメリカに来ることになったかというと単に徠焔の希望である。
前世でも色々と助けてもらうことの多かった母方の叔父がアメリカで軍事関係の仕事をしていたことも大きく、殊更叔父の『俺が面倒みる!!』と鶴の一声が後押しにもなった。
「ライ!良い子にしてたか!?ほら、お土産あるぞー?」
叔父は、ハウスキーパーと共に留守番をしていた徠焔に帰宅早々ハグと共に出張のお土産を差し出した。
中身は、軍事用の応急キットである。
「叔父さん、僕はまた5才なんだけど?」
徠焔は、迷彩柄の応急キットを眺めながらも呆れたようにため息をこぼした。
叔父の感性には助けられる部分が多いのだが、こういったどこまで気がついているのかわからない言動には徠焔本人もどう反応を返せば良いのか悩まされる部分である。
「んー?興味があるかと思ったんだが気に入らなかったかー?」
「何かの役に立つかもしれないからもらっておくよ」
叔父の言葉に困ったように微笑みながら日常的に持ち歩くバックパックにお土産をしまった。
その行動に叔父は満足気に笑みを漏らす。
「ごめんなー?ちょくちょく家を空けちまって…これじゃライの面倒を見るって大見得切ったのに姉さんにどやされちまうよ」
叔父は、力無く苦笑を浮かべながらドカリと徠焔の隣に座り込んだ。
「そんなことないよ。それだけ忙しいのに時間があればこうやって様子を見に帰ってきてくれるし、休日は出来るだけ一緒に過ごそうとしてくれてるじゃない?」
徠焔は、自分の為に時間を作り出来る限りのことをしようとしてくれるこの叔父の存在に表情を綻ばせる。
徠焔にとって達観した中身を見透かしたかのように様々な経験をすでにさせてくれる叔父のような存在は大変心地の良いものとなっていた。
「くーっ、可愛い息子同然の甥っ子に気遣われるとはー」
叔父は、大袈裟にも手で顔を覆いながら天井を仰ぐ。
「(どこまでも無邪気さを失わないこの叔父の存在は前世でもかなり助けられたな)」
徠焔は、苦笑を浮かべながらも前世での叔父とのやり取りを思い出していた。
前世でもかなり可愛がってくれていた叔父の印象は一言で言えば『謎の多き軍人さん』だ。
知っていることはアメリカで軍人をしているということだけで詳しい所属などは上手くはぐらかされていた。
しかし、ここぞというときに徠焔の必要としている情報をフラりとやって来てはポイッと簡単に手渡してふらりと姿を消すそんな存在だ。
そんな彼が、自分によく構ってくるようになったのは前世では12才を越えた頃だっただろうか。
長期の休みになるとキャンプや体験見学ツアーに連れ回された覚えがある。
NASAの見学ツアーや科学館体験ツアー等々果てには射撃場での手解きなど本当に様々であった。
「(それがその年からこれじゃ先が思いやられるよ…どこを目指してるんだ?)」
徠焔は、自身の横で次回の休日の予定を色々と考えている叔父の姿に密かに苦笑を漏らしたのであった。
~とある軍人の焦燥~
俺は俗にいうシスコンだ。
姉とは7才も年が離れており、幼い頃は本当に姉の後ろばかりを追いかけていた記憶がある。
そんな姉が結婚して子供を産んだ。
姉が結婚したときは祝福していたが何となく顔を合わせづらくなってしまった。
少し距離を置いて仕事に没頭していたときに届いた知らせ、『子供が生まれた』。
その知らせを受けたとき言いようもない焦燥感に駆られた。
『会いに行かなくては…』
その思いだけで少々疎遠になりつつあった姉夫婦の住む日本への飛行機に飛び乗った。
飛行機の中ではなぜか一睡もできなかった。
ただただ焦りだけが募っていく。
『早く、速く、はやく…』
『会いに行かなくては…』
姉夫婦の家につき、玄関が開くと同時に中に駆け込む。
玄関で出迎えた義兄の顔が驚きに染まっていたが今は構っている余裕もなかった。
そのままの勢いでリビングまで駆け込むと赤ん坊を抱えた姉が驚き半分苦笑半分の様子で出迎えてくれた。
その腕に抱かれてスヤスヤと眠っている赤ん坊に俺の目は釘付けだった。
その時、俺の目から涙が滴り落ちた。
『よかった』
心の中を占めたのは安堵。
未だにあのときの涙と安堵の理由はわからない。
しかし、涙する俺を見て姉も義兄も安心したような笑みを浮かべていた。
結婚を機会に俺が姉の元にぱったりと寄りつかなくなったことを二人とも心配してくれていたのだ。
安堵の次に浮かんだ思いは今でも不思議だが『今度こそは』という後悔だった。
何が『今度こそ』なのかもわからないまま漠然とした決意だけが胸に灯っていた。
だから、俺は決めたのだ。
後悔だけはないように、この思いのまま進んでみようと。
だから、俺は足しげく甥っ子の元を訪れた。
大事な判断を見誤りたくはなかったのだ。
そしてその時は訪れた。
大切な甥っ子の瞳に宿る確かな決意を見た。
俺の心が『今だ』と囁いた。
だから、声を上げた『アメリカに来ないか』と。
まだ、たった5才の子供を両親の元から引き離してあまつさえ海外に移住させようとは正気の沙汰とは思えない。
しかし、俺はそれが『必要なこと』だと思ったし姉夫婦も何故か甥っ子の背中を押すように賛同してくれた。
勿論、はじめは甥っ子と共に姉もアメリカに来ると話が出ていたのだが仕事の都合上、日本を離れられない義兄の事を思った甥っ子がストップをかけた。
曰く、『お父さんだけ寂しい思いをさせたくない。自分は叔父さんがいれば寂しくはない』と。
義兄だけを日本に残していくことに不安があった姉はその言葉を受けて涙ながらに日本に残ることを決めた。
勿論、年に数回長期の休みをとっては甥っ子と家族三人いろんなところに旅行に行こうと約束していたが。
こうして甥っ子はアメリカに在住することになった。
まだ、エレメンタリースクール(小学校)にも通えない年齢な甥っ子は日がな一日読書をしていることが多い。
はじめは部屋の片隅にあった英字新聞を手に難しい顔をしていたかと思えば夕食の際には世界情勢についての質問を投げ掛けられて度肝を抜かれた。
しかし、心のどこかで納得していた『これが甥っ子』だと。
なので、甥っ子の質問にも気がついたときにはするりと答えを口にしていた。
そこからだ、出張のお土産と称して子供に似つかわしくないものを次々と与えるようになったのは…。
手始めは10才頃からはじめる『科学の基礎』という本からだった。
甥っ子は、訝しげな顔をするものの素直に受け取りお礼をいうことが多かった。
『基礎科学』から『専門的な科学』へ、『家庭の医学』から『軍人の野戦的な治療法』まで様々な分野の情報を手を変え品を変え与えてきた。
そのどれも甥っ子にとっては『難しすぎる』と言うことはなかったようだ。
こういう子供を『ギフテット』というのであろうか。
そんな日常を送りつつ、時折過る言い様のない焦燥感。
『まだだ、もっとだ』
知識を技術を与え続けてもこの感情は俺の心をざわつかせる。
何に対しての焦燥感なのか今だ理解できないがこの心の思うままに俺はこれからも甥っ子を助けていこう。
例えどんな障害や危機が立ちはだかろうとも越えていけるだけの力を得られるように。
『今度こそ』
俺はそう心の中で改めて決意する。
この愛しい甥っ子の笑顔を護るためにも俺は俺にできる事をと。