空想ルンバ
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それから俺は毎日夢の中で君を永遠と待ち続けた。
君と出会った頃季節は春だったが今はもう冬だ。
しかしユウと出会ったこの場所はいつまでも彼女と出会った時の姿のままだった。
ユウのユニーク魔法が解除された今、何故毎晩この場所に来るのかは分からない。
俺の未練が強すぎるのか、それともユウもまだ俺のことを──
最後に見た少女の泣き顔を思い出す。
その瞬間凄まじい風が吹き抜ける、あの時のように。
俺は風から目を背けた、そしてしばらくした後人の気配を感じて俺は目を開ける。
そこには会いたくて、会いたくて、待ち焦がれていた白いワンピースを着た少女が花を纏いそこに居た。
これが例え夢だと分かっていても再びユウに出会えたのが嬉しくてたまらなかった。
俺は彼女に駆け寄るとそのままユウを強く抱き締めた。
「わっ、じゃ、じゃみ……」
「ユウ、君が好きだ」
早く言わなければ、またユウは、そう考えると気持ちが止まらなかった。
彼女の手が俺の背中へそっと添えられる。
「もう二度と離さない、君が居なくなってから俺は、」
涙が止まらない、言葉を続けたいのに言葉が出ない事にもどかしさを感じる。
ユウの手がまるで母親が子供を宥めるかのようにトントンと一定のリズムで俺の背中を優しく叩く。
「ジャミルさん、ありがとうございます、そしてごめんなさい。私ジャミルさんが毎晩この夢に来てくれていたの知っていました」
「このユニーク魔法、どうやら寝てる間は無意識に発動しているみたいで、ジャミルさんが強く私を思っていたのでずっとこの夢に来ていたんだと思います」
「そうだ、俺はずっと、君を、」
ユウと離れてから10年前の事を思い出した、俺は何もなしに人を助ける様な人間では無い。
一目惚れ、だったのだろう。
俺はあの頃からこの少女の事を──
「最初は巻き込んでしまってるのが申し訳なくて見て見ぬふりをしてました。でも、ジャミルさんの思いが夢を通してずっと伝わってきていて」
ユウの手が止まり今度は力強く抱きしめられる。
「私やっぱり、ジャミルさんのこと好きなんだなって、ジャミルさんに会いたいって」
だから来ちゃいました、と言いながら体を離し俺の目を真っ直ぐ見つめる少女。
俺は手を頬に添え少し顔を上に向かせるとそっと唇を重ね合わせた。
俺達は今までの時間を埋めるかのように踊った。
幸せだった。
これが夢だって構わない、この夢の中の世界には確実に君がいる、それは現実だから。
笑顔で踊る君がとても愛おしく感じた、花を纏いながら俺の腕の中で笑う君を見て、俺は何もかもを忘れて踊った。
「あっ……」
不意に足を止める少女。
「どうした?」
「そろそろ朝が来ます」
「もうそんな時間か……」
夢はいつか終わる、分かってはいたがまた少女に会え無くなってしまうのでは無いか、と思った俺は口走っていた、
「ユウ、俺と結婚して欲しい」
「えっ……?」
「俺はまだ学生だ、勿論結婚は出来ない、現実世界ならな。だがここは君の夢の世界。ならば何でも許されるだろう?」
俺は少女の前にまるで王子が姫に対してプロポーズする時のように跪く。
彼女を待つ間に何となく作ってみた花で出来た指輪をポケットから取り出す。
まさか本当に役に立つとは思っていなかった。
花の指輪を見たユウは涙を零す。
ただその涙はあの日の悲しそうな表情ではなく嬉しそうに笑いながら流した涙だった。
「はい、私で良ければ」
その返事を聞いた瞬間に強い風が吹き、辺りが目映い光に包まれ目が開けていられなくなる。
何度も味わっているこの感覚、だが嫌な予感はしなかった。
──目が覚める。
外は少し暗かった、恐らく強制的に目覚めたのだろう。
そして起きた瞬間、感じた。
この世界にあの少女がいると。
朝日が昇る中俺は思うままに外へ飛び出して行く。
無我夢中で走り続けた。
鏡舎を潜り、どこの寮か分からない鏡を潜り、森を抜ける。
辺りはすっかり明るくなっていた。
今日は雲ひとつない青空だ。
どこまで走っただろうか、知らない場所の筈なのに、見覚えのある花が咲き乱れる場所へと辿り着く。
1歩1歩と花を踏まぬよう進むと、花に囲まれるようにして中心に立っている見覚えのある白いワンピースを着た人物の後ろ姿が見えた。
夢の中で何度も踊り、何度も話し、何度も恋い焦がれて、やっと結ばれる事の出来た少女の姿。
左手の薬指には花の指輪をつけている。
ゆっくりと少女に近づく。
俺の足音に気付き彼女は振り向く。
目が会った瞬間また泣き出しそうな顔をする少女。
夢の中と何一つ変わらない少女の姿。
今、この瞬間、俺達に多くの言葉はいらない。
俺は夢の中でいつもしていた様に手を差し出し、少女に一言。
「俺と一緒に踊ってくれないか?」
少女は俺の手を取る。
俺達は夢じゃないこの現実でいつまでも、踊り続けた。
君と出会った頃季節は春だったが今はもう冬だ。
しかしユウと出会ったこの場所はいつまでも彼女と出会った時の姿のままだった。
ユウのユニーク魔法が解除された今、何故毎晩この場所に来るのかは分からない。
俺の未練が強すぎるのか、それともユウもまだ俺のことを──
最後に見た少女の泣き顔を思い出す。
その瞬間凄まじい風が吹き抜ける、あの時のように。
俺は風から目を背けた、そしてしばらくした後人の気配を感じて俺は目を開ける。
そこには会いたくて、会いたくて、待ち焦がれていた白いワンピースを着た少女が花を纏いそこに居た。
これが例え夢だと分かっていても再びユウに出会えたのが嬉しくてたまらなかった。
俺は彼女に駆け寄るとそのままユウを強く抱き締めた。
「わっ、じゃ、じゃみ……」
「ユウ、君が好きだ」
早く言わなければ、またユウは、そう考えると気持ちが止まらなかった。
彼女の手が俺の背中へそっと添えられる。
「もう二度と離さない、君が居なくなってから俺は、」
涙が止まらない、言葉を続けたいのに言葉が出ない事にもどかしさを感じる。
ユウの手がまるで母親が子供を宥めるかのようにトントンと一定のリズムで俺の背中を優しく叩く。
「ジャミルさん、ありがとうございます、そしてごめんなさい。私ジャミルさんが毎晩この夢に来てくれていたの知っていました」
「このユニーク魔法、どうやら寝てる間は無意識に発動しているみたいで、ジャミルさんが強く私を思っていたのでずっとこの夢に来ていたんだと思います」
「そうだ、俺はずっと、君を、」
ユウと離れてから10年前の事を思い出した、俺は何もなしに人を助ける様な人間では無い。
一目惚れ、だったのだろう。
俺はあの頃からこの少女の事を──
「最初は巻き込んでしまってるのが申し訳なくて見て見ぬふりをしてました。でも、ジャミルさんの思いが夢を通してずっと伝わってきていて」
ユウの手が止まり今度は力強く抱きしめられる。
「私やっぱり、ジャミルさんのこと好きなんだなって、ジャミルさんに会いたいって」
だから来ちゃいました、と言いながら体を離し俺の目を真っ直ぐ見つめる少女。
俺は手を頬に添え少し顔を上に向かせるとそっと唇を重ね合わせた。
俺達は今までの時間を埋めるかのように踊った。
幸せだった。
これが夢だって構わない、この夢の中の世界には確実に君がいる、それは現実だから。
笑顔で踊る君がとても愛おしく感じた、花を纏いながら俺の腕の中で笑う君を見て、俺は何もかもを忘れて踊った。
「あっ……」
不意に足を止める少女。
「どうした?」
「そろそろ朝が来ます」
「もうそんな時間か……」
夢はいつか終わる、分かってはいたがまた少女に会え無くなってしまうのでは無いか、と思った俺は口走っていた、
「ユウ、俺と結婚して欲しい」
「えっ……?」
「俺はまだ学生だ、勿論結婚は出来ない、現実世界ならな。だがここは君の夢の世界。ならば何でも許されるだろう?」
俺は少女の前にまるで王子が姫に対してプロポーズする時のように跪く。
彼女を待つ間に何となく作ってみた花で出来た指輪をポケットから取り出す。
まさか本当に役に立つとは思っていなかった。
花の指輪を見たユウは涙を零す。
ただその涙はあの日の悲しそうな表情ではなく嬉しそうに笑いながら流した涙だった。
「はい、私で良ければ」
その返事を聞いた瞬間に強い風が吹き、辺りが目映い光に包まれ目が開けていられなくなる。
何度も味わっているこの感覚、だが嫌な予感はしなかった。
──目が覚める。
外は少し暗かった、恐らく強制的に目覚めたのだろう。
そして起きた瞬間、感じた。
この世界にあの少女がいると。
朝日が昇る中俺は思うままに外へ飛び出して行く。
無我夢中で走り続けた。
鏡舎を潜り、どこの寮か分からない鏡を潜り、森を抜ける。
辺りはすっかり明るくなっていた。
今日は雲ひとつない青空だ。
どこまで走っただろうか、知らない場所の筈なのに、見覚えのある花が咲き乱れる場所へと辿り着く。
1歩1歩と花を踏まぬよう進むと、花に囲まれるようにして中心に立っている見覚えのある白いワンピースを着た人物の後ろ姿が見えた。
夢の中で何度も踊り、何度も話し、何度も恋い焦がれて、やっと結ばれる事の出来た少女の姿。
左手の薬指には花の指輪をつけている。
ゆっくりと少女に近づく。
俺の足音に気付き彼女は振り向く。
目が会った瞬間また泣き出しそうな顔をする少女。
夢の中と何一つ変わらない少女の姿。
今、この瞬間、俺達に多くの言葉はいらない。
俺は夢の中でいつもしていた様に手を差し出し、少女に一言。
「俺と一緒に踊ってくれないか?」
少女は俺の手を取る。
俺達は夢じゃないこの現実でいつまでも、踊り続けた。
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