影踏み
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夕方、人気の少ない校舎。
真っ赤に沈みゆく夕日で照らされた廊下を長い2つの影が歩いていた。
この時間の校舎は少し寂しげで少し恐ろしい。
「ね、ねぇユウ氏、影踏みってご存知?」
イデア先輩と廊下を歩いているとふと思いついた様に突然質問を投げかけられた。
「えっと、影を踏まれたら次はその人が踏む側になるってやつ、一種の鬼ごっこみたいなやつですよね」
「そうそう、流石ユウ氏物知りですなぁw」
「いやいやそれほどでも! 小さい頃にやってましたし! ところでその影踏みがどうかしたんですか?」
イデア先輩がニヤニヤと笑いながら話す。
「昔影は人の霊魂の内の1つって信じられてたらしいよ。今はそれが形を変えて影は見えないもう一人の自分、とか影が薄くなるとその人はもうすぐ死ぬ、とか色々な話に変わって現代まで伝わってると聞いた事がありましてな。でも根本的に影=魂とされてるのは何処も変わらないのは現代でも影というのは不思議なものとして見られてるからでしょうなぁ。でさ、そう考えたらその魂を踏んでる遊びしてるってちょっと怖くない? 子供って残酷だよね」
「ふふ、確かに! そう言われると鬼と呼ばれる悪しき存在が善人の魂を踏むことによってその魂を悪人側に染めてる、って解釈もできる気がします」
「ユウ氏中々良い考察をなされる」
「子供の頃って意味を知らずに色々な遊びや真似事をやってましたけど、改めて大人になってからこういう話を聞くと迷信だったとしても怖いですね」
この時間にはぴったりなちょっと背筋の凍る話だな、と思い私はクスクスと笑う。
隣を見るとイデア先輩は数歩後ろで立ち止まっている。
「今さ、拙者ユウ氏の影踏んでるんだよね。
つまりですよ? ユウ氏の魂は今拙者握られてて、拙者がもし悪人で魂を吸い取る魔法でも呪文でも使えば今のユウ氏は抵抗する間もなく拙者に魂を取られてしまうと言う訳。そう考えたらちょっとどころじゃくて凄く怖いよね」
更に沈む夕日によって照らされた影が先程より長く伸びる。
その先にはイデア先輩が居る。
いつの間にか廊下は燃える炎に包まれるかのように真っ赤に染っていた。
体が動かない、気がする。
私は震える声で先輩を真っ直ぐ見つめ何とか声を出す。
「は、はい怖いですね、とても…」
「ねぇ監督生氏、覚えてて欲しいんだけどいつでも君の魂を取る事くらい僕には出来るからね」
イデア先輩の声は聞いた事がない程冷たかった。
しかしそれとは裏腹にイデア先輩の顔は、その目の奥には愛おしい者を見つめるように炎が灯っていた。
どう部屋まで帰ってきたのか分からない。
でも今はとにかく早く眠りたかった。
今日の出来事を忘れるように。
真っ赤に沈みゆく夕日で照らされた廊下を長い2つの影が歩いていた。
この時間の校舎は少し寂しげで少し恐ろしい。
「ね、ねぇユウ氏、影踏みってご存知?」
イデア先輩と廊下を歩いているとふと思いついた様に突然質問を投げかけられた。
「えっと、影を踏まれたら次はその人が踏む側になるってやつ、一種の鬼ごっこみたいなやつですよね」
「そうそう、流石ユウ氏物知りですなぁw」
「いやいやそれほどでも! 小さい頃にやってましたし! ところでその影踏みがどうかしたんですか?」
イデア先輩がニヤニヤと笑いながら話す。
「昔影は人の霊魂の内の1つって信じられてたらしいよ。今はそれが形を変えて影は見えないもう一人の自分、とか影が薄くなるとその人はもうすぐ死ぬ、とか色々な話に変わって現代まで伝わってると聞いた事がありましてな。でも根本的に影=魂とされてるのは何処も変わらないのは現代でも影というのは不思議なものとして見られてるからでしょうなぁ。でさ、そう考えたらその魂を踏んでる遊びしてるってちょっと怖くない? 子供って残酷だよね」
「ふふ、確かに! そう言われると鬼と呼ばれる悪しき存在が善人の魂を踏むことによってその魂を悪人側に染めてる、って解釈もできる気がします」
「ユウ氏中々良い考察をなされる」
「子供の頃って意味を知らずに色々な遊びや真似事をやってましたけど、改めて大人になってからこういう話を聞くと迷信だったとしても怖いですね」
この時間にはぴったりなちょっと背筋の凍る話だな、と思い私はクスクスと笑う。
隣を見るとイデア先輩は数歩後ろで立ち止まっている。
「今さ、拙者ユウ氏の影踏んでるんだよね。
つまりですよ? ユウ氏の魂は今拙者握られてて、拙者がもし悪人で魂を吸い取る魔法でも呪文でも使えば今のユウ氏は抵抗する間もなく拙者に魂を取られてしまうと言う訳。そう考えたらちょっとどころじゃくて凄く怖いよね」
更に沈む夕日によって照らされた影が先程より長く伸びる。
その先にはイデア先輩が居る。
いつの間にか廊下は燃える炎に包まれるかのように真っ赤に染っていた。
体が動かない、気がする。
私は震える声で先輩を真っ直ぐ見つめ何とか声を出す。
「は、はい怖いですね、とても…」
「ねぇ監督生氏、覚えてて欲しいんだけどいつでも君の魂を取る事くらい僕には出来るからね」
イデア先輩の声は聞いた事がない程冷たかった。
しかしそれとは裏腹にイデア先輩の顔は、その目の奥には愛おしい者を見つめるように炎が灯っていた。
どう部屋まで帰ってきたのか分からない。
でも今はとにかく早く眠りたかった。
今日の出来事を忘れるように。
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