画面越しの恋
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今日もいつもの様に彼女のヒントになれば、と思いイデアは例のスマホを手に持ち歩いていた。
ただ1つ、いつもと違うのは。
み、見つけた……やっと見つけた……
不敵な笑みを浮かべる男が一人。
ドンッと誰かにぶつかる。
イデアは反射的に急いで廊下で陽キャに万が一ぶつかってしまった時の対象法を取った。
「あ、す、すみません拙者が廊下の真ん中なんか歩いたのが行けませんでしたほんとすみ……──」
その時その人物がイデアのポケットに入っているスマートフォンを触っていることに気が付く。
「ヒヒッ……なるほど、拙者完全に理解しました」
イデアはゆっくりとその人物から距離を取り煽るように話す。
距離を取ることは忘れずに。
「いやぁそちらからノコノコやって来てくれるとはおかげで手間が省けましたなぁwww」
「何の話だ、俺はあんたが持ってるスマホの持ち主だ、ずっと探していたんだ返してくれないか?」
「ぶふぉwwwおやおやおや? 何故このスマホが拾ったものと言うことをご存じで? 随分嘘がお上手ですなぁwww」
「くっ、人が下手に出てりゃ陰キャの癖に調子乗りやがって!!! こうなったら力づくで…!」
その人物はマジカルペンを取り出しイデアにペン先を向ける。
「いやいや本気ですか? 僕これでも寮長だよ? 流石に同じ寮長クラスなら無理だけどお前くらいなら余裕っすわwww拙者が勝算がないのにこんなにも分かりやすく彼女が居るスマホを使うとお思いで?」
ポケットの中のスマホにそっと触れる。
「う、うるさい!! 陰キャの癖に調子に乗りやがって……彼女を返せ!!!」
「はぁ? なんで明らかにヤバそうなお前に返さないと行けないの? 理由を3行以内にお願いします」
「彼女は俺の物なんだ!! 俺は彼女を愛してる、だからそのスマホを返せ!!!」
イデアの煽りにより遂に激昴した生徒はイデアへと向け魔法を放つ。
「うわ、怖っ、話通じないタイプの人だ……ストーカーか何かですか? ゲームの中ならありだけど現実ではやめたほうがいいと思いますよ」
その攻撃を普段のイデアからは想像出来ない程軽くひらりと交わす。
「うるさいッッッッ!! 陰キャのお前に何が出来る!!!」
「は〜こういうタイプのやつってスグ怒る……ほんと困りますわ」
すかさず次の魔法が飛んでくるがイデアはその場から1歩も動かず防衛魔法で弾き返した。
「だぁから僕を誰だか知ってる? 一応これでも寮長なんだけど」
「な、なんでだよ、なんで当たらないんだよ!?」
焦るその人物はデタラメに魔法を打ち続ける、がその攻撃はひとつもイデアに当たることは無かった。
「ネトゲで鍛えられた反射神経がまさかこの様な形で役に立つとは……良いですか、魔法と言うのはこうして使うものですよ、っと」
そう言い軽く放ったイデア魔法は呆気なく当たりその人物はその場に倒れ込む。
「余裕でしたわ〜wwwソシャゲで言うと1-1、チュートリアルレベルでお話になりませんなwww」
倒れているその人物に近づき相手を見下ろす。
「はいチェックメイト、大分派手に魔法ぶっぱなしたから学園長にはチクらないので退学になるの嫌なら魔法の解除の方法教えていただけます?」
「ぐっ……誰がお前なんかに……俺は彼女と幸せになるんだ…」
その時イデアのポケットの中にあるスマホから声が聞こえる。
「あ、あの、こんにちは……」
ユウの声だった。
「!? ユウ氏、喋ったらダメ!!」
「ユウちゃんそこに居るんだね!?」
ポケットに伸びてくる手をイデアは魔法で押さえつける。
「はい、全部聞いていました」
スっと一呼吸が置かれる。
「イデアさん私を出してもらってもいいですか?」
「……大丈夫……?」
「お願いします」
ユウの強い意志の籠った言葉にイデアは意を決し、ポケットからスマホを取り出し電源を付けるとユウの姿が映し出される。
「初めまして、そしてありがとうございます、私を好きになってくださって。貴方のお気持ちとても嬉しかったです」
「だ、だったら……!」
「でもごめんなさい、貴方の気持ちにお答えする事は出来ません」
「どうして!? 俺君のためなら何でもするよ!? あ、スマホに閉じ込めたこと怒ってる!?謝るから!」
「いえ、もういいんです。私貴女のおかげで心から大切に思える人に出会えたんです」
言葉を続ける。
「でも私の大好きな人を傷付けようとした事は絶対に許しません」
「だからお願いです、イデアさんに謝ってください。そして私は自分にされた事では貴方を怒りません。謝って頂ければ全て許します、なのでどうか私をスマホから出す方法を教えてください」
「自分の好きな女の子がここまで言ってるのに教えない訳? 器の小さい男は嫌われますよ?」
イデアの言葉にその人物は観念した様に話し出す。
「貴方に一目惚れだったんです、街で1度落し物を拾ってくれた時、優しくしてくれた君に、惹かれました。でも、話しかける勇気なんか無くて、いつか本で見た好きな人を永遠に物に閉じこめる魔法を思いついて、スマホにかければ優しい君ならもう一度拾ってくれるんじゃないかって思って……」
沈黙が流れる。
「解除する方法は愛する人からのキス、はっ、御伽噺みたいな方法だろ、でもそれだけだ、素敵だろ?俺は彼女と純粋に結ばれたかったんだ……」
「だからといってこんな強引なやり方では女子に嫌われますぞ、このやり方が許されるのは2次元だけ」
「現実は上手くいかないな……」
「その気持ちはお察しします」
「ユウさんも、イデアさんも、本当にごめんなさい……」
謝罪の言葉を聞きイデアは彼を押さえつけていた魔法を解く。
「しょ、正直拙者は心が広くないのでユウ氏をこんな危険な目に合わせた人物を許せませんよ。でもユウ氏が許す、と言っているので拙者はもうこれ以上口出しするべきじゃないと思うんだよね、うん」
「はい、もういいんです、すべて許します。だから二度とこんな事したらダメですよ?今度こそ貴方に素敵な出会いがありますように」
彼は立ち上がり深々と頭を下げお礼を言うと何処かへと立ち去って行った。
さ、て……
「あぁの……解除の方法ですが……さ、さっきユウ氏が言っていた大切な人と大好きな人と言うのはその……勘違いでなければ……」
「勘違いじゃないです、イデアさん、貴方の事が大好きです」
画面を見て下さい、と言うユウの言葉にイデアはスマホに向き合う。
「いきなり助けて下さいだなんて言ったどこの誰だかも分からない私に親切にしてくださって、色々なお話を沢山してくださってとても楽しくて、気が付いたら貴方に惹かれていました」
彼女が真っ直ぐと見つめてくる。
「ぼっ僕も、最初は興味本位だったんだ、で、でも君と話すの楽しくて、初めてこんなに沢山女の子と喋って、僕を気持ち悪がらずに話してくれて、出会ったのが君でよかった」
ユウは黙って次の言葉を待つ。
「きっ君が好きなんだ、他の誰でもなくって、ユウ氏が、すき、」
イデアの言葉を聞きユウは微笑みながらスっと目を閉じた。
まるでイデアから口付けを待っているかのような光景。
その行動の意味を完全に理解したイデアはユウのその姿を心のスクリーンショットに収め画面の中に居る故に自分よりも何倍も小さな小さな少女の唇にそっと自分の唇を重ねた。
実際には1秒程度だった時間もイデアには永遠の時間に感じた。
しかし直ぐに唇に触れていた固く冷たかった画面が柔らかく温かいものに変わったのが分かった。
離れていく唇に名残惜しさを感じたが声が聞こえその気持ちは喜びへと変わった。
「イデアさん!」
ギュッと抱きしめられる。
機械を通してじゃない生の声が目の前から聞こえる。
目を開けた。
目の前には画面越しで見るよりもずっとずっと綺麗だった少女。
ずっと触れたいと思っていた彼女。
触れ合っている肌から人間特有の暖かな温もりが伝わる。
抱きしめているユウが体制はそのままにイデアを見上げる形になる。
「ほ、本物のユウ氏……!かかっ可愛い……あ、ずっと君に触れたかった……」
「私もです、ふふ、イデアさんって思っていたよりずっと背が高いんですね!」
「そ、そう?昔は無駄に背だけ高いって思ってたけど今は感謝している」
「生イデアさん超かっこいいです!あの、ご迷惑お掛けしてごめんなさい、こんな事になるなんて……」
「大丈夫、不安にさせるから言わなかったけどスマホに女の子を閉じこめるなんて過激な事する奴だからこうなるって分かってた」
「なら、余計に……」
「こうなるって分かっていたのに君を犯人に見つかりやすいようにチラつかせていた、これでお相子、じゃダメかな……」
「ダメじゃないです、私がお願いした事ですから。それに私イデアさんが守ってくれるって思ってました」
「僕も、最後まで君を守れて本当によかった……」
しばらく見つめあった後照れくさくなったイデアは顔を逸らしながら騙り始める。
「あああの、ここだけの話実は内心めちゃくちゃドキドキして居たなんて口が裂けても言えない……」
「ふふ、もう言ってますよ。イデアさんが対面の相手にあんなに煽るから私びっくりしちゃいました」
さらにいつもの調子に戻り出す。
「な、なんか色々終わって考えてみたら、ふひっw二次元の女の子が画面の中から出てくる、なんてオタクの憧れ中の憧れだよね……」
「えっ!? 2次元じゃない私はダメですか……?」
「あ、そ、そうじゃなくて! なんだか拙者ち、力が抜けてしまいまして……あっあの、今まで画面の中にいた好きな女の子が突然目の前に現れてど、どうしたらいいか分からなくて…ゲームの中の主人公はこういう時どうしてたと考えていて…」
そっぽを向いて目を泳がせながら喋るイデアの顔を両手で挟み正面を向かせる。
「イデアさん、ならまた1から沢山お話して、沢山触れ合って、これからも沢山2人の思い出つくりましょうね」
そう言い優しく優しく微笑むユウ。
いつもの小さい画面ではない、等身大のありのままの彼女。
「今から柄にも無いことを言う自覚ありますが聞いて下され、もう〇〇氏を二度と危険な目に合わせない、だからま、また僕と一緒に居てくれますか……?」
見た事ないイデアの真剣な表情に胸が熱くなる。
「ふふ、はい。勿論です。ねぇイデアさん私ファーストキスだったんです」
「あっ、せ、拙者も……」
「じゃあ誓いのセカンドキスも私にくれますか?」
その問いに「拒否権なにそれおいしいの?エンドロールで選択肢は表れないよね」と答えるイデア。
相手の温もりを感じながら交わした2人の2回目のキスはとても甘く、火傷してしまうと思うほどにとてもとても熱かった。
ただ1つ、いつもと違うのは。
み、見つけた……やっと見つけた……
不敵な笑みを浮かべる男が一人。
ドンッと誰かにぶつかる。
イデアは反射的に急いで廊下で陽キャに万が一ぶつかってしまった時の対象法を取った。
「あ、す、すみません拙者が廊下の真ん中なんか歩いたのが行けませんでしたほんとすみ……──」
その時その人物がイデアのポケットに入っているスマートフォンを触っていることに気が付く。
「ヒヒッ……なるほど、拙者完全に理解しました」
イデアはゆっくりとその人物から距離を取り煽るように話す。
距離を取ることは忘れずに。
「いやぁそちらからノコノコやって来てくれるとはおかげで手間が省けましたなぁwww」
「何の話だ、俺はあんたが持ってるスマホの持ち主だ、ずっと探していたんだ返してくれないか?」
「ぶふぉwwwおやおやおや? 何故このスマホが拾ったものと言うことをご存じで? 随分嘘がお上手ですなぁwww」
「くっ、人が下手に出てりゃ陰キャの癖に調子乗りやがって!!! こうなったら力づくで…!」
その人物はマジカルペンを取り出しイデアにペン先を向ける。
「いやいや本気ですか? 僕これでも寮長だよ? 流石に同じ寮長クラスなら無理だけどお前くらいなら余裕っすわwww拙者が勝算がないのにこんなにも分かりやすく彼女が居るスマホを使うとお思いで?」
ポケットの中のスマホにそっと触れる。
「う、うるさい!! 陰キャの癖に調子に乗りやがって……彼女を返せ!!!」
「はぁ? なんで明らかにヤバそうなお前に返さないと行けないの? 理由を3行以内にお願いします」
「彼女は俺の物なんだ!! 俺は彼女を愛してる、だからそのスマホを返せ!!!」
イデアの煽りにより遂に激昴した生徒はイデアへと向け魔法を放つ。
「うわ、怖っ、話通じないタイプの人だ……ストーカーか何かですか? ゲームの中ならありだけど現実ではやめたほうがいいと思いますよ」
その攻撃を普段のイデアからは想像出来ない程軽くひらりと交わす。
「うるさいッッッッ!! 陰キャのお前に何が出来る!!!」
「は〜こういうタイプのやつってスグ怒る……ほんと困りますわ」
すかさず次の魔法が飛んでくるがイデアはその場から1歩も動かず防衛魔法で弾き返した。
「だぁから僕を誰だか知ってる? 一応これでも寮長なんだけど」
「な、なんでだよ、なんで当たらないんだよ!?」
焦るその人物はデタラメに魔法を打ち続ける、がその攻撃はひとつもイデアに当たることは無かった。
「ネトゲで鍛えられた反射神経がまさかこの様な形で役に立つとは……良いですか、魔法と言うのはこうして使うものですよ、っと」
そう言い軽く放ったイデア魔法は呆気なく当たりその人物はその場に倒れ込む。
「余裕でしたわ〜wwwソシャゲで言うと1-1、チュートリアルレベルでお話になりませんなwww」
倒れているその人物に近づき相手を見下ろす。
「はいチェックメイト、大分派手に魔法ぶっぱなしたから学園長にはチクらないので退学になるの嫌なら魔法の解除の方法教えていただけます?」
「ぐっ……誰がお前なんかに……俺は彼女と幸せになるんだ…」
その時イデアのポケットの中にあるスマホから声が聞こえる。
「あ、あの、こんにちは……」
ユウの声だった。
「!? ユウ氏、喋ったらダメ!!」
「ユウちゃんそこに居るんだね!?」
ポケットに伸びてくる手をイデアは魔法で押さえつける。
「はい、全部聞いていました」
スっと一呼吸が置かれる。
「イデアさん私を出してもらってもいいですか?」
「……大丈夫……?」
「お願いします」
ユウの強い意志の籠った言葉にイデアは意を決し、ポケットからスマホを取り出し電源を付けるとユウの姿が映し出される。
「初めまして、そしてありがとうございます、私を好きになってくださって。貴方のお気持ちとても嬉しかったです」
「だ、だったら……!」
「でもごめんなさい、貴方の気持ちにお答えする事は出来ません」
「どうして!? 俺君のためなら何でもするよ!? あ、スマホに閉じ込めたこと怒ってる!?謝るから!」
「いえ、もういいんです。私貴女のおかげで心から大切に思える人に出会えたんです」
言葉を続ける。
「でも私の大好きな人を傷付けようとした事は絶対に許しません」
「だからお願いです、イデアさんに謝ってください。そして私は自分にされた事では貴方を怒りません。謝って頂ければ全て許します、なのでどうか私をスマホから出す方法を教えてください」
「自分の好きな女の子がここまで言ってるのに教えない訳? 器の小さい男は嫌われますよ?」
イデアの言葉にその人物は観念した様に話し出す。
「貴方に一目惚れだったんです、街で1度落し物を拾ってくれた時、優しくしてくれた君に、惹かれました。でも、話しかける勇気なんか無くて、いつか本で見た好きな人を永遠に物に閉じこめる魔法を思いついて、スマホにかければ優しい君ならもう一度拾ってくれるんじゃないかって思って……」
沈黙が流れる。
「解除する方法は愛する人からのキス、はっ、御伽噺みたいな方法だろ、でもそれだけだ、素敵だろ?俺は彼女と純粋に結ばれたかったんだ……」
「だからといってこんな強引なやり方では女子に嫌われますぞ、このやり方が許されるのは2次元だけ」
「現実は上手くいかないな……」
「その気持ちはお察しします」
「ユウさんも、イデアさんも、本当にごめんなさい……」
謝罪の言葉を聞きイデアは彼を押さえつけていた魔法を解く。
「しょ、正直拙者は心が広くないのでユウ氏をこんな危険な目に合わせた人物を許せませんよ。でもユウ氏が許す、と言っているので拙者はもうこれ以上口出しするべきじゃないと思うんだよね、うん」
「はい、もういいんです、すべて許します。だから二度とこんな事したらダメですよ?今度こそ貴方に素敵な出会いがありますように」
彼は立ち上がり深々と頭を下げお礼を言うと何処かへと立ち去って行った。
さ、て……
「あぁの……解除の方法ですが……さ、さっきユウ氏が言っていた大切な人と大好きな人と言うのはその……勘違いでなければ……」
「勘違いじゃないです、イデアさん、貴方の事が大好きです」
画面を見て下さい、と言うユウの言葉にイデアはスマホに向き合う。
「いきなり助けて下さいだなんて言ったどこの誰だかも分からない私に親切にしてくださって、色々なお話を沢山してくださってとても楽しくて、気が付いたら貴方に惹かれていました」
彼女が真っ直ぐと見つめてくる。
「ぼっ僕も、最初は興味本位だったんだ、で、でも君と話すの楽しくて、初めてこんなに沢山女の子と喋って、僕を気持ち悪がらずに話してくれて、出会ったのが君でよかった」
ユウは黙って次の言葉を待つ。
「きっ君が好きなんだ、他の誰でもなくって、ユウ氏が、すき、」
イデアの言葉を聞きユウは微笑みながらスっと目を閉じた。
まるでイデアから口付けを待っているかのような光景。
その行動の意味を完全に理解したイデアはユウのその姿を心のスクリーンショットに収め画面の中に居る故に自分よりも何倍も小さな小さな少女の唇にそっと自分の唇を重ねた。
実際には1秒程度だった時間もイデアには永遠の時間に感じた。
しかし直ぐに唇に触れていた固く冷たかった画面が柔らかく温かいものに変わったのが分かった。
離れていく唇に名残惜しさを感じたが声が聞こえその気持ちは喜びへと変わった。
「イデアさん!」
ギュッと抱きしめられる。
機械を通してじゃない生の声が目の前から聞こえる。
目を開けた。
目の前には画面越しで見るよりもずっとずっと綺麗だった少女。
ずっと触れたいと思っていた彼女。
触れ合っている肌から人間特有の暖かな温もりが伝わる。
抱きしめているユウが体制はそのままにイデアを見上げる形になる。
「ほ、本物のユウ氏……!かかっ可愛い……あ、ずっと君に触れたかった……」
「私もです、ふふ、イデアさんって思っていたよりずっと背が高いんですね!」
「そ、そう?昔は無駄に背だけ高いって思ってたけど今は感謝している」
「生イデアさん超かっこいいです!あの、ご迷惑お掛けしてごめんなさい、こんな事になるなんて……」
「大丈夫、不安にさせるから言わなかったけどスマホに女の子を閉じこめるなんて過激な事する奴だからこうなるって分かってた」
「なら、余計に……」
「こうなるって分かっていたのに君を犯人に見つかりやすいようにチラつかせていた、これでお相子、じゃダメかな……」
「ダメじゃないです、私がお願いした事ですから。それに私イデアさんが守ってくれるって思ってました」
「僕も、最後まで君を守れて本当によかった……」
しばらく見つめあった後照れくさくなったイデアは顔を逸らしながら騙り始める。
「あああの、ここだけの話実は内心めちゃくちゃドキドキして居たなんて口が裂けても言えない……」
「ふふ、もう言ってますよ。イデアさんが対面の相手にあんなに煽るから私びっくりしちゃいました」
さらにいつもの調子に戻り出す。
「な、なんか色々終わって考えてみたら、ふひっw二次元の女の子が画面の中から出てくる、なんてオタクの憧れ中の憧れだよね……」
「えっ!? 2次元じゃない私はダメですか……?」
「あ、そ、そうじゃなくて! なんだか拙者ち、力が抜けてしまいまして……あっあの、今まで画面の中にいた好きな女の子が突然目の前に現れてど、どうしたらいいか分からなくて…ゲームの中の主人公はこういう時どうしてたと考えていて…」
そっぽを向いて目を泳がせながら喋るイデアの顔を両手で挟み正面を向かせる。
「イデアさん、ならまた1から沢山お話して、沢山触れ合って、これからも沢山2人の思い出つくりましょうね」
そう言い優しく優しく微笑むユウ。
いつもの小さい画面ではない、等身大のありのままの彼女。
「今から柄にも無いことを言う自覚ありますが聞いて下され、もう〇〇氏を二度と危険な目に合わせない、だからま、また僕と一緒に居てくれますか……?」
見た事ないイデアの真剣な表情に胸が熱くなる。
「ふふ、はい。勿論です。ねぇイデアさん私ファーストキスだったんです」
「あっ、せ、拙者も……」
「じゃあ誓いのセカンドキスも私にくれますか?」
その問いに「拒否権なにそれおいしいの?エンドロールで選択肢は表れないよね」と答えるイデア。
相手の温もりを感じながら交わした2人の2回目のキスはとても甘く、火傷してしまうと思うほどにとてもとても熱かった。
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