ぷれぜんとふぉーみー
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「ね、ねぇユウ氏、ちょっと、」
放課後、グリムがエースとデュースに誘われどこかへ行ってしまったので、1人で暇を潰すようにブラブラと廊下を歩いていると、どこかからギリギリ聞き取れるボリュームの声が聞こえふと呼び止められる。
こんな風に私を呼ぶ人物はただ1人だ。
声がしたと思われる方向へ顔を向けるとそこには思った通り周りの様子を伺いつつ、柱の影に隠れてこちらへ手招きしているイデア先輩の姿があった。
「あ、やっぱりイデア先輩だ! こんにちは、どうしたんですかそんな所でコソコソ隠れて」
「ヒッ! こここ声が大きい! 君ただでさえ普通にしてても目立つんだから!」
イデア先輩に近寄り声をかけるとビクッと肩を震わせ柱の影に完全に隠れてしまった。
「あ、ごめんなさい、私に何か用事ですか?」
私はイデア先輩の為になるべくボリュームを抑えて話しかける。
今の私は傍から見ると柱に向かって話しかけている変な人物だろう。
「き、君に渡したいものがあって……こ、ここだと目立つからちょっと着いてきてくれます……?」
「? はい、分かりました」
今度は柱の影から顔だけを出して子犬のような表情で見つめられる。
ここじゃダメな物って何かな?と思ったが、断る訳もなく素直にイデア先輩について行くことにした。
イデア先輩の後ろを着いて行き、暫く歩くと人気の離れた場所へと辿り着き歩みを止める。
周りに人が居ないのを確認すると、イデア先輩はアウターのポケットから何かを取りだした。
「こっ、これ……」
イデア先輩の差し出した物は、ドクロの形をした綺麗な青いキャンデーだった。
「あ! これイデア先輩が好きなキャンディーじゃないですか!渡したいものってもしかして……?」
「そ、そう、これ。ずっと君に渡したいと思ってんだけど、ぐ、グリム氏といつも一緒だから中々機会がなくて」
「そうだったんですね、普通に声掛けて下さっても良かったのに」
「だだだだって君いつも絶対誰かと一緒にいるから」
「あー、なるほど……わざわざ気を使わせてしまいすみません」
イデア先輩の言葉に色々と悟る。
「あ、いや、拙者が陰キャゆえのムーブだから気にしないで」
差し出されているキャンディーを見つめる。
「あの、でもこれ貴重なものじゃ……」
「う、うん、だから君にも食べて欲しくて」
「わぁぁ……私実はこれずっと食べてみたかったんです!ありがとうございます、イデア先輩!」
イデア先輩の手からキャンディーを受け取る。
きっと今私はだらしない顔をしているだろう、魔法のある世界で見たことも無い素材や調味料で作られたキャンデーをずっと食べて見たいと密かに憧れていたのだ。
「っ、(う、嬉しそうな顔、かか可愛い、天使か?)ふ、ふへへ、よ、喜んでくれて良かった。いやぁ、何日も粘った甲斐がありましたわ」
イデア先輩の言葉からどれくらい前からこの為に機会を伺って居たのかが気になったが、もしかしたら自分の恥ずかしい場面を見られていたかも知れないと思い聞くのは辞めた。
「これ、今食べていいですか?」
「も、勿論、是非今この場で感想を聞かせて欲しいでござる」
許可を頂いたので早速キャンディーを包んでいた袋を取る。
「いっただっきまーす!」
パクッと飴を口の中に含む。
とても不思議な味がした、元の世界に居た時には食べたことの無い様な味。
砂糖や生クリームとは違う、この世にある食べ物では例えられない様な不思議な甘さ。
異世界のお菓子はこんなにも美味しいものなのか。
ずっと舐めていたいくらい美味しいキャンディーに感動し、無言でイデア先輩に目で美味しいと伝える。
舐めていると不思議ととてもやる気が湧いてくる、気がした。
感想を伝える為に名残惜しいが一旦キャンディーから口を離す。
「んー! 美味しい〜! 凄い、これ今までに食べたことの無い様な味がします! 美味しい! キャンディーイエー!」
今すぐ駆け出したい気持ちを抑え、更に言葉を続ける。
「凄いです、なんかこう、とっても不思議な味がします! いやな甘さじゃなくて、でもスーッとしてるスッキリした甘さじゃなくて、パチパチと弾けるみたいで、とにかくとっても美味しいです!」
「ヒヒヒwwwナイス食レポwww期待通りの良いリアクションもあざっすwどう? どう? 中々に癖になる味じゃないですか?」
イデア先輩が得意げな顔で話しかけてくる。
「はい、確かにこれは食べたくなっちゃいますね、貴重でも手に入れたい気持ちが分かりました」
「フヒッwでしょ? この味をユウ氏と共有出来て実に嬉しいですぞ」
口に含み暫く味を堪能していると、あ、と思い付き舌を少しだけ出し持っていた鏡で舌の色を見てみる。
「ん! 先輩、先輩! 見て下さい、先輩の色!」
予想通り舌は真っ青に染まっていてその色がイデア先輩みたいだなぁと思い、美味しいキャンディーを舐めてテンションが上がっていた私はイデア先輩に自らの舌を見せる。
イデア先輩がポカンとした表情で私の舌を見ている
(やばい、少し子供っぽすぎた……?)
そう思ったのもつかの間イデア先輩が1歩、また1歩と私に近づく。
これ以上ない距離までイデア先輩が迫ってきた、突然のイデア先輩の行動に今度は私が驚いた表情をしてるとイデア先輩の顔が近づく、そして──
チュッ
「え、あ、え、」
「ヒヒッ、これでもっと拙者の色に染まりましたなぁwww」
いたずらっぽい表情をしているイデア先輩のその唇は少し色が薄れていた。
私は自らの唇を親指で拭い、その指を確認する。
「拙者とお揃いでござるな」
イデア先輩の言葉に、指に着いた青と本来その青が着いていた場所思い浮かべる。
その色の着いていた場所はイデア先輩の──
「ふ、不意打ちダメ、ゼッタイ!」
そう言い彼女は未だ少しの青を残した唇のまま、顔を真っ赤に染めながら走り去っていってしまった。
イデアはその場にしゃがみこむ。
「いやいやいやちょっと待って拙者何してるの……いくらユウ氏が可愛かったからって今のはアウトでしょ……通報されたらタイーホ待ったナシ……い、いやだってしょうがないって、可愛い顔で見つめられたと思ったら拙者の色って、それは誰だって1発KOのチート技でしょ……こ、これが確信犯じゃなかったら天然タラシの類……きっとあの唇のままで誰かにあったら間違いなく拙者が真っ先に疑われるんだろうなぁ……ヒヒッ……」
面と向かって彼女の周りの男達と勝負出来ないイデアにとって、思わぬ形で最高の牽制が叶った瞬間であった。
放課後、グリムがエースとデュースに誘われどこかへ行ってしまったので、1人で暇を潰すようにブラブラと廊下を歩いていると、どこかからギリギリ聞き取れるボリュームの声が聞こえふと呼び止められる。
こんな風に私を呼ぶ人物はただ1人だ。
声がしたと思われる方向へ顔を向けるとそこには思った通り周りの様子を伺いつつ、柱の影に隠れてこちらへ手招きしているイデア先輩の姿があった。
「あ、やっぱりイデア先輩だ! こんにちは、どうしたんですかそんな所でコソコソ隠れて」
「ヒッ! こここ声が大きい! 君ただでさえ普通にしてても目立つんだから!」
イデア先輩に近寄り声をかけるとビクッと肩を震わせ柱の影に完全に隠れてしまった。
「あ、ごめんなさい、私に何か用事ですか?」
私はイデア先輩の為になるべくボリュームを抑えて話しかける。
今の私は傍から見ると柱に向かって話しかけている変な人物だろう。
「き、君に渡したいものがあって……こ、ここだと目立つからちょっと着いてきてくれます……?」
「? はい、分かりました」
今度は柱の影から顔だけを出して子犬のような表情で見つめられる。
ここじゃダメな物って何かな?と思ったが、断る訳もなく素直にイデア先輩について行くことにした。
イデア先輩の後ろを着いて行き、暫く歩くと人気の離れた場所へと辿り着き歩みを止める。
周りに人が居ないのを確認すると、イデア先輩はアウターのポケットから何かを取りだした。
「こっ、これ……」
イデア先輩の差し出した物は、ドクロの形をした綺麗な青いキャンデーだった。
「あ! これイデア先輩が好きなキャンディーじゃないですか!渡したいものってもしかして……?」
「そ、そう、これ。ずっと君に渡したいと思ってんだけど、ぐ、グリム氏といつも一緒だから中々機会がなくて」
「そうだったんですね、普通に声掛けて下さっても良かったのに」
「だだだだって君いつも絶対誰かと一緒にいるから」
「あー、なるほど……わざわざ気を使わせてしまいすみません」
イデア先輩の言葉に色々と悟る。
「あ、いや、拙者が陰キャゆえのムーブだから気にしないで」
差し出されているキャンディーを見つめる。
「あの、でもこれ貴重なものじゃ……」
「う、うん、だから君にも食べて欲しくて」
「わぁぁ……私実はこれずっと食べてみたかったんです!ありがとうございます、イデア先輩!」
イデア先輩の手からキャンディーを受け取る。
きっと今私はだらしない顔をしているだろう、魔法のある世界で見たことも無い素材や調味料で作られたキャンデーをずっと食べて見たいと密かに憧れていたのだ。
「っ、(う、嬉しそうな顔、かか可愛い、天使か?)ふ、ふへへ、よ、喜んでくれて良かった。いやぁ、何日も粘った甲斐がありましたわ」
イデア先輩の言葉からどれくらい前からこの為に機会を伺って居たのかが気になったが、もしかしたら自分の恥ずかしい場面を見られていたかも知れないと思い聞くのは辞めた。
「これ、今食べていいですか?」
「も、勿論、是非今この場で感想を聞かせて欲しいでござる」
許可を頂いたので早速キャンディーを包んでいた袋を取る。
「いっただっきまーす!」
パクッと飴を口の中に含む。
とても不思議な味がした、元の世界に居た時には食べたことの無い様な味。
砂糖や生クリームとは違う、この世にある食べ物では例えられない様な不思議な甘さ。
異世界のお菓子はこんなにも美味しいものなのか。
ずっと舐めていたいくらい美味しいキャンディーに感動し、無言でイデア先輩に目で美味しいと伝える。
舐めていると不思議ととてもやる気が湧いてくる、気がした。
感想を伝える為に名残惜しいが一旦キャンディーから口を離す。
「んー! 美味しい〜! 凄い、これ今までに食べたことの無い様な味がします! 美味しい! キャンディーイエー!」
今すぐ駆け出したい気持ちを抑え、更に言葉を続ける。
「凄いです、なんかこう、とっても不思議な味がします! いやな甘さじゃなくて、でもスーッとしてるスッキリした甘さじゃなくて、パチパチと弾けるみたいで、とにかくとっても美味しいです!」
「ヒヒヒwwwナイス食レポwww期待通りの良いリアクションもあざっすwどう? どう? 中々に癖になる味じゃないですか?」
イデア先輩が得意げな顔で話しかけてくる。
「はい、確かにこれは食べたくなっちゃいますね、貴重でも手に入れたい気持ちが分かりました」
「フヒッwでしょ? この味をユウ氏と共有出来て実に嬉しいですぞ」
口に含み暫く味を堪能していると、あ、と思い付き舌を少しだけ出し持っていた鏡で舌の色を見てみる。
「ん! 先輩、先輩! 見て下さい、先輩の色!」
予想通り舌は真っ青に染まっていてその色がイデア先輩みたいだなぁと思い、美味しいキャンディーを舐めてテンションが上がっていた私はイデア先輩に自らの舌を見せる。
イデア先輩がポカンとした表情で私の舌を見ている
(やばい、少し子供っぽすぎた……?)
そう思ったのもつかの間イデア先輩が1歩、また1歩と私に近づく。
これ以上ない距離までイデア先輩が迫ってきた、突然のイデア先輩の行動に今度は私が驚いた表情をしてるとイデア先輩の顔が近づく、そして──
チュッ
「え、あ、え、」
「ヒヒッ、これでもっと拙者の色に染まりましたなぁwww」
いたずらっぽい表情をしているイデア先輩のその唇は少し色が薄れていた。
私は自らの唇を親指で拭い、その指を確認する。
「拙者とお揃いでござるな」
イデア先輩の言葉に、指に着いた青と本来その青が着いていた場所思い浮かべる。
その色の着いていた場所はイデア先輩の──
「ふ、不意打ちダメ、ゼッタイ!」
そう言い彼女は未だ少しの青を残した唇のまま、顔を真っ赤に染めながら走り去っていってしまった。
イデアはその場にしゃがみこむ。
「いやいやいやちょっと待って拙者何してるの……いくらユウ氏が可愛かったからって今のはアウトでしょ……通報されたらタイーホ待ったナシ……い、いやだってしょうがないって、可愛い顔で見つめられたと思ったら拙者の色って、それは誰だって1発KOのチート技でしょ……こ、これが確信犯じゃなかったら天然タラシの類……きっとあの唇のままで誰かにあったら間違いなく拙者が真っ先に疑われるんだろうなぁ……ヒヒッ……」
面と向かって彼女の周りの男達と勝負出来ないイデアにとって、思わぬ形で最高の牽制が叶った瞬間であった。
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