ハッピーハッピーバッドエンド
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遂にこの日が来た。
目の前には大きな鏡がある、ここに入ってしまえばもうこの世界に帰ってくることは出来ない。
遂に最後まで会えなかった青い髪の彼のことを思い浮かべ私は大きく深呼吸を、覚悟を決め元の世界に帰ろうと鏡を潜ろうとしたその時、何かに強く引っ張られた。
動けない。
体が金縛りにあったように動かない。
腕を見ると青白く光る何かに掴まれていることに気がついた。
よく見ると腕だけではない、その何かは足服胴体身体中に巻きついていた。
何とか首だけでも後ろを見るとそれの正体は青白く光る無数の手であった。
縋り付くように巻きついている手により前に進もうとしても後ろに戻ろうとしても体はビクともしない。
「ヒッ……え、あ、なに、これ……」
見たことも無いような幻想的で、でもどこか恐ろしい光景に私はおもわず声が出た。
「あ、君にも見えた? いや〜君が元の世界に帰れないように毎日少しずつこっちの世界に魂を結びつけたんだけど、中々見えないみたいで流石の拙者でも苦労しましたわ〜」
声が聞こえた、私が最後に会いたくて会いたくて仕方がなかった人の声が。
「まぁ最後の最後で見えるとかロマンティックじゃね? と思って拙者がそう演出したんですけど。苦労したのは本当なんだよ? 異世界の君とじゃ魂の勝手が違いすぎて、でもまぁ?拙者天才ですし? これでもシュラウド家の人間ですし? これくらい余裕でしたけど? 最終的にはこうして上手く行くってことはやっぱり拙者達運命で結ばれてるの確定ですね、お疲れ様っしたー。これがギャルゲならここでハッピーエンドからのエンドロール待ったナシ」
イデア先輩の話が終わるのを合図かのように無数の手によりそのまま体が地面に優しく押し付けられた。
仰向けに倒れたので真上には私を見下ろすイデア先輩の顔が見える。
「という訳でユウ氏? どうする? どうするって言っても勿論答えはもう決まってるよね?」
ずっと会いたかった人の顔は今までに見たことも無いような喜びと狂気に満ちたそれはそれは綺麗な笑顔で笑っていた。
見蕩れてしまった。
「大丈夫、何も怖い事なんてないよ。だって僕はき、君がす、すす好きだから。安心して僕に身を委ねて」
ずっとずっと欲しかった言葉、ずっとずっと聞きたかった言葉。
でもこんな状況なのに喋り方はいつものイデア先輩で。
そしてその言葉に私は悟った、あぁ、この人は私を逃す気はないと、私はこの人からは逃げられないと。
心の底から喜びが充ちた。
恐怖心なんかない、いや最初から無かったのだ。
むしろ私はこの展開を望んでいた。
私の選択肢はただ1つ、ハッピーエンドにもバッドエンドにもなる最高の選択肢。
「私も大好きです。ずっと一緒ですよ、イデア先輩」
言い切ると無数の手の力が緩まり体を起こす、完全に手が離れて行くのを待たずイデア先輩に力強く抱きしめられた。
「あー、待って、尊い……嬉しすぎて死にそう……本当頑張ったかいがありましたわ。もう取り消せないからね。やっぱり無理とか言われても無理だからね」
一瞬にしてイデア先輩の顔つきが変わる。
そして──
「"2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ"物語がこう終わるのは当たり前だよね、常識的に考えて」
何かの呪文や合図だったのであろうその言葉を聞き私の中に温かな火が灯るのを感じた。
きっと私は今この瞬間魂をこの人に捧げ彼の魂は私に捧げられたのだ。
「これで僕達は死んでも永遠に一緒だよ、ユウ氏」
私はずっと待っていた、お姫様を助けてハッピーエンドを捧げてくれる王子様ではなく私の心を奪い攫ってくれる悪い人との最高のバッドエンドを。
目の前には大きな鏡がある、ここに入ってしまえばもうこの世界に帰ってくることは出来ない。
遂に最後まで会えなかった青い髪の彼のことを思い浮かべ私は大きく深呼吸を、覚悟を決め元の世界に帰ろうと鏡を潜ろうとしたその時、何かに強く引っ張られた。
動けない。
体が金縛りにあったように動かない。
腕を見ると青白く光る何かに掴まれていることに気がついた。
よく見ると腕だけではない、その何かは足服胴体身体中に巻きついていた。
何とか首だけでも後ろを見るとそれの正体は青白く光る無数の手であった。
縋り付くように巻きついている手により前に進もうとしても後ろに戻ろうとしても体はビクともしない。
「ヒッ……え、あ、なに、これ……」
見たことも無いような幻想的で、でもどこか恐ろしい光景に私はおもわず声が出た。
「あ、君にも見えた? いや〜君が元の世界に帰れないように毎日少しずつこっちの世界に魂を結びつけたんだけど、中々見えないみたいで流石の拙者でも苦労しましたわ〜」
声が聞こえた、私が最後に会いたくて会いたくて仕方がなかった人の声が。
「まぁ最後の最後で見えるとかロマンティックじゃね? と思って拙者がそう演出したんですけど。苦労したのは本当なんだよ? 異世界の君とじゃ魂の勝手が違いすぎて、でもまぁ?拙者天才ですし? これでもシュラウド家の人間ですし? これくらい余裕でしたけど? 最終的にはこうして上手く行くってことはやっぱり拙者達運命で結ばれてるの確定ですね、お疲れ様っしたー。これがギャルゲならここでハッピーエンドからのエンドロール待ったナシ」
イデア先輩の話が終わるのを合図かのように無数の手によりそのまま体が地面に優しく押し付けられた。
仰向けに倒れたので真上には私を見下ろすイデア先輩の顔が見える。
「という訳でユウ氏? どうする? どうするって言っても勿論答えはもう決まってるよね?」
ずっと会いたかった人の顔は今までに見たことも無いような喜びと狂気に満ちたそれはそれは綺麗な笑顔で笑っていた。
見蕩れてしまった。
「大丈夫、何も怖い事なんてないよ。だって僕はき、君がす、すす好きだから。安心して僕に身を委ねて」
ずっとずっと欲しかった言葉、ずっとずっと聞きたかった言葉。
でもこんな状況なのに喋り方はいつものイデア先輩で。
そしてその言葉に私は悟った、あぁ、この人は私を逃す気はないと、私はこの人からは逃げられないと。
心の底から喜びが充ちた。
恐怖心なんかない、いや最初から無かったのだ。
むしろ私はこの展開を望んでいた。
私の選択肢はただ1つ、ハッピーエンドにもバッドエンドにもなる最高の選択肢。
「私も大好きです。ずっと一緒ですよ、イデア先輩」
言い切ると無数の手の力が緩まり体を起こす、完全に手が離れて行くのを待たずイデア先輩に力強く抱きしめられた。
「あー、待って、尊い……嬉しすぎて死にそう……本当頑張ったかいがありましたわ。もう取り消せないからね。やっぱり無理とか言われても無理だからね」
一瞬にしてイデア先輩の顔つきが変わる。
そして──
「"2人はいつまでも幸せに暮らしましたとさ"物語がこう終わるのは当たり前だよね、常識的に考えて」
何かの呪文や合図だったのであろうその言葉を聞き私の中に温かな火が灯るのを感じた。
きっと私は今この瞬間魂をこの人に捧げ彼の魂は私に捧げられたのだ。
「これで僕達は死んでも永遠に一緒だよ、ユウ氏」
私はずっと待っていた、お姫様を助けてハッピーエンドを捧げてくれる王子様ではなく私の心を奪い攫ってくれる悪い人との最高のバッドエンドを。
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