「遂に元の世界に帰る方法が見つかりました！」


学園長からそう聞いた時嬉しいような寂しいような複雑な心境だった。
最初はあんなにも帰りたいと思っていたのに今はこの世界で出会った人達と離れるのは寂しい、そう思うくらい私はこの世界が大好きになっていた。

それでも心のどこかではこの夢は長く続かない、いつか帰らなければと分かっていた、その時が来ただけなのだ。
いつも一緒に居て助けてくれた2人、2人で1人だった1匹、助けてくれた先輩、仲良くなった友人、私はゆっくり時間をかけ今までにお世話になった人1人1人に別れの挨拶告げ、最後には盛大なパーティーまで開いてもらった。

最後の夜、結局1番会いたかった私にずっと寄り添ってくれてこの世界で私に沢山の事を教えてくれた彼には遂に最後まで会えなかった。
でもこれでよかったのかも知れない、私は異世界人で彼はこの世界の人間。
思いを告げたら彼を困らせてしまう、そう思うとこれで良かったのだ。
そう言い聞かせ、今まで数多くの夜を過ごしたこのボロボロだけど大好きだった部屋で溢れた涙に気づかない振りをし最後の夜を明かした。