あなたと異星交流

「小春ってさ、うちらの誘い断るとき何してんの?」
高校生の集う安価なファミレスで、みゆのつけまとマスカラでバチバチした双眸が、小春の紫がかったカラコン入りの瞳をとらえた。
「んー?幼馴染といるんだよ」
小春の解答にここにいる五人の中で一番恋バナ好きの明里がバンっと机を叩きながら勢いよく立ちあっがて、
「幼馴染!? え、彼氏?」
と言って、小春の隣に座っているアヤちゃんが、「あれ、こないだ彼氏と別れたって言ってたの1週間前とかじゃなかった~?」と間延びした声で行った。
「まじ、小春やっぱやるわあ~これでもう歴代彼氏十人めくらいじゃないの~」
とみゆがニヤニヤしながら言ったせいで、一つのテーブルを囲んだ空間がわいた。今店に入ってきた眼鏡をかけたおとなしそうな女子高校生の二人組が派手な髪色をした四人組が騒いでいるのをみて、ギョッとしている。小春は小さくため息をついた。
「明里、あんたそんなに身ぃ乗り出してるとパンツ見えるわよ。」
制服のスカートを何重にも折ってマイクロミニにしている明里(というかここにいる全員そうなのだが)は慌ててスカートの後ろに手をやってぼすんとソファーに座った。
「幼馴染って言っても、中三の女子よ。彼氏じゃないわよ」
小春がそう言うと明里はなーんだ、と言ってみゆは残念そうな顔でグラスの氷を噛みはじめた。でも、次の瞬間
「ふーん、カノジョじゃないのぉ?」
とアヤちゃんが言ったせいで、また三人は騒ぎ始めてしまった。
(はぁ、なんか今日はついていけないわ)
小春は携帯でも見て騒ぎがおさまるのを待つことに決めて、ポケットから最新のスマホを取り出した。
「ねえ、やっぱあたしもう帰るわ」
いきなり立ち上がって帰り支度を始めた小春に、一同はポカンとしている。
「え、やっぱあんた彼氏できたんじゃないの?」
「もしかして幼馴染のカノジョ~?」
「好きなように思ってていいわよ、じゃあ明日ね!」
後ろから待ってよーとかちょっとーと言う声が聞こえるけど、小春は無視して駅に向かった。
(カノジョ・・・になれればなあ)
最新のスマホの画面に映るのは「やっぱり家に行っていい?」というメッセージ。「今から帰るね!」と返事をしたら、小春は走り出した。
幼馴染の彼女に会う時の胸の高鳴りは、小さい頃から変わっていない。
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