01鐘 オニキスの天空竜
賢者の木。それはココ、小さな町であるオニキスの中心部にある巨木のことだ。
高さは150メートル、屋根のように伸びた枝は両幅40メートル、支える幹は胴回り300センチメートルを超えており町のシンボルと化していた。
嵐の風雨に負けず飛び続けて3分。
ゴウ、ゴウ……と音をたてながら揺れる巨木が見えてきた。
「実 に不思議な木じゃ。この風じゃ人が立ち続けるのも難しいじゃろうに、葉、一枚とも飛び立たぬとはな」
アキークは飛びながら賢者の木の周辺をぐるり、ぐるりと旋回しながら注意深く観察する。
先ほどのシャハルの様子から“普通では無いこと”が起こっているのは間違いない。一体なにが……?
ーーすると、賢者の木の色とは異なる色が見えてくる。
アキークが注意深く観察すると細い糸のようなものが嵐の風に合わせて揺れ動いていた。
「! 髪!?」
それが人の髪であることを瞬時に理解した。風を切り、一気にその場所へ追い詰めるように近づく。
木陰の下には二つの人影があった。一つはレインコートを着たシャハルだ。
彼はずぶ濡れになりながら不安そうな表情を浮かべ木の上部を見つめていた。
「アキーク様、あの人です!」
シャハルは指を指し示す。そこには女性がいた。全身が複数の木の枝で縛り付けられているように見える。
アキークは女性に手を近づければ枝はゆるやかに締め付けを緩めだす。
巨大な手の平に女性が収まったとき、アキークの表情は一気に険しくなった。
「! 大変じゃ! 体が冷えきっておるぞ」
女性の体はすぶ濡れで完全に意識を失っていた。
体温はとても人の平熱とは思えない程冷たい。
アキークは指を折り曲げ、雨に当たらないようにする。
「シャハル、急いで戻り手当ての準備をするのじゃ。まだ息がある。彼女を助けるぞ……!」
シャハルは無言のまま頷き、竜の間のある城へ全速力で向かう。
アキークは両翼を広げシャハルと同じ方角へ飛び立った。
心の中で死ぬな、死ぬな……と祈りながら、大気中に溢れる火の星石 にを手に集め、少しでも女性の体を温める為に手の中で熱を作る。
高さは150メートル、屋根のように伸びた枝は両幅40メートル、支える幹は胴回り300センチメートルを超えており町のシンボルと化していた。
嵐の風雨に負けず飛び続けて3分。
ゴウ、ゴウ……と音をたてながら揺れる巨木が見えてきた。
「
アキークは飛びながら賢者の木の周辺をぐるり、ぐるりと旋回しながら注意深く観察する。
先ほどのシャハルの様子から“普通では無いこと”が起こっているのは間違いない。一体なにが……?
ーーすると、賢者の木の色とは異なる色が見えてくる。
アキークが注意深く観察すると細い糸のようなものが嵐の風に合わせて揺れ動いていた。
「! 髪!?」
それが人の髪であることを瞬時に理解した。風を切り、一気にその場所へ追い詰めるように近づく。
木陰の下には二つの人影があった。一つはレインコートを着たシャハルだ。
彼はずぶ濡れになりながら不安そうな表情を浮かべ木の上部を見つめていた。
「アキーク様、あの人です!」
シャハルは指を指し示す。そこには女性がいた。全身が複数の木の枝で縛り付けられているように見える。
アキークは女性に手を近づければ枝はゆるやかに締め付けを緩めだす。
巨大な手の平に女性が収まったとき、アキークの表情は一気に険しくなった。
「! 大変じゃ! 体が冷えきっておるぞ」
女性の体はすぶ濡れで完全に意識を失っていた。
体温はとても人の平熱とは思えない程冷たい。
アキークは指を折り曲げ、雨に当たらないようにする。
「シャハル、急いで戻り手当ての準備をするのじゃ。まだ息がある。彼女を助けるぞ……!」
シャハルは無言のまま頷き、竜の間のある城へ全速力で向かう。
アキークは両翼を広げシャハルと同じ方角へ飛び立った。
心の中で死ぬな、死ぬな……と祈りながら、大気中に溢れる火の
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