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刀懐道中懐刀


 気が付いたのは、ある日の目覚めたときだった。そういえば、道中薬研と携帯食料を分け合ったり、木の実をつまんだ。眠るとき以外は、薬研はずっと歩き通し。私はその背の上。山越えはとっくに頂点を越えたらしく、下りに入って数日経っていた。たぶん、今朝の目覚めで、山に入ってから六日目だ。

 薬研の小さな背にもたれながら、この数日のことを振り返る。薬研に話したこと。訊かれたこと。薬研が言っていたこと。どれも、ひとつの事実に対して矛盾するところがない。
 そうか。そうなのか。納得しながら、薬研の後ろ肩に顔を埋めた。
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