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第2話

❀ 場地水都 ❀




 東京卍會のメンバーは皆個性的だ。マイキーは言うまでもなく、しっかり者でカッコいいドラケン、同じくしっかり者で面倒見の良い三ツ谷、アホだけど力持ちのパーちん、色々ぶっ壊れている一虎、色んな種類の人間から出来上がっていた。


「みーちゃん紅一点じゃん。良かったね」
「良かったって何が?」
「モテモテ」
「は?お前私のことそんな目で見てんの?気色悪っ」
「え、酷くない?今すごく傷ついたよ俺」


 マイキーとは昔からいつもこんな感じだ。弟とほぼ扱いは変わらない。でも、実を言うと私は彼のことがあまり好きじゃない。その理由は僻み以外の何物でもないのだが、私も子どもだからそれくらいの感情は持っていて良いと思う。


「お前ら本当に仲良いな」
「ドラケンお前何見てたんだ?コイツの躾ちゃんとしてくれよ、保護者だろ?」
「いや保護者じゃねぇし。てか付き合いはお前らの方が長えだろうが」


 ドラケンは何やかんや優しい。そして何よりイケメンだ。ガタイも良いし喧嘩も強い。こんなカッコいい奴とつるめるなんて私は幸せ者だと思う。


「私、ドラケンと三ツ谷以外は男として見れないから。200%無いと思うけど変な気起こしたら殺す」
「それってケンチンと三ツ谷なら変な気起こしてもOKってこと?」
「少なくともお前よりかはマシだわ」
「みーちゃん昔から俺にだけ当たりキツイよな〜」


 そりゃあな。だって私、お前のこと僻んでるもの。特に努力もしないのに何でもできるんだから悔しいの。私が死ぬ気で手に入れたもの、お前はいとも簡単に手に入れてしまうから。


「さっきから面白そうな話してんじゃん。俺も混ぜてよ」
「黙れ。テメェはあそこの馬鹿とママゴトでもしてろ」
「 え、ひどッ。マイキー以下の扱い受けてね俺」
「おい誰が馬鹿だこのゴリラ。口開くたびに悪口言ってんじゃねぇ」
「悪口じゃなくて事実な。失せろ失せろ」


 どこからともなく現れて肩を組んできた一虎を押し退けると、私はソファから立ち上がった。間接的に流れ弾をくらった圭介に心の中で手を合わせ、一人でもくもくとポテチを食ってるパーちんの前に腰掛ける。


「それ私にもくれよ」
「あ?嫌に決まってんだろ、全部俺のだ」
「うわぁ、ケチな奴だな。だからモテないんだよお前」
「ケチじゃなくてもモテねぇだろコイツは」


 三ツ谷は結構はっきり物を言う。基本的に優しい子なんだけど、思ったことは飾らず口にするタイプかもしれない。


「お前も容赦ないなぁ三ツ谷。怒って良いと思うぞパー」
「あ?俺今なんか言われたのか?馬鹿だからよく分かんねぇわ」
「お前本当に幸せな脳みそしてんな、羨ましいわ」


 そう、いつも私たちはこんな感じだ。学校では上品な優等生を演じている私だけど、彼らの前では素でいられる。だから私は東卍が好きで、第二のマイホームのように思っている。
 男といた方が楽とか、そんなことは微塵も思っていない。男だからじゃなくて、彼らだからこそ楽なのだ。彼らだからこそ、一緒にいて楽しいと思えるのだ。


「だから私、辞められないんだよなぁ」
「ん?なんか言ったか水都」
「いいや、なんにも」


 不思議そうに首を傾げた三ツ谷の頭に手を伸ばす。短く切られた銀髪を軽く撫でれば、三ツ谷は少し困ったように笑った。




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