第二章

* * *



 それからというもの、私は常に彼女と一緒に行動するようになった。あの二人に依存した時と同じように、常に彼女の姿を探すようになってしまった。でも、あの時とは確実に違う。彼女は私が見つけるよりも先に私の隣にやって来て、テニスの話やらしょうもない話やらを繰り返していた。


「メイディは私を見つけるのが早いね」
「当たり前じゃない!ユウリ目立つからすぐ見つけられるよ!」
「私って目立つの?日本人だから?」
「それもあるけど、なんかキラキラして見えるんだよね」
「それは絶対気のせいだよ。本当なら眼科行った方が良い」


 彼女と過ごす日々は楽しかった。あんなに毎日必死で、目の前のことを終わらすことだけで精一杯だったのに、いつの間にか心に余裕ができていた。あんなに死ぬ気でやっていたテニスも、彼女と一緒だと笑顔が絶えない。


「私きっと、メイディがいなきゃ生きていけない」
「え〜?何それ嬉しいなぁ!…でも、それはきっと私の方なんだよ」
「メイディは私がいなくても平気じゃん。今までだってそうだったでしょ?」
「…分かってないなぁ、ユウリは」


 その時の彼女の寂しそうな笑顔は、一体何を意味していたのだろう。よく分からないままその会話は終わってしまったけど、彼女は私に隠し事をしていたのだろう。そしてそれは絶対私には言いたくないことだったのだろう。普段お喋りな彼女が急に黙り込むものだから、私もそれ以上聞くことができなかったのだ。




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