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"密輸四天王"シリーズ

1. ~密輸四天王の初会合~


かんは非常に機嫌が悪かった。

何故なぜならば、ボスと2人きりで
酒を飲み交わすと思っていたのに、
ボスの物真似をした奴と、
能面のうめんを付けた野郎が相席していたからだ。

「ボス‼︎コイツら誰アルネ!」
「俺ノツレダ。安心シロ。」

ボスは2人に自己紹介をするように促した。

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「それジャあ、マズワ俺だネ」

そう言って立ち上がったのは、
ボスの物真似をしている奴。

ボスと違うところと言えば、
イヌのマスクを付けていないくらいだ。

「俺ワ情報屋ッテ呼ばレテいるネ‼︎
俺と出会ッタ人皆んナ友達ダヨ~」

「お前何でボスと同じ格好カ⁉︎
弁髪べんぱつまで真似して気に食わないネ‼︎」

あぁ~コレね、と情報屋は
口角をニヤッと上げた。

「何かあッタ時、ボスのセイに出来るデショ?
コレ非常に便利ネ~!」

漢は腰に吊るしていた剣を迷わず抜き、
情報屋に勢いよく迫る。

「漢ヤメロ。コイツワ、
コウイウ冗談ヲ言ウ奴ナンダ。」

仲良くしてやってくれ、と
ボスは漢の肩を叩いた。

ボスの頼みならば仕方がない。
漢は納得出来ない面持ちのまま
渋々しぶしぶ、剣をソードホルダーにしまった。

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情報屋の自己紹介が終わるや否や、
音もなく立ち上がったのは、あの能面野郎。

「…シリアルキラー」

それだけ言って、また座った。
漢は思わず身震いした。
コイツだけは絶対に怒らせてはいけない。

殺伐さつばつとした雰囲気、
身体からだ中に飛び散るカラフルな血、
そして何処どこを見ているのか、
男なのか女なのか、
笑っているのか怒っているのか、
何1つ掴めないその姿に漢は困惑した。

「はッハッはっ、怖ガらセナいヨ~」
「………」
「シリアルキラー、申シ訳ナサソウダナ」
「ほラホら、気持チだケじャ伝ワラないヨ‼︎」

何故、ボスと情報屋はコイツの感情が
読み取れるんだろう。

漢は不思議に思うと同時に、
自分はまだまだ武闘派として
未熟なのかもしれないと感じた。

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初会合がゴタつきながら終わった後、
ボスは全員が乗れる自家用寝台列車を
走らせてくれた。

情報屋とシリアルキラーは
騒がしい様子で先に乗車して行った。
(と言っても喋っているのはほとんど情報屋だったが)

「ボス。俺、いつかシリアルキラーを倒して、
もっともっと強くならねばいけないアル。」

ボスはその言葉に驚いた様子を少し見せたが、
ぐにフッと笑ってこう言った。

「俺タチワ、モウ四天王トイウ仲間ダゼ?
争ッテ勝チ負ケヲ決メルノワ
目的ジャナインダ。」

「オマエワ俺ガ見込ンダおとこダ。
コレ以上言葉ワ要ラナイダロウ。」

ボスのその言葉を聞いて、
かんはこの4人でやっていくのも
悪くはないのかもしれないと思った。
ボスが俺を見込んでくれたのだから。

「オい‼︎漢~!お前時間にルーずダなァ。
遅延料シッかリ払エよな‼︎」

…やっぱり撤回。

「情報屋‼︎呼び捨て辞めろネ‼︎」
「アれ⁉︎キレてンの‼︎漢だケにカンカンね‼︎」
「貴様~‼︎やっぱり斬るアル‼︎」

やれやれ、とボスは笑みをこぼすのであった。

                    -つづく
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