"DD島の暮らし"シリーズ
4. DD島~ハトの巣の歩み~
DD島の最北端に位置する博物館。
居眠りフータの側を抜けて階段を上がると、
「喫茶 ハトの巣」があります。
今日は、そのマスターのお話。
(このお話は『おいでよ どうぶつの森』に
一部基づいています。)
---------✄----------------✄-------
「閉店…ですか。」
「残念じゃが、もう決定したことじゃ。
また会える日を楽しみにしているぞい。」
村長のコトブキはコーヒーを飲んだ後、
静かにそう告げ、去って行った。
村の掲示板に閉店のお知らせが貼られ、
村全体は騒然となった。
「もうマスターのコーヒー飲めないの?
こんなのおかしいよ!」
若かりし頃の𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎は
役場に乗り込もうとしたので、
門番たちが大慌てで止めた。
閉店当日の夜。
フータがコーヒーを飲みに来た。
「わたくし、マスターに会えなくなるのですか。
次は、一体いつ会えるのですか?」
「…」
そう目を潤ませるフータにかける言葉を、
マスターはとうとう見つけられなかった。
ピカピカに磨いたはずのカウンターは
静かに色褪 せていった。
---------✄----------------✄-------
「純喫茶 ハトの巣」が閉店した後、
ハニワ愛好家だったマスターは、
ハニワ探しの旅を始めることにした。
それを聞いたぺりこは、すごく心配した。
「危なくありませんか?大丈夫ですか?
ね、ぺりおさん?」
「うーん、どうかな…ぺりみさんはどう思う?」
「別に良いんじゃないのぉ?
(どうでもいいっつーの)
だいたい、なんでアタシに聞くワケ?」
「あ、えっと、それは…」
ぺりおは顔を赤らめた。
「ぺりおさん…?」
「ハァ…(めんどくさー)」
どことなく険悪な雰囲気になったので、
マスターは早々に出発した。
りんごが名産の島、流れ星が見られる島、
雪が降り続ける島、サメに囲まれた島…
ときどき、バッグをおもむろに開き
コーヒーミルを取り出す。
もちろん、ハトの巣特製コーヒー豆を使う。
海を眺めながら飲むコーヒーは、美味しい。
でも、まだ心にぽっかり穴が空いたまま。
どこに行っても、どんな景色を目に焼き付けても
ハトの巣での思い出が消えることはなかった。
そんなある日、
𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎さんが船に乗ってやってきた。
「マスターを探していました。
フータさんに頼まれて…」
---------✄----------------✄-------
DD島に着き、博物館へ案内された。
博物館に入るや否や、
「マスター!また会えて嬉しいです。」
羽ばたいてしまいそうなほど喜ぶフータの姿が。
一体何年ぶりだろうか。ひどく懐かしい。
「テーブルはここで良いのか?」
設営を手伝うシベリアが声をかける。
「あの…電話はどちらに置けば?」
店内はもう、てんやわんや。
.
.
.
ようやくひと息つくと、マスターはハッとした。
「…また、フータさんに何も…」
「気を張ることじゃないと思うけど?」
いつのまにかマスターの横にいたのはオパール。
彼女は「純喫茶 ハトの巣」の常連だった。
𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎とも、その頃からの仲だ。
「…オパールさん」
「彼、あんなに喜んでいるじゃない。」
何も気にしていないわよと微笑む。
「…フータさん、昔から…見返りを求めません。
いい人です…フータさん。」
---------✄----------------✄-------
マスターが、3枚の写真を入り口にそっと飾る。
喫茶店の設営が無事完了した。
「マスター!これからも…よろしくお願いします!」
「こちらこそ…また、会えて嬉しいです。」
涙を浮かべて笑うフータに
優しい目を向けるマスター。
「はあー!疲れた!アタシ、ミルクティーで!」
「あら、コーヒーは?」
「ウチは、やっぱりコーヒーゼリーカレーが」
住民たちが次々と着席し、
店は明るい声に包まれる。
---------✄----------------✄-------
そしてマスターは、呟くのです。
「入れたての…熱いヤツを…どうぞ」
-つづく
DD島の最北端に位置する博物館。
居眠りフータの側を抜けて階段を上がると、
「喫茶 ハトの巣」があります。
今日は、そのマスターのお話。
(このお話は『おいでよ どうぶつの森』に
一部基づいています。)
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「閉店…ですか。」
「残念じゃが、もう決定したことじゃ。
また会える日を楽しみにしているぞい。」
村長のコトブキはコーヒーを飲んだ後、
静かにそう告げ、去って行った。
村の掲示板に閉店のお知らせが貼られ、
村全体は騒然となった。
「もうマスターのコーヒー飲めないの?
こんなのおかしいよ!」
若かりし頃の𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎は
役場に乗り込もうとしたので、
門番たちが大慌てで止めた。
閉店当日の夜。
フータがコーヒーを飲みに来た。
「わたくし、マスターに会えなくなるのですか。
次は、一体いつ会えるのですか?」
「…」
そう目を潤ませるフータにかける言葉を、
マスターはとうとう見つけられなかった。
ピカピカに磨いたはずのカウンターは
静かに色
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「純喫茶 ハトの巣」が閉店した後、
ハニワ愛好家だったマスターは、
ハニワ探しの旅を始めることにした。
それを聞いたぺりこは、すごく心配した。
「危なくありませんか?大丈夫ですか?
ね、ぺりおさん?」
「うーん、どうかな…ぺりみさんはどう思う?」
「別に良いんじゃないのぉ?
(どうでもいいっつーの)
だいたい、なんでアタシに聞くワケ?」
「あ、えっと、それは…」
ぺりおは顔を赤らめた。
「ぺりおさん…?」
「ハァ…(めんどくさー)」
どことなく険悪な雰囲気になったので、
マスターは早々に出発した。
りんごが名産の島、流れ星が見られる島、
雪が降り続ける島、サメに囲まれた島…
ときどき、バッグをおもむろに開き
コーヒーミルを取り出す。
もちろん、ハトの巣特製コーヒー豆を使う。
海を眺めながら飲むコーヒーは、美味しい。
でも、まだ心にぽっかり穴が空いたまま。
どこに行っても、どんな景色を目に焼き付けても
ハトの巣での思い出が消えることはなかった。
そんなある日、
𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎さんが船に乗ってやってきた。
「マスターを探していました。
フータさんに頼まれて…」
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DD島に着き、博物館へ案内された。
博物館に入るや否や、
「マスター!また会えて嬉しいです。」
羽ばたいてしまいそうなほど喜ぶフータの姿が。
一体何年ぶりだろうか。ひどく懐かしい。
「テーブルはここで良いのか?」
設営を手伝うシベリアが声をかける。
「あの…電話はどちらに置けば?」
店内はもう、てんやわんや。
.
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ようやくひと息つくと、マスターはハッとした。
「…また、フータさんに何も…」
「気を張ることじゃないと思うけど?」
いつのまにかマスターの横にいたのはオパール。
彼女は「純喫茶 ハトの巣」の常連だった。
𝗦𝗔𝗘𝗖𝗛𝗜❄︎とも、その頃からの仲だ。
「…オパールさん」
「彼、あんなに喜んでいるじゃない。」
何も気にしていないわよと微笑む。
「…フータさん、昔から…見返りを求めません。
いい人です…フータさん。」
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マスターが、3枚の写真を入り口にそっと飾る。
喫茶店の設営が無事完了した。
「マスター!これからも…よろしくお願いします!」
「こちらこそ…また、会えて嬉しいです。」
涙を浮かべて笑うフータに
優しい目を向けるマスター。
「はあー!疲れた!アタシ、ミルクティーで!」
「あら、コーヒーは?」
「ウチは、やっぱりコーヒーゼリーカレーが」
住民たちが次々と着席し、
店は明るい声に包まれる。
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そしてマスターは、呟くのです。
「入れたての…熱いヤツを…どうぞ」
-つづく
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