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戦闘民族メメメ人




「さっさと買ってさっさと帰るぞ!お前も早く来い!」
「何故オレさまが……!そのぐらいてめえが見繕ってきやがれーー!」

……抱く気持ちは、二人とも同じであった。
女体化をまだ認められていないベジータは、今もなお、男の心100%であった。
だから、女性用下着専門店の前に来ると、激しく拒否反応を示してきたのだ。
だが、ヤムチャはコイツの逃避を許すわけにはいかなかった。
ヤムチャは一人で、このような店に立ち入り、女モノの下着を物色するという経験は皆無であった。
ブルマという女は、素肌を飾るシロモノに対しては、徹底したこだわりと独自の審美眼を発揮する性質であったため、このような店に恋人のヤムチャを同行させる事は無かった。
ブルマはこの手の『女下着の美の世界』を強く愛し、守り、これを至高とし、装着して女の武器とし、男をコテンパン&メロメロにする事を一種のステータスとしていた。
つまり、下着の店を見せるという事は、男にこちらの手の内を見せるのと同じ事であり、なるべくならこういう店から男を遠ざけていたい、何も知らないでいて欲しいという願望ゆえに、ヤムチャにはひたすらに「下着ドロボーって気持ち悪いわよねえ」とか、「世の中には女装して店に来て、女の下着を物色する変態男も居るんですってよ。気持ち悪いわよねえ」とか聞かせまくり、その結果ヤムチャの中に出来上がったのは、
『女性下着+男=変態』
という確固たる方程式であった。
そんなヤムチャが、男単身で女性下着店に突入できる訳が無かった。
言い訳が必要である。
『思春期の娘を連れて渋々パンツを買いに来た片親のお父さん』という看板無しには、到底店には入れない。
「お前なあ、こんな問答が無駄でしか無いのは分かってるんだろ?問題が起きたら、即解決、だろ?こんな場面で感情に振り回されるなんて、お前らしくないんじゃないか?」
とかなんとか言い聞かせて、ベジータから無理矢理に理性と理知を引っ張り出し、不貞腐れた女体化サイヤを連れて、親子のフリをしながら入店した。
入った瞬間から、目のやり場に困った。
幸い、他の客はいなかったし、レジには少し年老いた淑女風の店員が一名居るのみ。
だが、いちいち裸婦の美しさを強調して見せてくるディスプレイが目に入ると、なんとも居心地が悪かった。
〈女の聖域に侵入した変態〉
という人間像が、いちいち自分に付随してくるようで、ヤムチャはいたたまれないのだ。
パンツ、パンツ、パンツ、ブラジャー、マネキン、ランジェリー、ブラジャー、マネキン、という女の秘密の園を、ソソクサと突破してゆくヤムチャ。
店の奥のほうに、スポーツ用の下着コーナーを見つけて「これだ」と声を漏らした。
「身長150センチ……サイズはこれでいいだろ?色は黒でいいだろ?」
装飾の無いカッチリとしたスポーツ用パンツを手に取り後ろを振り向いた。
そこにはベジータは居なかった。
「あれ?」
ヤムチャはキョロキョロあたりを見回した。
キョロキョロする己の挙動に羞恥を覚えたので、身を低めて声をひそめながらベジータを呼んだ。
「おーい、おい……、ベジー、……べ、……ベジ子〜?おーいベジ子〜?」
娘を呼ぶお父さん、という役柄を徹底しながら、オロオロ店の中を探すと、ベジータは三筋離れた通路に立っていた。
煌びやかなライトアップ照明光を受けながら、ベジータは何かを手にして俯いていた。目をこらしてみると、それは雪結晶を模したような美しいレース生地で仕立てられたピンクのパンツであった。ヤムチャが手に掴んできたスポーツパンツとは、全く違う造形だ。
加えてベジータは、右手にそれを持ちながら、左手を色違いの同種パンツに伸ばそうとしていた。
今度は清楚な水色だった。
「ベジータ」
ヤムチャが接近して声をかけると、ベジータはビタッ!!と動きを止めて硬直した。
「…………」
「……。そんな高級品、オレには買えないぞ?」
ベジータは無言のまま硬直を続けた。フードで隠されているから表情が見えず、何を考えているのか分からなかった。
「そんなのが欲しいのか?」
訝しみながらヤムチャがたずねると、ベジータは雑な所作でパンツを棚に戻した。
ヤムチャはその棚に目を向けた。
棚の中央にはキラキラの宝石様装飾がなされた宣伝パネルがあり、
〈セクシーも可愛いも これ一枚で叶えます〉
という宣伝文句が、ゴージャスなフォントスタイルでうたれていた。
「……そんなのが欲しいのか?」
違和感をバリバリに覚えながら、ヤムチャは再びたずねた。
ベジータは少しの間沈黙していたが、ふんと鼻を鳴らしてソッポを向いた。
「欲しい訳ねえだろ、こんな下品な代物」
「……だよなあ。……ビックリさせんなよ〜」
「あの女を思い出して腹が立ってきたから、ここにあるヤツを全部破いてやろうと思っただけだ」
「オイオイ冗談よせよ、ハハハハハハ」
ハハハハ、とお父さんぽく笑ってみたが、ヤムチャはベジータの挙動から目が離せなかった。
不自然だった。
橙色の拳闘ズボンのポケットに両手を突っ込み、スニーカーのかかとを床に打ち付ける様子に、何らかの強いストレスが見えるのだ。そしてソッポを向かせた顔をチラチラ棚に戻して、ジーッと商品を鑑賞しようとする……

もしかしてベジータはこのパンツが欲しいのではないか

そう思うと、ゾワッと悪寒が走った。
ヤムチャは心の中が不気味にざわつくのを感じた。
「スポーツ用でいいだろ」
急いでベジータの顔の前にそれを突き出した。
「色は黒でいいよな」
念をおすように、キッパリと言った。
ベジータは、すぐに返事をしなかった。
やがてプイとそっぽを向いて、「早く払ってこい」と偉そうに命じて、顎でレジを指した。
ベジータを無理矢理に引っ張りながらレジに行き、パンツ代金を支払った。
「うちの子が空手道場に通う事になりましてね、激しい動きにはこういうのが良いのかと、ははは、ひとり親なもので、娘のこういう買い物が大変で……」
などと店員から聞かれてもいないのに、言い訳を連ねるヤムチャ。
レシートと釣り銭を受け取ると後ろを振り向き
「じゃあ帰ろうか」
と声をかけるとベジータがそこに居ない。
「ベッ、ベジ子?……おーいベジ子どこ行った〜?」
ヤムチャはオロオロしながらベジータを呼んだ。
店員の前で独りにされると、とてつもなく恥ずかしかった。

店内を一周する勢いで探し回ると、ベジータはさっきの高級下着コーナーに居た。
そしてまた、さっきと同じようにピンクのレースパンツを物色する素振りを見せるのでヤムチャはゾゾゾゾ!と寒気に襲われ、
「帰るぞ!」
と大声で叫び、硬直するベジータを引っ張って、店の外に出た。

「あんなのが欲しいのか?ピンクとかイカれてんのか?大丈夫か?お前、色盲になっちまってんじゃないのか?」
バギーに戻ったヤムチャは、混濁する気持ちをベジータにぶつけまくった。
でも、ベジータは黙ったままで何も答えてくれなかった。冷たくそっぽを向くばっかりである。
ヤムチャは納得がいかないまま、ガリガリと頭をかきむしった。
「ああ、そうだ……あそこの公衆トイレで、パンツはいてコレくっつけてこい」
生理用品の事を思い出したので、それが入った紙袋を渡した。
ベジータは舌打ちをひとつして、黙ってトイレに歩いて行った。
ふてくされたように戻ってきたベジータに、ヤムチャはでかいため息をつきながら、
「あとは服だな。それじゃあ動きにくいだろ」
ベジータがはいている橙色の拳闘ズボンは丈が余っており、裾口を絞っていても余った布地が地面に擦れてしまっている。
見ようによっては、昔ブルマがはいていたアラビアンナイト風のシルエットにも見えなくもないが、地面にズルズルひきずる様子はちょっとみっともなかった。
「そのパーカーも、暑いだろ」
深々と黒いフードをかぶるベジータを指さして言った。
女体化によって戦闘力を根こそぎ奪われ、弱体化させられているのだから、暑さがこたえていても不思議ではなかった。
ベジータは黙ったままである。やせ我慢しているのか、本当に平気なのか……うつむく顔からは全く気持ちが読み取れなかった。
とりあえず下だけでも買ってやろうと、洋服店に向かった。

ここでもベジータは怪異の行動を見せた。
ヤムチャが、なるべく体の線が見えないような、男女兼用のゆるいズボンを選んでやってる間に、姿を消してしまったのだ。
「どこ行ったんだよもう……」
ヤムチャが広い店内を探し回ると、ベジータは店の端っこに展示されている雑貨のコーナーに居た。
そこで、じーーーっと何かを見つめて、手を出したり引っ込めたりしている。
一体なんなのかと思って、その手の先にあるものを目で追ってみると、しゃれたペンケースやノート類、お菓子類の並ぶ中に、飾りとして置かれているちっちゃい猫ちゃんのぬいぐるみがあった。手のひらサイズぐらいのぬいぐるみで、ちょっと首をかしげて耳にピンクのリボンをくっつけ、メルヘンチックなピンクのお洋服を着せられたビジュアルだった。
まるで女学生が好みそうなぬいぐるみであった。首輪が巻いてあり、まるっこい銀色のタグがぶら下がっている。そのタグには丸っこい文字で『ふぁ~ふぁ』と刻印されていた。
「ベジータ」
半ば絶望の気持ちを抱きながら名を呼ぶと、ベジータはビタッ!!と動きを止めて硬直した。さっきの下着屋と同じ反応だった。
ベジータはすぐに両手をポケットに突っ込み、顔をそらしてイライラし始めた。
「……そんなグッズが欲しいのか?」
「欲しいわけねえだろ」
ヤムチャの質問に、ベジータは鋭く即答してくる。
「じゃあなんでそんなモノに手を伸ばしてたんだ?」
冷静を装いながらヤムチャはたずねた。
するとベジータは
「ドクターの飼い猫を思い出したのだ。いつもいつも昼寝してやがって……あのだらしねえ姿を思い出すと、腹が立ってきた。だからこのぬいぐるみを破壊したくなった」
と、いやに早口で返してくるのだった。
「…………」
ヤムチャは黙ってベジータを観察してみたが、やはり神経質にかかとを打ち鳴らす仕草には
『オレさまはコイツを所望する』
という彼の欲望が現れているように見えて、心底ゾッとしたのだった。

その後、腰でウエストサイズを調節できるような男女兼用の黒ジャージを二本と、黒いTシャツを二枚、選んでやって会計を済ませて店を出た。
ベジータが、このチョイスに文句をつけてくることはなかったが、やたらとレディース棚の前で立ち止まりスカートとかスカートとか、スカートとかに視線を飛ばすのでヤムチャは気味が悪くて仕方なかった。
ヤムチャは背中に、タラリと汗が伝ってゆくのを感じた。
バギーに乗り込み、砂漠に帰る道中も、冷や汗が止まってくれなかった。
なにやら嫌~な予感ばかりしてくる。
もしかして今のベジータは、肉体だけでなく、精神までも女体化しはじめているのではないか……。
絶対に考えたくもない妄想上の怪奇現象である。
だが、それが現実として起こってしまうのではないか……そう考えるとヤムチャは、なにか手に負えない凶悪なトラブルに巻き込まれて己が破滅させられるのではないかと恐怖を覚えるのだった。
しかし、どうしたものか。
ベジータは頑としてCCに帰ろうとしない。
女体化問題の全責任をこちらになすりつけ、自力で解決することをはなから放棄しているのだ。そして、問題解決を依頼されたヤムチャだって最初からお手上げ状態だ。
これを解決するにはブルマの手紙にあったとおりだ。
ベジータがブルマに直に謝るという方法をとらない限り、永遠に解決できない問題であった。
「何度も言うけど、ブルマに謝ったほうが良くないか?」
「おい、オレさまは腹が減ったぞ。なんか食うもんよこしやがれ」
と、この調子でベジータは、ヤムチャの提案を鉈をふるうがごとく無視、却下、反抗するばかりで埒があかないのだ。
ヤムチャは困ってしまった。今のベジータは、見た目は弱い女の子みたいになっているので強い語気もイマイチ出せず、すぐに折れてしまい頭をかいて終わってしまうのだった。

帰り道の砂漠の中で、身長3メートルほどのサンドドラゴンを発見した。巨大トカゲの一種である。乾いた熱波のさなか、独特の甲高い声を発しながら二本足で前方を歩いていた。どうやら機嫌良く散策をしているようだった。
「しめた。あいつを仕留めりゃ、当分は困らんぞ」
ヤムチャはバギーをとめ、難なくサンドドラゴンを仕留めると、尻尾を肩に担いでベジータに言った。
「オレはコイツを持って舞空で行くから、お前はソレ運転して帰ってこいよ。なんか料理を作っといてやる。……運転の仕方はオレのを見てたからわかるよな?」
黙って運転席側に移動するベジータを確認してから、ヤムチャは自分の牙城を目指して飛んだ。



料理と言ってもシンプルで、岩塩とスパイスを振りかけて火であぶって焼いただけのものである。ヤムチャはナイフを使ってドラゴンの肉を削ぎ、串に刺しては焚き火台の網に載せていった。
料理が山盛りに出来上がったところで、ちょうどベジータが帰ってきた。時間は昼前で、気温は上がりきり、砂漠特有の砂混じりの熱風が窓から吹き込んでいる。クーラーなど無いのでさすがに暑さを感じたのだろうか。ベジータは家に入るなり買ってきた服に素早く着替えて居間の座卓席にドカッ!と胡座をかいた。
ヤムチャはベジータの前に皿を置いた途端に、目眩を覚えた。
そして、下着店で〝上の下着〟も買ってやるべきだったと後悔した。
黒いTシャツごしにも、胸の形やらなんやら、女性が隠すべき造形が結構丸見えとなっている。ベジータ自身は全く意に介してないようだが、ヤムチャの頭の中には『節度』とか『プライバシー』とか繊細なワードばかり浮かんでくる。
今のベジータはパーカーフードで顔を隠していないのだ。
妙な髪型のランチっぽい面をした女の子、という相貌なのだからヤムチャの対応も自然と『一般人の女の子』方面に寄ってしまって、遠慮が勝ってしまった。
「もっとなんか、デザートもあった方がいいか?」
とか、何も言われてないのに勝手に気遣ってしまった。
ベジータは桃色の唇で焼き肉を食みながら、キラリと目を光らせて
「あるもん全部持って来やがれ」
と偉そうに命じてくる。
当然だ、と言わんばかりの生意気な態度である。
けれどもヤムチャの中に苛つきは生まれなかった。
女の子相手ならそのぐらい当然だな、と溜飲を下げてしまったのだ。
その後はせかせかと、ベジータのご機嫌を取る行為……例えば冷蔵庫にしまっておいた、貴重なフルーツだとか、ちょっと離れたところに生えているサボテン群まで行きサボテンの実を取りに行くだとか、そういう雑事をごくごく自然とやってしまった。
ベジータは礼ひとつ言わずに、その供給をすべて独占し飲み込んでいった。
冷たい顔をして、女王然としていた。
嫌な流れだなあ、と思いながらもヤムチャはせっせとベジータの世話を焼き続けてしまった。
「なんなんだ、あの女。なんであんなんになっちまったんだ。オイ。てめえだろ。てめえがこんな風にして女をおだてて甘やかすから、あんなイカレた女になっちまったんじゃねえのか?ふざけやがって……てめえこそが全ての元凶であり害悪なのだということを自覚しやがれクソ野郎が。てめえのせいでこのオレさまは、あの女にこうして妨害されて、訓練はうまくいかんし雑事は増えるし、てめえのせいでオレの生活はめちゃくちゃなんだぞ。どうしてくれるんだ、この始末をどうつけるつもりなのだ」
「ごめんなベジータ」
「謝りゃ済むと思ってやがるのか。女体化ビームを喰らってから、もう20時間も経っちまった。つまりその分、訓練はおろそかになり、これまでの積み重ねもパーになるって事だ。コレがオレさまにとってどれほどの損失なのか、てめえ、わかってやがるのか?」
「分かってるよ、分かってるがオレにはなんともできん。とりあえず、これでも飲んで抑えてくれ」
「さっきから甘いモンばっか寄越しやがって、オイ、歯ブラシあるのか。虫歯になったらビョーインとかいう施設に行かねばならんだろ。オレは地球の医術者に対しては全く信頼がおけんし、連中の事は総じてクズだと断じている。『歯医者』とかいう施設に通うハメになったら真っ先にてめえを殺すぞこの野郎」
「新品が何本かあるから、それを使えばいいぞ」
こんな風にして、クレーマー並に愚痴ってくるベジータのご機嫌を取りながら、ヤムチャは一流ホストみたいな返しを連発して彼の憤懣をうまいこと散らしていった。
そうこうするうちに、暇を持て余すこともなく夜が来て、同じようにドラゴンの肉を食って、シャワーを貸してやり、寝る時間となった。
ベジータは、よくもこんなにたくさんネタがあるものだと感心するぐらいに最後までヤムチャに愚痴り続けて、最後はふてくされたように居間で眠りについた。
ヤムチャは、とりあえず今日という一日が終わっただけでミッションを完了した気になり、「とりあえず寝るか」と言って、深く考えもせずに寝室の寝床についた。

……
……

目の前に白い階段があった。
視線を上に上げると、その階段はどこまでも高く続いており、左右を見ると壁は無く、黄昏時にあらわれるような朱と藍の入り混じった幻想的な空の色が静寂とともに広がっている。
ヤムチャは階段の一番下のところで、片足を立てる形でひざまづいていた。
変わった衣服を身につけていた。
ブルーの詰め襟服をまとっていた。袖口には金色の唐草風刺繍が派手にほどこされてキラキラと光っている。背後に夕日があるのだろうか。自分のひざまずく姿が長い影となって白い階段にまで及んでいた。それを見ると、つば広でとんがった帽子をかぶっているのが分かった。帽子には、長く立派な鳥の羽が飾りとしてくっつけられていた。
お行儀良くひざまずいていると、やがて階上からカツンカツンと靴を鳴らす音がこだましてきた。
ヤムチャはそれを聞くと、ギュッと身を縮こめて、さらに姿勢をあらためて失礼の無いようこうべを垂れた。
「顔をみせろ」
声が降ってきたので、ヤムチャは「はい」と返事をして、ゆっくりと顔を上に上げた。
階段に、端然と立ちながらこちらを見下ろす者が居た。
雪結晶を模したような、綺麗な黒レース生地をマントのように羽織って、ガラスの靴を履いてまっすぐに立っている女の子が冷たく見下ろしていた。
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