第二話 交わる刃
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あれから数日後。今日もまた、校舎裏の訓練場に集められていた。
さすがに、ここにいるのは普通の学生ではない。
日本帝鬼軍に所属する者たち。
訓練用の武器を手に、それぞれが向かい合っている。
「では、二人一組になれ!」
教官の声が響く。
生徒たちが一斉に動き始める。
グレンは少し離れた場所で、木製の刀を握っていた。
その隣にはトワ。
「……」
トワは、腰に差していた短刀を抜く。
刃は訓練用に調整されたもの。
長刀ほどの間合いはない。
その代わり、取り回しがいい。
「トワ、それ使うのか?」
グレンが見る。
「うん」
「短すぎねぇか?」
「今度は、こっちの方が動きやすいかなーと思って」
トワは、短刀を軽く握り直す。
「グレンは?」
「俺はこれでいい」
そう言って、グレンは木刀を構えた。
「……」
トワはグレンを見る。
構え方、足の位置、視線。
どれも昨日と同じ。
けれど――
(また、やるつもりだ)
グレンは、わざと攻撃を受ける。
今日も、きっと。
「……グレン」
「ん?」
「無茶しないでね」
「してねぇよ」
「……そう」
トワはそれ以上言わなかった。
やがて教官の合図が響く。
「始め!」
生徒たちが一斉に動き出す。
トワの前にも、男子生徒が一人立った。
「よろしく!」
「よろしく」
相手が木刀を構える。
トワは短刀を低く構えた。
相手が踏み込んでくる。
――速い。
けれど。
トワは一歩だけ横へずれた。
木刀が、目の前を通り過ぎる。
その瞬間。
トワは相手の手首へ短刀を滑らせた。
「っ!」
相手が慌てて腕を引く。
そこへトワは踏み込み――
肩を軽く押した。
「うわっ」
体勢が崩れる。
倒れそうになった相手の足元を狙い、トワは短刀を引いた。
「……終わり」
「え?」
「今、倒れてたら取れてた」
相手が目を丸くする。
「……お前、強いな」
「そうでもないよ」
トワは短刀を構え直す。
力で押し切ったわけじゃない。
相手の動きを見て、避けて、その隙を使っただけだ。
「へぇ……」
少し離れたところから、声が聞こえた。
振り返ると、五士がこちらを見ている。
「今の、結構すごくないか?」
その隣では、美十も興味深そうにトワを見ていた。
「うん。力任せじゃないところがいいね」
「そうか?」
五士は首を傾げる。
「俺だったら、もっとこう……」
「五士はまず相手の攻撃を避けるところから覚えた方がいいんじゃないですか?」
「十条、それどういう意味だよ!」
「そのままの意味」
「ひでぇ!」
二人はそのまま何故か、戦闘がはじまってしまった。
どうしたよいかわからなくなったトワは、グレンをみる。
すると、目が合った。話すことは今ない、けれど。
グレンの目が訴えている。
「お前は目立つなよ」
と。
「……」
やられるフリは、性に合わないのに。グレンも、よくやっている。
次の相手にも、グレンは結果、わざと倒れて負けていた。
「やぁ〜、殴られる演技、ご苦労さん。
君レベルだとあの程度じゃ学べること、ないでしょ」
起き上がるグレンに話しかけているのは深夜だ。
既に深夜にも、グレンの「コレは演技」と見抜かれているようで。
二人でなにやら話している。
「君より、トワの方が断然強そうに見えるよね」
「……」
ニコニコ話す深夜に、グレンは僅かに目を鋭くさせる。
「でも、まだ君の方が強いんでしょ?ちょっとさ、僕と組み手してみない?
そろそろ実力見せてよ」
「「!!」」
深夜の、これまでにない本気の殺意に、周囲が、トワが、
グレンと深夜に目を向けた。
「グレン!!」
今回も避けれた。それなのに、彼はしなかった。
「うっそ〜〜どんだけ強情なの?」
吹き飛ばされたグレンが、地面に倒れる。
「グレン!」
駆け出すトワと一緒に、美十と五士が駆け寄ってくれた。
口から血を流し、呼吸もおかしい。
「おい、まじでやべぇんじゃねぇか?」
「え?」
攻撃をまともに喰らって、一番驚いているのは深夜本人だろう。
あの攻撃なら絶対交わすと思ったのに。
「本当に、弱いのか?」
その深夜の一言。
「……ッ!」
その一言に、トワの表情が変わった。
深夜へ向けられた殺気が、一気に膨れ上がる。
怒りなんかじゃない。
本気で殺すつもりの殺気だった。
トワの手が、腰の短刀へ伸びる。
「……!!」
深夜も、その変化に気づいた。
トワが一歩、踏み出す。
その瞬間。
「……ダメだ、トワ……」
グレンの手が、トワの腕を掴んだ。
「……っ」
倒れたままのグレンが、必死に腕を伸ばしている。
トワは深夜を睨んだまま、動きを止めた。
「グレン……」
「……行くな」
息を乱しながら、それだけを言う。
トワの手は、まだ短刀にかかったままだった。
そして、授業中には一緒に医務室に行かせてもらうことは出来なかった。
さすがに、ここにいるのは普通の学生ではない。
日本帝鬼軍に所属する者たち。
訓練用の武器を手に、それぞれが向かい合っている。
「では、二人一組になれ!」
教官の声が響く。
生徒たちが一斉に動き始める。
グレンは少し離れた場所で、木製の刀を握っていた。
その隣にはトワ。
「……」
トワは、腰に差していた短刀を抜く。
刃は訓練用に調整されたもの。
長刀ほどの間合いはない。
その代わり、取り回しがいい。
「トワ、それ使うのか?」
グレンが見る。
「うん」
「短すぎねぇか?」
「今度は、こっちの方が動きやすいかなーと思って」
トワは、短刀を軽く握り直す。
「グレンは?」
「俺はこれでいい」
そう言って、グレンは木刀を構えた。
「……」
トワはグレンを見る。
構え方、足の位置、視線。
どれも昨日と同じ。
けれど――
(また、やるつもりだ)
グレンは、わざと攻撃を受ける。
今日も、きっと。
「……グレン」
「ん?」
「無茶しないでね」
「してねぇよ」
「……そう」
トワはそれ以上言わなかった。
やがて教官の合図が響く。
「始め!」
生徒たちが一斉に動き出す。
トワの前にも、男子生徒が一人立った。
「よろしく!」
「よろしく」
相手が木刀を構える。
トワは短刀を低く構えた。
相手が踏み込んでくる。
――速い。
けれど。
トワは一歩だけ横へずれた。
木刀が、目の前を通り過ぎる。
その瞬間。
トワは相手の手首へ短刀を滑らせた。
「っ!」
相手が慌てて腕を引く。
そこへトワは踏み込み――
肩を軽く押した。
「うわっ」
体勢が崩れる。
倒れそうになった相手の足元を狙い、トワは短刀を引いた。
「……終わり」
「え?」
「今、倒れてたら取れてた」
相手が目を丸くする。
「……お前、強いな」
「そうでもないよ」
トワは短刀を構え直す。
力で押し切ったわけじゃない。
相手の動きを見て、避けて、その隙を使っただけだ。
「へぇ……」
少し離れたところから、声が聞こえた。
振り返ると、五士がこちらを見ている。
「今の、結構すごくないか?」
その隣では、美十も興味深そうにトワを見ていた。
「うん。力任せじゃないところがいいね」
「そうか?」
五士は首を傾げる。
「俺だったら、もっとこう……」
「五士はまず相手の攻撃を避けるところから覚えた方がいいんじゃないですか?」
「十条、それどういう意味だよ!」
「そのままの意味」
「ひでぇ!」
二人はそのまま何故か、戦闘がはじまってしまった。
どうしたよいかわからなくなったトワは、グレンをみる。
すると、目が合った。話すことは今ない、けれど。
グレンの目が訴えている。
「お前は目立つなよ」
と。
「……」
やられるフリは、性に合わないのに。グレンも、よくやっている。
次の相手にも、グレンは結果、わざと倒れて負けていた。
「やぁ〜、殴られる演技、ご苦労さん。
君レベルだとあの程度じゃ学べること、ないでしょ」
起き上がるグレンに話しかけているのは深夜だ。
既に深夜にも、グレンの「コレは演技」と見抜かれているようで。
二人でなにやら話している。
「君より、トワの方が断然強そうに見えるよね」
「……」
ニコニコ話す深夜に、グレンは僅かに目を鋭くさせる。
「でも、まだ君の方が強いんでしょ?ちょっとさ、僕と組み手してみない?
そろそろ実力見せてよ」
「「!!」」
深夜の、これまでにない本気の殺意に、周囲が、トワが、
グレンと深夜に目を向けた。
「グレン!!」
今回も避けれた。それなのに、彼はしなかった。
「うっそ〜〜どんだけ強情なの?」
吹き飛ばされたグレンが、地面に倒れる。
「グレン!」
駆け出すトワと一緒に、美十と五士が駆け寄ってくれた。
口から血を流し、呼吸もおかしい。
「おい、まじでやべぇんじゃねぇか?」
「え?」
攻撃をまともに喰らって、一番驚いているのは深夜本人だろう。
あの攻撃なら絶対交わすと思ったのに。
「本当に、弱いのか?」
その深夜の一言。
「……ッ!」
その一言に、トワの表情が変わった。
深夜へ向けられた殺気が、一気に膨れ上がる。
怒りなんかじゃない。
本気で殺すつもりの殺気だった。
トワの手が、腰の短刀へ伸びる。
「……!!」
深夜も、その変化に気づいた。
トワが一歩、踏み出す。
その瞬間。
「……ダメだ、トワ……」
グレンの手が、トワの腕を掴んだ。
「……っ」
倒れたままのグレンが、必死に腕を伸ばしている。
トワは深夜を睨んだまま、動きを止めた。
「グレン……」
「……行くな」
息を乱しながら、それだけを言う。
トワの手は、まだ短刀にかかったままだった。
そして、授業中には一緒に医務室に行かせてもらうことは出来なかった。