第三話 戦場への序章
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選抜術式試験。
一週間に及ぶ全校生徒の勝ち抜き。
試験のルール。
監督が、勝ちだと思ったほうが勝ちとなり、殺してしまった場合は評定が下がる。
今グレンとトワがいる九組は、二組と戦っていた。
九組の生徒が勝つたびに、一番喜んでいるのは自分達の担任の女教師だった。
まぁ、厳しいよりはいいかもしれないが。
グレンはつまらなそうにため息をついていた。この学校でグレンの相手になるのはいない。
いや、柊とはどこまでやりあえるか。そもそもグレンはこの試験、勝つ気はあるのだろうか。
勝つ気のないグレンになら、自分もワンチャングレンに勝てるかもしれない。
などと、トワは考えていた。
「……グレン」
トワが呼ぶ。
「なんだ?」
「ちょっと前に、深夜に私とグレンどっちが強いか聞かれたんだ」
「それで?」
グレンとトワはお互いの顔を見ずに、試験の方に向けていた。
「グレンって答えた」
「……」
グレンは呆れたのか、考え始めたのか、顔を手で覆う。
「そこはお前にしとけよ。てかいつ話した?」
「グレンが真昼とお話してる時」
「……」
あれか、深夜の攻撃を受け失敗して、医務室にいた時か。
「グレン、私もしグレンと当たったらどうする?私、どうすればいい?」
「勝て。お前になら負けてもいい」
なんて、さらっと言われた。
「え〜…」
「グレン様、トワ様」
声が聞こえきた方に顔を向ける。
「時雨」
トワは嬉しそうに手を振りかえす。
「そろそろお前の出番か?」
グレンが聞く。
「はい」
「相手は」
「私です」
十条家を象徴する綺麗な赤髪。美十だ。
さっそく柊の仕えとして5本指の一つとして有名な家柄と相手するのか。
「勝っていいのでしょうか?」
時雨がさりげなく煽る。それに美十が笑う。
「こんなふぬけの主を持った従者が、十条家の私になにが出来ると?」
「これ以上主を愚弄するなら、殺します」
「楽しみにしてましょう」
美十の背中を見送る。
「時雨、おまえあいつに勝てるか?」
「当然ですっ!」
時雨は胸を張り、意気込む。
「もちろん、一瀬の呪法は使いません。敵に手の内を明かす必要はありませんから」
「ん、わかってるならいい。好きに暴れてこい。ここのところ鬱憤が溜まってたろうしな」
グレンは時雨の頭に、ぽん、と手を乗せた。
「……期待してるぞ」
「……!」
時雨の目が輝く。
「はいっ! グレン様、行ってまいります!」
さっきまで以上に気合いの入った様子で、時雨が試験場へ向かっていく。
「……単純だなぁ」
トワが小さく呟く。
「聞こえてますよ、トワ様!」
「ふふ、ごめん」
周りが煩い。
しょせん、一瀬はこの学校では下賤なクズの出。
そんな周りの反応とは別に、五士と深夜がこちらに来た。
「おーおー。美人同士の戦いは、やっぱ見がいがあるなぁ」
「……これは一瀬の呪法が見られるかな」
グレンもトワも答えない。
そして、時雨と美十の試験が始まった。
美十は身体能力を一気に上げる呪法、金剛夜叉明王呪を使ってくる。
時雨は糸とクナイを使うが、無数の数をよけ、美十が時雨の懐に入る。
「はい、これで終わり」
だが、美十の拳は時雨の顔面で止まった。
時雨が美十の腕を、糸で止めている。糸に呪いを乗せて。
「残念」
時雨はクナイを、美十に向けた。
「その傲慢さが、あなたを殺しました」
時雨の狂気を察したグレンが口を開きかける。
「時雨、止め……」
それをかき消したのは、美十の叫びだ。
「……うご……っけぇぇえええ!」
「なっ!?」
動ける筈がない。そう思っていたのに、美十の拳が、時雨を殴った。
時雨の体が場外に出る。
走り出す美十を、試験管が止めた。
「待て。勝者、十条美十!」
時雨が、負けてしまった。
「あの…この勝負、引き分けにしてください」
美十の名乗りに、時雨の所へ行こうとしていたトワは、彼女を見る。
怒るのは、あの女教師で。
「美十さん!?いったいなにを言って…」
美十は頬に被さっていた髪を掻き上げ、傷を見せた。
「最後に傷をつけられました。これがもし実戦なら……」
「致死性の毒が塗ってあると?決定は覆らない。勝者は君だ」
「ですが」
「勝敗は我々が決める。余計な口を出すな。
それとも、柊が決めた法に逆らう気か?」
美十は悔しく、一人に拳を握った。
「すみません」
柊、柊。みんな柊に抑え付けられている。
一週間に及ぶ全校生徒の勝ち抜き。
試験のルール。
監督が、勝ちだと思ったほうが勝ちとなり、殺してしまった場合は評定が下がる。
今グレンとトワがいる九組は、二組と戦っていた。
九組の生徒が勝つたびに、一番喜んでいるのは自分達の担任の女教師だった。
まぁ、厳しいよりはいいかもしれないが。
グレンはつまらなそうにため息をついていた。この学校でグレンの相手になるのはいない。
いや、柊とはどこまでやりあえるか。そもそもグレンはこの試験、勝つ気はあるのだろうか。
勝つ気のないグレンになら、自分もワンチャングレンに勝てるかもしれない。
などと、トワは考えていた。
「……グレン」
トワが呼ぶ。
「なんだ?」
「ちょっと前に、深夜に私とグレンどっちが強いか聞かれたんだ」
「それで?」
グレンとトワはお互いの顔を見ずに、試験の方に向けていた。
「グレンって答えた」
「……」
グレンは呆れたのか、考え始めたのか、顔を手で覆う。
「そこはお前にしとけよ。てかいつ話した?」
「グレンが真昼とお話してる時」
「……」
あれか、深夜の攻撃を受け失敗して、医務室にいた時か。
「グレン、私もしグレンと当たったらどうする?私、どうすればいい?」
「勝て。お前になら負けてもいい」
なんて、さらっと言われた。
「え〜…」
「グレン様、トワ様」
声が聞こえきた方に顔を向ける。
「時雨」
トワは嬉しそうに手を振りかえす。
「そろそろお前の出番か?」
グレンが聞く。
「はい」
「相手は」
「私です」
十条家を象徴する綺麗な赤髪。美十だ。
さっそく柊の仕えとして5本指の一つとして有名な家柄と相手するのか。
「勝っていいのでしょうか?」
時雨がさりげなく煽る。それに美十が笑う。
「こんなふぬけの主を持った従者が、十条家の私になにが出来ると?」
「これ以上主を愚弄するなら、殺します」
「楽しみにしてましょう」
美十の背中を見送る。
「時雨、おまえあいつに勝てるか?」
「当然ですっ!」
時雨は胸を張り、意気込む。
「もちろん、一瀬の呪法は使いません。敵に手の内を明かす必要はありませんから」
「ん、わかってるならいい。好きに暴れてこい。ここのところ鬱憤が溜まってたろうしな」
グレンは時雨の頭に、ぽん、と手を乗せた。
「……期待してるぞ」
「……!」
時雨の目が輝く。
「はいっ! グレン様、行ってまいります!」
さっきまで以上に気合いの入った様子で、時雨が試験場へ向かっていく。
「……単純だなぁ」
トワが小さく呟く。
「聞こえてますよ、トワ様!」
「ふふ、ごめん」
周りが煩い。
しょせん、一瀬はこの学校では下賤なクズの出。
そんな周りの反応とは別に、五士と深夜がこちらに来た。
「おーおー。美人同士の戦いは、やっぱ見がいがあるなぁ」
「……これは一瀬の呪法が見られるかな」
グレンもトワも答えない。
そして、時雨と美十の試験が始まった。
美十は身体能力を一気に上げる呪法、金剛夜叉明王呪を使ってくる。
時雨は糸とクナイを使うが、無数の数をよけ、美十が時雨の懐に入る。
「はい、これで終わり」
だが、美十の拳は時雨の顔面で止まった。
時雨が美十の腕を、糸で止めている。糸に呪いを乗せて。
「残念」
時雨はクナイを、美十に向けた。
「その傲慢さが、あなたを殺しました」
時雨の狂気を察したグレンが口を開きかける。
「時雨、止め……」
それをかき消したのは、美十の叫びだ。
「……うご……っけぇぇえええ!」
「なっ!?」
動ける筈がない。そう思っていたのに、美十の拳が、時雨を殴った。
時雨の体が場外に出る。
走り出す美十を、試験管が止めた。
「待て。勝者、十条美十!」
時雨が、負けてしまった。
「あの…この勝負、引き分けにしてください」
美十の名乗りに、時雨の所へ行こうとしていたトワは、彼女を見る。
怒るのは、あの女教師で。
「美十さん!?いったいなにを言って…」
美十は頬に被さっていた髪を掻き上げ、傷を見せた。
「最後に傷をつけられました。これがもし実戦なら……」
「致死性の毒が塗ってあると?決定は覆らない。勝者は君だ」
「ですが」
「勝敗は我々が決める。余計な口を出すな。
それとも、柊が決めた法に逆らう気か?」
美十は悔しく、一人に拳を握った。
「すみません」
柊、柊。みんな柊に抑え付けられている。