第二話 本音
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『ずっと、死にたかった』
そう雪男から初めて聞かされた言葉に、燐は唖然と固まった。
「何度も自殺を試したよ。でも、何をやっても無駄だった。兄さんも僕を殺せなかったし、誰も僕を殺せない」
「・・・は?」
「・・・だから、結局自分でどうにかするしかないってことだよ。どうせ邪魔するんだろ、なら戦う」
「は?・・・は?はあ!?はあ!?自殺!!??何度も???」
初めて知る雪男の本音。初めて知る、最近のおかしかった雪男の行動。確かに帰って来ない日のことが多かった。
それでも、そんな事をしていたなんて一度も聞いていない。
「い、いつだ」
燐はたまらず雪男の肩を掴み問い詰める。
「いつから・・・!?俺は・・・?お前がその、自殺してる間・・・え!?何も知らずバカ面してたっか???」
大好きな玲薇も、実の弟さえも、重要な事は何一つ相談も話も自分にはしてくれなくて。
「・・・ッ゙ッッッお・・・お前は、ずっっっとそうだ!!事情が違うし、しょうがねーって、ずっと黙ってきたけど、何回目だ!
ウソが多すぎる!ウソつきめ!!」
「嘘つき?」
雪男が燐の手を払い除け、言い返す。
「人をホラ吹きみたいに言うな!話してなんだって言うんだ。世界の危機も騎士團や神父さんの隠匿も、僕らの現状も、
玲薇の正体も、何一つ理解出来ないバカのくせに、兄さんのその脳みそで、何か解決できたと思うのか?」
「てめぇ!!」
怒った燐が、雪男に殴りかかる。だが雪男は、燐の攻撃をかわす。見かねた燐は蹴り上げるも、雪男はそれもよけた。
「子供の頃から・・・そうだったんだ!」
一発殴り、蹴りを入れたのは雪男の方で。
「人に話せる事なんか、ひとつもなかった。どうしろってんだ!!」
「っ!!」
蹴り飛ばされた燐は雪男を見て、立ち上がる。
「ケホッ・・・そんなの・・・隠れて話せばよかっただろ!?」
「は?」
「お前が大変な時に俺は、となりでバカ面だっ」
「ハッ「兄さんはサタンの息子で、祓魔師に恐れ憎まれる存在だよ」って?言えるか!」
燐の攻撃を交わし、再び一発蹴りを入れられるのは燐のほうだ。
(やっぱ、コイツ強えぇ・・・)
倒れそうな身体を、燐は足に力を入れ、なんとか体勢を保つ。倒れたら、それこそ雪男に敵わなくなる。
燐の事で直接言えないことも、雪男の事で直接言えないことでも。それでも、二人にとって大事な奴がもう一人いる。
「玲薇は・・・」
自分といる時は、いつも弟の雪男の事が心配で。
「玲薇はずっと、お前を見てた!アイツのことはどうするんだよ!?」
「玲薇は、兄さんがいればいい!」
自分といる時は、いつも兄の燐の事が心配で。
「一緒に死のうって言っても、僕らはどうせ死ねない!」
もうとうに、別れは告げた。結局彼女は、ついてきたけれど。
「死ぬ死ぬって、なんでだよ!何で俺を頼らない!」
雪男の胸ぐらを掴み、押し倒す燐だが、それを逆手に雪男は素早く燐の殴りを受け流し両足で首を絞める。
「お前だって、頼らねぇだろ!」
燐の首を絞めながら、雪男は容赦なくアルムマヘル銃を頭に撃ちこんだ。
「僕を頼ったことがあったか!お前にだけは、言われたくない!!
いざとなれば自分が全部背負って死ねばいいって・・・思ってるのはそっちだろ!!」
「う・・・あ・・・」
頭がクラクラする。力がなくなっていくのがわかる。でも、まだだ。
「こっちのセリフだ!!!」
「そっか。じゃあ、俺たち似てるとこあったな!!」
燐が雪男の腰にもがきつかみ、地面に叩く。
「双子の兄弟なのに「似てねーわかんねー」って・・・おもいこみすぎてたな?」
「似てねーよ!!」
だが一瞬で、形勢逆転だ。
「どこもかしこも正反対だ!お前は強いから頼らないし、死のうとするんだろ!!でも、僕は、弱いから頼れないし、死にたいんだ!」
怒り任せに銃で兄を殴り、再び首を絞めた。
「・・・どうしたんだよ、こんなもんじゃないだろ!!手加減するな!!」
「して・・・ね、よ・・・!!」
弱る燐を解放したのは、雪男自身で。
「ふざけるなよ・・・悪魔を出せ!!出せば強制的に"力"が戻るだろ!!」
「やだよ。出したら・・・そこで俺の負けだ。それに、俺、今対等にケンカできて楽しいぞ。お前もコレがやりたかったんだろ」
一方的に燐がやられてるようで、だけど、余裕そうな表情が更に雪男を苛つかせる。
「こっちは形振り構ってないだけだ」
雪男が燐の足を掴み、体勢を崩す。
「本当にオメデたいな。まんまと能力奪われて、武器で殴られて、腹立たねーのか!!まだ、楽しいかよ!?」
違う
武器とかは、関係ねぇ。ケンカしかしてこなかった俺とは、全然違う。
体の動き、使い方から、雪男の努力が伝わってくる。あんなに、体弱くてイジメられてて。
泣き虫だったのにな
「お前、やっぱ・・・すげーな!!」
燐は認めてる、雪男の強さを。それでも、雪男は自分を認められなくて。
「そんな、はずないだろ。そんなはずない!!兄さんは、もっと強いはずだ!僕は・・・強くなりたかった」
燐は、子供から何でも先に興味を持ち、失敗しても自分みたいにビクビクしていなかった。むしろ、持ち前の明るさで全部吹っ飛ばす。今でもそう。
玲薇だって、いつも心配してくれていた。それは兄である燐にだけだと思っていたけど、気付いた時には遅かったけど。並んで歩いてくれる。
それは、彼女の強さ。燐の、兄の強さ。じゃあ、自分は?自分にはどんな強さがある?二人に、何をしてあげれた?
玲薇と強引に恋仲を奪いたかったんじゃない。兄の燐が、弱いなんて思ってない。けど、二人に災いが起きるなら、自分だけと。
少し大人になったフリをした、自分が。二人に。笑って、手を伸ばしてくれる、二人に。二人を。
「誰にも頼らず、一人で解決したかった」
守りたかったんだ。その手を、払い除けたくなくて。置いていかれそうな自分が怖くて。
「出来るんだと思いたかった、兄さんみたいに・・・!!」
ずっと、くやしかった。
だが、それ以上に弱くて小さい自分が、大嫌いだった。
「頭では判ってるのに・・・」
二人が一度でも、置いていったことがあったか?いや、そうしていたのは・・・。
「雪男」
「ずっと、抜け出せない・・・!!」
自分だったんだ。
「やっとお前が・・・(見えた)」
燐は、避けることをしなかった。殴られるのを受け止め、そして、燐のまともな顔面の殴りが、雪男に直撃した。
息を整え合うように、二人はしがみつく。
「苦しいよ・・・」
二人が肩で息をする中、そう初めて素直に言葉にしたのは、雪男だった。
「泣きたくなかった。これじゃ・・・子供の頃に逆戻りだ・・・!」
「なにを、言ってんだ・・・俺をよく見ろ。お前は、とっくに強いよ」
「世界の危機も騎士團や神父さん、僕らの生まれへの疑念も玲薇への当てつけも、全部、
全部自分の弱さを隠す為の言い訳だ!隠すために周りを犠牲にして・・・許されない・・・!!
こんな僕が、生きていられると思う?」
何も隠さなくなった。涙を流し訴える雪男は、少なくとも今は、自分を頼っている。
燐は迷わず雪男の顔を両手で包み、ずっと言いたかった言葉を。
「生きてくれ」
そう雪男から初めて聞かされた言葉に、燐は唖然と固まった。
「何度も自殺を試したよ。でも、何をやっても無駄だった。兄さんも僕を殺せなかったし、誰も僕を殺せない」
「・・・は?」
「・・・だから、結局自分でどうにかするしかないってことだよ。どうせ邪魔するんだろ、なら戦う」
「は?・・・は?はあ!?はあ!?自殺!!??何度も???」
初めて知る雪男の本音。初めて知る、最近のおかしかった雪男の行動。確かに帰って来ない日のことが多かった。
それでも、そんな事をしていたなんて一度も聞いていない。
「い、いつだ」
燐はたまらず雪男の肩を掴み問い詰める。
「いつから・・・!?俺は・・・?お前がその、自殺してる間・・・え!?何も知らずバカ面してたっか???」
大好きな玲薇も、実の弟さえも、重要な事は何一つ相談も話も自分にはしてくれなくて。
「・・・ッ゙ッッッお・・・お前は、ずっっっとそうだ!!事情が違うし、しょうがねーって、ずっと黙ってきたけど、何回目だ!
ウソが多すぎる!ウソつきめ!!」
「嘘つき?」
雪男が燐の手を払い除け、言い返す。
「人をホラ吹きみたいに言うな!話してなんだって言うんだ。世界の危機も騎士團や神父さんの隠匿も、僕らの現状も、
玲薇の正体も、何一つ理解出来ないバカのくせに、兄さんのその脳みそで、何か解決できたと思うのか?」
「てめぇ!!」
怒った燐が、雪男に殴りかかる。だが雪男は、燐の攻撃をかわす。見かねた燐は蹴り上げるも、雪男はそれもよけた。
「子供の頃から・・・そうだったんだ!」
一発殴り、蹴りを入れたのは雪男の方で。
「人に話せる事なんか、ひとつもなかった。どうしろってんだ!!」
「っ!!」
蹴り飛ばされた燐は雪男を見て、立ち上がる。
「ケホッ・・・そんなの・・・隠れて話せばよかっただろ!?」
「は?」
「お前が大変な時に俺は、となりでバカ面だっ」
「ハッ「兄さんはサタンの息子で、祓魔師に恐れ憎まれる存在だよ」って?言えるか!」
燐の攻撃を交わし、再び一発蹴りを入れられるのは燐のほうだ。
(やっぱ、コイツ強えぇ・・・)
倒れそうな身体を、燐は足に力を入れ、なんとか体勢を保つ。倒れたら、それこそ雪男に敵わなくなる。
燐の事で直接言えないことも、雪男の事で直接言えないことでも。それでも、二人にとって大事な奴がもう一人いる。
「玲薇は・・・」
自分といる時は、いつも弟の雪男の事が心配で。
「玲薇はずっと、お前を見てた!アイツのことはどうするんだよ!?」
「玲薇は、兄さんがいればいい!」
自分といる時は、いつも兄の燐の事が心配で。
「一緒に死のうって言っても、僕らはどうせ死ねない!」
もうとうに、別れは告げた。結局彼女は、ついてきたけれど。
「死ぬ死ぬって、なんでだよ!何で俺を頼らない!」
雪男の胸ぐらを掴み、押し倒す燐だが、それを逆手に雪男は素早く燐の殴りを受け流し両足で首を絞める。
「お前だって、頼らねぇだろ!」
燐の首を絞めながら、雪男は容赦なくアルムマヘル銃を頭に撃ちこんだ。
「僕を頼ったことがあったか!お前にだけは、言われたくない!!
いざとなれば自分が全部背負って死ねばいいって・・・思ってるのはそっちだろ!!」
「う・・・あ・・・」
頭がクラクラする。力がなくなっていくのがわかる。でも、まだだ。
「こっちのセリフだ!!!」
「そっか。じゃあ、俺たち似てるとこあったな!!」
燐が雪男の腰にもがきつかみ、地面に叩く。
「双子の兄弟なのに「似てねーわかんねー」って・・・おもいこみすぎてたな?」
「似てねーよ!!」
だが一瞬で、形勢逆転だ。
「どこもかしこも正反対だ!お前は強いから頼らないし、死のうとするんだろ!!でも、僕は、弱いから頼れないし、死にたいんだ!」
怒り任せに銃で兄を殴り、再び首を絞めた。
「・・・どうしたんだよ、こんなもんじゃないだろ!!手加減するな!!」
「して・・・ね、よ・・・!!」
弱る燐を解放したのは、雪男自身で。
「ふざけるなよ・・・悪魔を出せ!!出せば強制的に"力"が戻るだろ!!」
「やだよ。出したら・・・そこで俺の負けだ。それに、俺、今対等にケンカできて楽しいぞ。お前もコレがやりたかったんだろ」
一方的に燐がやられてるようで、だけど、余裕そうな表情が更に雪男を苛つかせる。
「こっちは形振り構ってないだけだ」
雪男が燐の足を掴み、体勢を崩す。
「本当にオメデたいな。まんまと能力奪われて、武器で殴られて、腹立たねーのか!!まだ、楽しいかよ!?」
違う
武器とかは、関係ねぇ。ケンカしかしてこなかった俺とは、全然違う。
体の動き、使い方から、雪男の努力が伝わってくる。あんなに、体弱くてイジメられてて。
泣き虫だったのにな
「お前、やっぱ・・・すげーな!!」
燐は認めてる、雪男の強さを。それでも、雪男は自分を認められなくて。
「そんな、はずないだろ。そんなはずない!!兄さんは、もっと強いはずだ!僕は・・・強くなりたかった」
燐は、子供から何でも先に興味を持ち、失敗しても自分みたいにビクビクしていなかった。むしろ、持ち前の明るさで全部吹っ飛ばす。今でもそう。
玲薇だって、いつも心配してくれていた。それは兄である燐にだけだと思っていたけど、気付いた時には遅かったけど。並んで歩いてくれる。
それは、彼女の強さ。燐の、兄の強さ。じゃあ、自分は?自分にはどんな強さがある?二人に、何をしてあげれた?
玲薇と強引に恋仲を奪いたかったんじゃない。兄の燐が、弱いなんて思ってない。けど、二人に災いが起きるなら、自分だけと。
少し大人になったフリをした、自分が。二人に。笑って、手を伸ばしてくれる、二人に。二人を。
「誰にも頼らず、一人で解決したかった」
守りたかったんだ。その手を、払い除けたくなくて。置いていかれそうな自分が怖くて。
「出来るんだと思いたかった、兄さんみたいに・・・!!」
ずっと、くやしかった。
だが、それ以上に弱くて小さい自分が、大嫌いだった。
「頭では判ってるのに・・・」
二人が一度でも、置いていったことがあったか?いや、そうしていたのは・・・。
「雪男」
「ずっと、抜け出せない・・・!!」
自分だったんだ。
「やっとお前が・・・(見えた)」
燐は、避けることをしなかった。殴られるのを受け止め、そして、燐のまともな顔面の殴りが、雪男に直撃した。
息を整え合うように、二人はしがみつく。
「苦しいよ・・・」
二人が肩で息をする中、そう初めて素直に言葉にしたのは、雪男だった。
「泣きたくなかった。これじゃ・・・子供の頃に逆戻りだ・・・!」
「なにを、言ってんだ・・・俺をよく見ろ。お前は、とっくに強いよ」
「世界の危機も騎士團や神父さん、僕らの生まれへの疑念も玲薇への当てつけも、全部、
全部自分の弱さを隠す為の言い訳だ!隠すために周りを犠牲にして・・・許されない・・・!!
こんな僕が、生きていられると思う?」
何も隠さなくなった。涙を流し訴える雪男は、少なくとも今は、自分を頼っている。
燐は迷わず雪男の顔を両手で包み、ずっと言いたかった言葉を。
「生きてくれ」