第一話 兄弟ゲンカ
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「今さら、どこに帰るんだよ。騎士團に、帰るつもりはない。騎士團は、保身しか考えない腐った無能の集まりだ。
・・・なんで僕がこんなところに来たと思う、イルミナティを潰すためだ」
いまもなを、召喚した悪魔達が暴れ続けてくれていることだろう。
「騎士團がやれない事をしてあげたんだよ。あとは、僕らが死ねば完璧だ」
「・・・・・・しぬ」
「僕の左目は、サタンに寄生されてる。サタンは、この左目からアッシャーを覗いてるんだ。
ルシフェルはどうやら僕をサタンの復活に利用する気らしい。僕だけじゃなく、玲薇もね。利用されてたまるか」
抱かれていた腕にも、力が入るのがわかった。雪男は左目から出てる青い炎に向け、再び鉄棒を突きつける。
「!!?」
玲薇は雪男に答えるように強く抱きつけ、燐は止めようと駆け出していたが、その鉄棒は、弾き返されていた。
「・・・・・っ」
雪男の言葉で理解はしていたが、目のあたりにすると怖くて身体が震えた。
「僕はサタンに寄生されてるって言ったろ。サタンは宿主を守る。だから死にたくても死ねないんだ。
サタンの落胤の兄さんなら殺せるかもね。僕が悪魔に利用される前に殺してくれよ。玲薇が利用される前に殺してくれ。
あぁ、兄さん「弟とは戦わない」んだっけ。じゃあ邪魔だ。とっとと消えろ」
「・・・そうか、分かった。お前、ナメられたくねぇんだな」
「・・・・・・・・・・は?聞いてた、僕の話?」
「!!」
フワリと身体が浮く感覚。玲薇と雪男を離した瞬間、燐は思いっきり雪男に殴りかかったのだ。
「雪男!?」
「ヤベ、加減が・・・」
雪男は吹き飛び、後ろの方にあったコンテナに無造作にぶつかる。
「燐、何やって・・・!」
雪男の方へ駆け寄ろうとするも、燐に腕を掴まれ引っ張られる。
バラバラと崩れるコンテナから、傷を負うものの、無事な姿を見せる雪男。
「・・・聞いてないのか、人の話」
「サタンが守ってるってのは、本当みたいだな。今まで玲薇といれて楽しかったか」
「・・・聞いてどうするの?僕に玲薇をくれるって?」
玲薇の脳裏には、別れにも似たあの状況で雪男としたことを思い出す。
「そうすれば、生きて帰るだろ!お前は、生きてつれて帰る、力ずくでな!」
「・・・させるか、ナメやがって。全力で殺させてやる・・・!!」
(私は・・・)
どうすればいいのだろう。どうすれば、あの頃のように戻れるのだろう。戦闘体制に入る二人を見て、燐から離れた腕が力なく下がる。
いっそ、いなくなってしまえば・・・。
その時、視界には志摩と、なぜか子猫丸の姿が見えた。それと同じく、艦全体が慌ただしくなる。
「艦内総員に告ぐ。本艦はこれより、セラフィム圧縮態勢に入る。五分後の"セラフィンパルス"の衝撃に備えよ」
このアナウンスは英語でされているため、そもそも英語が苦手な燐はともかく、玲薇にも理解し難い。
だが、雪男はサラッと通訳してみせた。
「・・・さすがにやられっぱなしなわけはないか。どうする?船艦が、五分後の攻撃の衝撃に備えろっていってる。待ってから始めてもいいけど」
「えあ?待つイミあるか?いいよ、別に。お前こそ大丈夫か?本当に始めて」
「僕は、まぁ」
いいながら、雪男は辺りを見回す。何か策でも練ってるのだろうか、何を考えているのだろうか。
二人が戦ったら、どうなってしまうのだろう。
「大丈夫、かな。一つだけ。その状態は、剣が折れたせいでそうなの?」
「あぁ。でも、俺、生まれた時もこんなだったから、もともとコレが本当の姿なんじゃねーか?」
「・・・そんなはずはない。つまり、生来不安定なんだな・・・」
ボソボソと呟く雪男に、燐は首をかしげる。
「ん?」
「何でもない、以上だ。玲薇は危ないから下がってて」
「でも・・・」
「「いいからっ」」
「っ!!」
二人に強い口調で言われ、引き下がるしかない。戦ってほしくない、死んで欲しくないのに。
一歩ずつ後ずさる玲薇を見てから、雪男は邪魔な上着を脱ぎ捨て、両手にはあのアルムマヘル銃を構えた。
二つの銃は、黒い炎を浮かばせる。
「僕は問題ない。始めよう」
雪男は、燐以上に本気だ。
「なんだぁ?その銃??」
「・・・何だと思う?」
「・・・・・・・・」
逆に問いかけられた燐は、少し悩んで見せるが、分からなかったようだ。
「ダメだ、判らん!始める!」
ここまで、悪魔の姿を見せる燐も始めてだ。
「そっこー気絶させて、連れて帰ってやるぜ」
「どうかな」
「サァタァアアンンンクロウ!!!」
ダメだ。冗談抜きで今の二人の間に入ったら、ココがどうなるか判らない。いっそ巻き添えて死んでしまってもいいのかもしれない。
二人の攻撃で、自分がいなくなってしまえば、少なくとも二人はその時間だけ戦わないハズ・・・。
「・・・・・っ!!」
燐が近くにいるからか、サタンが近くにいるからか分からないけれど、身体が熱くなっていく。
ルシフェルから雪男を守ろうとした時よりさらに強く。これは、自分にどうしろってことなんだろう。
でも、いま、燐にも雪男にも迷惑かけたくなくて。
「・・・志摩くん、三輪くん・・・私、どうなってる・・・?」
「「・・・・・・・!!」」
声にならない声で驚いている二人。当然だ、まさか隠れていた場所に玲薇が来るなんて思わないだろう。
「ぶ・・・無事で、良かったです・・・!」
なんとか状況を飲み込んでくれた子猫丸が、答えてくれる。
「・・・なんや?全体的に青い光が見えるわ・・・目ぇおかしぃなったかな・・・」
志摩はわざとらしく、目を瞑ったり開けたり、指で擦ったりしている。
「・・・風美夜さんの今までの青い光が、身体に纏わりついてるみたいな・・・」
(・・・何も抑え込む媒体がないから?じゃあ、私はどの炎を触っても大丈夫って、こと・・・?)
再び視線を燐と雪男に向けてみる。いや、待て待て。やはり場馴れしてるだけあり、雪男の方が何倍も上手だ。
すきあらはわ燐の剥き出しになっている悪魔の心臓を狙うのだから。
すると、志摩のインカムが鳴り出し、彼は応答する。どうやら向こう側はイルミナティの連中だろう。
「はい」
「志摩、甲板にいるな」
「あ、はァ」
志摩は迷うことなく、甲板にある隠しカメラに目を向ける。バレたところでどうしようもないが。
「何故、報告しない。奥村雪男は、何と戦っている!?」
「え〜〜お兄ちゃんと兄弟ゲンカ始まっちゃってます」
「奥村燐が?・・・どうやって艦内に・・・」
「さあ。でも、バックにサマエルさんついてますしね。どーとでも・・・」
「・・・風美夜玲薇は、そこにいるな」
「なんでこうなんかは聞かないでもらえます?」
イヤホンのむこうからでも分かるくらい、誉は大きなため息をつく。
「判った。貴様はそのまま監視し続けろ。ルンドストレム達を向かわせる。ただし、奥村雪男の身に危害が及ぶようなら、必ず止めろ」
白熱していく二人の戦いに、志摩は身震いした。
「んんいぃ〜〜や、いやいやいや、他所さんの兄弟ゲンカに割って入るやなんてそないヤボなことぉ」
「そこにいる、私服の小坊主のことは見逃してやってもいいんだぞ」
「へぇ、そりゃドーモ」
「こちらも監視していることを忘れるな」
ブチンと、耳障りな音をたてる。冷や汗流す志摩を見て、子猫丸が聞いた。
「だ、大丈夫??」
「まー、大丈夫やろ!」
「ほんまに大丈夫やろか」
「・・・志摩くんの大丈夫は、大丈夫じゃないもんね」
いつの間にかシレッと、玲薇は志摩の隣に腰をおろしている。もう、燐と雪男の間に入ることは半場諦めている。
「玲薇ちゃんも!?」
「いや、それもそうなんですけど」
二人にけなされ、志摩はいつもの泣いたフリだ。
「あの後、奥村くん大変やったんや」
「え?」
「今は正気みたいやけど、また、あの奥村くんが戻って、間違って先生殺してしまうなんてことあったら・・・!」
「・・・あの燐って、前にアマイモンと戦った時の・・・?」
燐が悪魔の姿に一度見ている。けど、その時雪男はいなかったハズ。
「いえ、それ以上だった、というか・・・」
「「?」」
モゴモゴしてしまう子猫丸に、志摩と玲薇は首をかしげる。
「うーん、でも、先生も今奥村くんの能力ほぼ無効化するよな状態やしな」
「え?」
今度は志摩の言葉に、子猫丸が首をかしげる。サタンが雪男を守ってるのはともかく、あのアルムマヘル銃をどこまで使いこなすか。
まぁ、もとから銃の腕は確かだし、竜騎士を持つプロだ。この戦いに終わりはあるのか、あるとすれば・・・どちらか死ぬまで・・・。
「判ってんだぞ!サタンが攻撃防ぐっつっても、完全じゃねぇ。少しくらってるだろ!!」
「まあね」
「てことは、休む間なく打ち込み続けたら、いつか倒れるってことだ!」
「それは困るな」
言葉とは裏腹に、雪男はいとも簡単に燐の攻撃をよけ、関節を決める。
正直、サタンの仔の炎を無効化されれば、訓練も戦闘の場数も段違いとなれば、雪男の方が強いだろう。
「セラフィンパルス発動まで10秒」
艦内の放送で、玲薇たちははっとする。そういえば忘れていた、始まるカウントダウン。
残り1秒になったところで、光の輪の刃が、雪男が召喚したヴァユとインドラを消す。
「だから待つか聞いたのに」
衝撃の揺れと、光の攻撃で頭を抱えていた玲薇は、雪男の声に目を向ける。
「燐!!」
「うあ、あ!!」
雪男の放った銃弾が三発、それぞれ燐の額と喉元、悪魔の心臓に撃ち抜かれた。
「はっ、ハァ、ハァ」
激しい呼吸。だが、しばらくしても痛みはなく。
「あれ?な、何ともね・・・」
そう思った矢先に、燐は倒れた。
・・・なんで僕がこんなところに来たと思う、イルミナティを潰すためだ」
いまもなを、召喚した悪魔達が暴れ続けてくれていることだろう。
「騎士團がやれない事をしてあげたんだよ。あとは、僕らが死ねば完璧だ」
「・・・・・・しぬ」
「僕の左目は、サタンに寄生されてる。サタンは、この左目からアッシャーを覗いてるんだ。
ルシフェルはどうやら僕をサタンの復活に利用する気らしい。僕だけじゃなく、玲薇もね。利用されてたまるか」
抱かれていた腕にも、力が入るのがわかった。雪男は左目から出てる青い炎に向け、再び鉄棒を突きつける。
「!!?」
玲薇は雪男に答えるように強く抱きつけ、燐は止めようと駆け出していたが、その鉄棒は、弾き返されていた。
「・・・・・っ」
雪男の言葉で理解はしていたが、目のあたりにすると怖くて身体が震えた。
「僕はサタンに寄生されてるって言ったろ。サタンは宿主を守る。だから死にたくても死ねないんだ。
サタンの落胤の兄さんなら殺せるかもね。僕が悪魔に利用される前に殺してくれよ。玲薇が利用される前に殺してくれ。
あぁ、兄さん「弟とは戦わない」んだっけ。じゃあ邪魔だ。とっとと消えろ」
「・・・そうか、分かった。お前、ナメられたくねぇんだな」
「・・・・・・・・・・は?聞いてた、僕の話?」
「!!」
フワリと身体が浮く感覚。玲薇と雪男を離した瞬間、燐は思いっきり雪男に殴りかかったのだ。
「雪男!?」
「ヤベ、加減が・・・」
雪男は吹き飛び、後ろの方にあったコンテナに無造作にぶつかる。
「燐、何やって・・・!」
雪男の方へ駆け寄ろうとするも、燐に腕を掴まれ引っ張られる。
バラバラと崩れるコンテナから、傷を負うものの、無事な姿を見せる雪男。
「・・・聞いてないのか、人の話」
「サタンが守ってるってのは、本当みたいだな。今まで玲薇といれて楽しかったか」
「・・・聞いてどうするの?僕に玲薇をくれるって?」
玲薇の脳裏には、別れにも似たあの状況で雪男としたことを思い出す。
「そうすれば、生きて帰るだろ!お前は、生きてつれて帰る、力ずくでな!」
「・・・させるか、ナメやがって。全力で殺させてやる・・・!!」
(私は・・・)
どうすればいいのだろう。どうすれば、あの頃のように戻れるのだろう。戦闘体制に入る二人を見て、燐から離れた腕が力なく下がる。
いっそ、いなくなってしまえば・・・。
その時、視界には志摩と、なぜか子猫丸の姿が見えた。それと同じく、艦全体が慌ただしくなる。
「艦内総員に告ぐ。本艦はこれより、セラフィム圧縮態勢に入る。五分後の"セラフィンパルス"の衝撃に備えよ」
このアナウンスは英語でされているため、そもそも英語が苦手な燐はともかく、玲薇にも理解し難い。
だが、雪男はサラッと通訳してみせた。
「・・・さすがにやられっぱなしなわけはないか。どうする?船艦が、五分後の攻撃の衝撃に備えろっていってる。待ってから始めてもいいけど」
「えあ?待つイミあるか?いいよ、別に。お前こそ大丈夫か?本当に始めて」
「僕は、まぁ」
いいながら、雪男は辺りを見回す。何か策でも練ってるのだろうか、何を考えているのだろうか。
二人が戦ったら、どうなってしまうのだろう。
「大丈夫、かな。一つだけ。その状態は、剣が折れたせいでそうなの?」
「あぁ。でも、俺、生まれた時もこんなだったから、もともとコレが本当の姿なんじゃねーか?」
「・・・そんなはずはない。つまり、生来不安定なんだな・・・」
ボソボソと呟く雪男に、燐は首をかしげる。
「ん?」
「何でもない、以上だ。玲薇は危ないから下がってて」
「でも・・・」
「「いいからっ」」
「っ!!」
二人に強い口調で言われ、引き下がるしかない。戦ってほしくない、死んで欲しくないのに。
一歩ずつ後ずさる玲薇を見てから、雪男は邪魔な上着を脱ぎ捨て、両手にはあのアルムマヘル銃を構えた。
二つの銃は、黒い炎を浮かばせる。
「僕は問題ない。始めよう」
雪男は、燐以上に本気だ。
「なんだぁ?その銃??」
「・・・何だと思う?」
「・・・・・・・・」
逆に問いかけられた燐は、少し悩んで見せるが、分からなかったようだ。
「ダメだ、判らん!始める!」
ここまで、悪魔の姿を見せる燐も始めてだ。
「そっこー気絶させて、連れて帰ってやるぜ」
「どうかな」
「サァタァアアンンンクロウ!!!」
ダメだ。冗談抜きで今の二人の間に入ったら、ココがどうなるか判らない。いっそ巻き添えて死んでしまってもいいのかもしれない。
二人の攻撃で、自分がいなくなってしまえば、少なくとも二人はその時間だけ戦わないハズ・・・。
「・・・・・っ!!」
燐が近くにいるからか、サタンが近くにいるからか分からないけれど、身体が熱くなっていく。
ルシフェルから雪男を守ろうとした時よりさらに強く。これは、自分にどうしろってことなんだろう。
でも、いま、燐にも雪男にも迷惑かけたくなくて。
「・・・志摩くん、三輪くん・・・私、どうなってる・・・?」
「「・・・・・・・!!」」
声にならない声で驚いている二人。当然だ、まさか隠れていた場所に玲薇が来るなんて思わないだろう。
「ぶ・・・無事で、良かったです・・・!」
なんとか状況を飲み込んでくれた子猫丸が、答えてくれる。
「・・・なんや?全体的に青い光が見えるわ・・・目ぇおかしぃなったかな・・・」
志摩はわざとらしく、目を瞑ったり開けたり、指で擦ったりしている。
「・・・風美夜さんの今までの青い光が、身体に纏わりついてるみたいな・・・」
(・・・何も抑え込む媒体がないから?じゃあ、私はどの炎を触っても大丈夫って、こと・・・?)
再び視線を燐と雪男に向けてみる。いや、待て待て。やはり場馴れしてるだけあり、雪男の方が何倍も上手だ。
すきあらはわ燐の剥き出しになっている悪魔の心臓を狙うのだから。
すると、志摩のインカムが鳴り出し、彼は応答する。どうやら向こう側はイルミナティの連中だろう。
「はい」
「志摩、甲板にいるな」
「あ、はァ」
志摩は迷うことなく、甲板にある隠しカメラに目を向ける。バレたところでどうしようもないが。
「何故、報告しない。奥村雪男は、何と戦っている!?」
「え〜〜お兄ちゃんと兄弟ゲンカ始まっちゃってます」
「奥村燐が?・・・どうやって艦内に・・・」
「さあ。でも、バックにサマエルさんついてますしね。どーとでも・・・」
「・・・風美夜玲薇は、そこにいるな」
「なんでこうなんかは聞かないでもらえます?」
イヤホンのむこうからでも分かるくらい、誉は大きなため息をつく。
「判った。貴様はそのまま監視し続けろ。ルンドストレム達を向かわせる。ただし、奥村雪男の身に危害が及ぶようなら、必ず止めろ」
白熱していく二人の戦いに、志摩は身震いした。
「んんいぃ〜〜や、いやいやいや、他所さんの兄弟ゲンカに割って入るやなんてそないヤボなことぉ」
「そこにいる、私服の小坊主のことは見逃してやってもいいんだぞ」
「へぇ、そりゃドーモ」
「こちらも監視していることを忘れるな」
ブチンと、耳障りな音をたてる。冷や汗流す志摩を見て、子猫丸が聞いた。
「だ、大丈夫??」
「まー、大丈夫やろ!」
「ほんまに大丈夫やろか」
「・・・志摩くんの大丈夫は、大丈夫じゃないもんね」
いつの間にかシレッと、玲薇は志摩の隣に腰をおろしている。もう、燐と雪男の間に入ることは半場諦めている。
「玲薇ちゃんも!?」
「いや、それもそうなんですけど」
二人にけなされ、志摩はいつもの泣いたフリだ。
「あの後、奥村くん大変やったんや」
「え?」
「今は正気みたいやけど、また、あの奥村くんが戻って、間違って先生殺してしまうなんてことあったら・・・!」
「・・・あの燐って、前にアマイモンと戦った時の・・・?」
燐が悪魔の姿に一度見ている。けど、その時雪男はいなかったハズ。
「いえ、それ以上だった、というか・・・」
「「?」」
モゴモゴしてしまう子猫丸に、志摩と玲薇は首をかしげる。
「うーん、でも、先生も今奥村くんの能力ほぼ無効化するよな状態やしな」
「え?」
今度は志摩の言葉に、子猫丸が首をかしげる。サタンが雪男を守ってるのはともかく、あのアルムマヘル銃をどこまで使いこなすか。
まぁ、もとから銃の腕は確かだし、竜騎士を持つプロだ。この戦いに終わりはあるのか、あるとすれば・・・どちらか死ぬまで・・・。
「判ってんだぞ!サタンが攻撃防ぐっつっても、完全じゃねぇ。少しくらってるだろ!!」
「まあね」
「てことは、休む間なく打ち込み続けたら、いつか倒れるってことだ!」
「それは困るな」
言葉とは裏腹に、雪男はいとも簡単に燐の攻撃をよけ、関節を決める。
正直、サタンの仔の炎を無効化されれば、訓練も戦闘の場数も段違いとなれば、雪男の方が強いだろう。
「セラフィンパルス発動まで10秒」
艦内の放送で、玲薇たちははっとする。そういえば忘れていた、始まるカウントダウン。
残り1秒になったところで、光の輪の刃が、雪男が召喚したヴァユとインドラを消す。
「だから待つか聞いたのに」
衝撃の揺れと、光の攻撃で頭を抱えていた玲薇は、雪男の声に目を向ける。
「燐!!」
「うあ、あ!!」
雪男の放った銃弾が三発、それぞれ燐の額と喉元、悪魔の心臓に撃ち抜かれた。
「はっ、ハァ、ハァ」
激しい呼吸。だが、しばらくしても痛みはなく。
「あれ?な、何ともね・・・」
そう思った矢先に、燐は倒れた。