大切な時間
「・・・・・・カッコいい・・・・・」
ふと頭上から声がし、轟は閉じていた瞼をゆっくり持ち上げた。顔を少し上げれば、
ほんの少し頬を染めた女の子が自分を見ているのが目に入る。
「・・・・・・・・・・・」
初めて見た時は、なんとも思わなかった。ただ、やはりこいつもか、と内心思った。
昔から、よく周りの人にそう言われていた。だけど自分は、誰一人として寄せ付けなかった。
ただただ、父親であるエンデヴァーに、どう抗っていくかだけ考えていたから。
けど、俺が何か言う前に彼女はハッと我に返ったように、前の開いていた席に座る。
そうか・・・こいつは、ここの席だったのかと。ただ、それだけ。前に座った彼女は、隣の席の奴と話している。
「なぁなぁ、おいらはどうよ?」
えへん、と胸を入っている彼は・・・頭にぶどうのようなものがついていた。
お世辞にも強そうにはみえない。けれど、彼もヒーロー志望なのだから実力はあるのだろう。
「え、え~っと・・・」
首を横に捻ったりする彼女。
「迷うなよぉ!!」
「ご、ごめんなさい・・・」
思わず、笑みが出そうになってしまった。
「あ、あの・・・さっきのは忘れて下さい・・・」
静かに目を閉じていた俺は、ゆっくり瞼を上げた。
「別に」
何より、##NAME1##を気になりだしたのは、"個性把握テスト"だ。
誰もが上位を目指すために、必死に"個性"を見せつけていく。でも、##NAME1##はちょっぴり違うように見えた。
誰よりも楽しそうに"個性"を使っている。順位とか、どうでもいいように。今までため込んでいた力を発揮するように。
彼女の周りをヒラヒラと舞う桜は、綺麗でどこか儚げなくて。
自分が繰り出す大胆な氷結とは、訳が違う。でも、なんだか彼女自身ここにいないような気がしたんだ。
授業の終わりに、すぐに食事を始める##NAME1##。他の連中の目が気にならないのだろうか。
まぁ、あんな"個性"たくさん使ったんだ。理由はそれが原因だろう。何せ自分も、"個性"の使用限度はあるから。
けどまぁ、やはりと言うべきか。八百万に指摘された##NAME1##は、"個性"の反動によるものと発覚。
だから、皆につい言ってしまった。
「"個性"の反動だろ。アイツだって、好きで目立ちたいわけじゃないだろ」
同じ女なら尚更。##NAME1##のは、やむを得なくだ。
あっと、言い出した八百万が、罰が悪そうな顔になる。帰るといって、早々と逃げ出した##NAME1##が気になった。
中学までは、他者と関わりをもとうとか思わなかったのに、どうしてだろうな。
原因を追及しようとしたから?仮にもヒーローになるべく人材として、自分を見せようとした?
「・・・"個性"の反動だろ」
「え・・・あ、うん・・・たぶん・・・」
何故追いかけたのか今でも不思議だけど。きっと、##NAME1##の"個性"のせいだ。
どこまでも高く高く飛ぶ、あの桜のように。
「ただ、食べるのが好きというか、大食いなだけなのか、よく自分でもわかんないんだけど、
いつも以上にお腹減るのは確かかな・・・」
照れくさそうに話す##NAME1##。やっぱりな、と、心の中で頷く。普段使わない勢いで"個性"をたくさん使ったんだろう。
自分とは、住む世界の違う人間。このヒーロー科に果たして相応しい奴なのだろうか。
「・・・・・・腹、まだ食えるなら何か食いに行くか?」
丁度お昼時だし、自分もお腹空いたし。ここで引き下がるのも、なんだか違うし。
「え、いいの?」
彼女の手提げには、まだ食べ物は残ってるけれど。キラキラとした眼を向けてくる。
だから、咄嗟に誤魔化すように、けど、本音を伝えた。
「・・・・・・あんたの技、俺より綺麗に扱ってたから」
「轟くんも、氷の技大胆に使ってて凄かったよ」
「・・・・・」
道中、何を話そうにもお互い緊張してるせいか会話は広がらなかった。
いや、どう答えていいのか迷ってしまったんだ。俺の顔つきも、最悪だったと思う。
「・・・なに、食べようかな」
手を合わせて押したり引いたり。ソワソワする##NAME1##。
「あ」
看板に目がいったのか、それよか近くに店があまりなかったから仕方ないけど。
「ラーメン、だって・・・ここでもいい?」
選択肢は限られてる。本音は、ざるの蕎麦が食べたかった。
「ああ・・・」
一緒に店内に入って、仲良くカウンターで食べる。彼女の食べっぷりは、やはり凄かった。
「「ごちそうさまでした」」
「ありがとうございましたー!」
お腹がいっぱいになり満足な二人。
「轟くん、ありがとう」
「いや・・・俺は何も・・・」
何が可笑しいのか、##NAME1##は小さく、ふふと笑った。
「これからよろしくね」
「・・・・・・」
なんだか、照れくさかった。
だからか、オールマイトの初めての戦闘訓練でペアを組んだ時は嬉しかったんだ。
ふと頭上から声がし、轟は閉じていた瞼をゆっくり持ち上げた。顔を少し上げれば、
ほんの少し頬を染めた女の子が自分を見ているのが目に入る。
「・・・・・・・・・・・」
初めて見た時は、なんとも思わなかった。ただ、やはりこいつもか、と内心思った。
昔から、よく周りの人にそう言われていた。だけど自分は、誰一人として寄せ付けなかった。
ただただ、父親であるエンデヴァーに、どう抗っていくかだけ考えていたから。
けど、俺が何か言う前に彼女はハッと我に返ったように、前の開いていた席に座る。
そうか・・・こいつは、ここの席だったのかと。ただ、それだけ。前に座った彼女は、隣の席の奴と話している。
「なぁなぁ、おいらはどうよ?」
えへん、と胸を入っている彼は・・・頭にぶどうのようなものがついていた。
お世辞にも強そうにはみえない。けれど、彼もヒーロー志望なのだから実力はあるのだろう。
「え、え~っと・・・」
首を横に捻ったりする彼女。
「迷うなよぉ!!」
「ご、ごめんなさい・・・」
思わず、笑みが出そうになってしまった。
「あ、あの・・・さっきのは忘れて下さい・・・」
静かに目を閉じていた俺は、ゆっくり瞼を上げた。
「別に」
何より、##NAME1##を気になりだしたのは、"個性把握テスト"だ。
誰もが上位を目指すために、必死に"個性"を見せつけていく。でも、##NAME1##はちょっぴり違うように見えた。
誰よりも楽しそうに"個性"を使っている。順位とか、どうでもいいように。今までため込んでいた力を発揮するように。
彼女の周りをヒラヒラと舞う桜は、綺麗でどこか儚げなくて。
自分が繰り出す大胆な氷結とは、訳が違う。でも、なんだか彼女自身ここにいないような気がしたんだ。
授業の終わりに、すぐに食事を始める##NAME1##。他の連中の目が気にならないのだろうか。
まぁ、あんな"個性"たくさん使ったんだ。理由はそれが原因だろう。何せ自分も、"個性"の使用限度はあるから。
けどまぁ、やはりと言うべきか。八百万に指摘された##NAME1##は、"個性"の反動によるものと発覚。
だから、皆につい言ってしまった。
「"個性"の反動だろ。アイツだって、好きで目立ちたいわけじゃないだろ」
同じ女なら尚更。##NAME1##のは、やむを得なくだ。
あっと、言い出した八百万が、罰が悪そうな顔になる。帰るといって、早々と逃げ出した##NAME1##が気になった。
中学までは、他者と関わりをもとうとか思わなかったのに、どうしてだろうな。
原因を追及しようとしたから?仮にもヒーローになるべく人材として、自分を見せようとした?
「・・・"個性"の反動だろ」
「え・・・あ、うん・・・たぶん・・・」
何故追いかけたのか今でも不思議だけど。きっと、##NAME1##の"個性"のせいだ。
どこまでも高く高く飛ぶ、あの桜のように。
「ただ、食べるのが好きというか、大食いなだけなのか、よく自分でもわかんないんだけど、
いつも以上にお腹減るのは確かかな・・・」
照れくさそうに話す##NAME1##。やっぱりな、と、心の中で頷く。普段使わない勢いで"個性"をたくさん使ったんだろう。
自分とは、住む世界の違う人間。このヒーロー科に果たして相応しい奴なのだろうか。
「・・・・・・腹、まだ食えるなら何か食いに行くか?」
丁度お昼時だし、自分もお腹空いたし。ここで引き下がるのも、なんだか違うし。
「え、いいの?」
彼女の手提げには、まだ食べ物は残ってるけれど。キラキラとした眼を向けてくる。
だから、咄嗟に誤魔化すように、けど、本音を伝えた。
「・・・・・・あんたの技、俺より綺麗に扱ってたから」
「轟くんも、氷の技大胆に使ってて凄かったよ」
「・・・・・」
道中、何を話そうにもお互い緊張してるせいか会話は広がらなかった。
いや、どう答えていいのか迷ってしまったんだ。俺の顔つきも、最悪だったと思う。
「・・・なに、食べようかな」
手を合わせて押したり引いたり。ソワソワする##NAME1##。
「あ」
看板に目がいったのか、それよか近くに店があまりなかったから仕方ないけど。
「ラーメン、だって・・・ここでもいい?」
選択肢は限られてる。本音は、ざるの蕎麦が食べたかった。
「ああ・・・」
一緒に店内に入って、仲良くカウンターで食べる。彼女の食べっぷりは、やはり凄かった。
「「ごちそうさまでした」」
「ありがとうございましたー!」
お腹がいっぱいになり満足な二人。
「轟くん、ありがとう」
「いや・・・俺は何も・・・」
何が可笑しいのか、##NAME1##は小さく、ふふと笑った。
「これからよろしくね」
「・・・・・・」
なんだか、照れくさかった。
だからか、オールマイトの初めての戦闘訓練でペアを組んだ時は嬉しかったんだ。