豪雨の日

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「キルシュ!ツクヨミ!」 
長引く雨の日。慣れてきた休日のインターンの中、雨の日特有の土砂災害などの被害が連日多くなっていた。
ホークスの指示のもと、サイドキックの人たちも一緒に土砂崩れのあった九州でも山に囲まれた村の手助けをする。
水は激しく、マンホールからも溢れ、小川は湖と呼んでもおかしくないありさまだ。
ここのところ、梅雨ではないが一週間近く晴れの日をみていないらしい。
同じ日本にいるのに、こんなにも天気に左右されるのかと、歌恋は驚いた。
ホークス事務所を中心に、いくつかの事務所を持つプロヒーローと連携し、避難所を設立。

「たまにあるんだよね、土砂災害。やっと空も落ち着いた」
目まぐるしい救助活動も一段落した頃、事務所に戻りホークスがため息混じりに言った。
「二人は初めてだったでしょ?大丈夫だった?」
「ビックリしました。雨も怖いんですね・・・」
「視界が遮られる。ゴーグルはこういった場面で必要ですね」
「コスチュームに追加しようかな」
課題が見つかれば、二人はすぐに真面目に話合う。もうこの光景も見慣れてきた。

「とりあえず二人とも、風邪ひかんように身体休ませてきなよ」
「ホークスは?」
こうやってすぐ、自分の心配をしてくれる二人。
「俺らだけ休憩じゃ、インターン来てる意味が・・・」
「はいはい、気張り過ぎてもだーめ。風邪ひかれても、それこそ洒落になんないって。
俺は上に報告しなきゃだし、この羽根の数じゃもう一踏んばりってとこかな」
肩越しに自分の羽根を見る。モノや人を運ぶに最適な剛翼は、飛行性能が落ちないギリギリのとこ。
「くしゅん」
言ってるそばから、歌恋のくしゃみ。
「ほら、言わんこっちゃない」
確かに雨に濡れたままの身体を放っておくって、この日が初めてだったかもしれない。
「分かりました、少し休憩してきます。行くぞ登坂
「うん」

借りている自分たちの部屋に常闇と歌恋は一緒に向かう。
「そういえば常闇くん、USJで初めての授業の時、豪雨の場所だったっけ」
「ヴィラン連合が潜入してきた時だな。口田と一緒に飛ばされた」
「そっか。あの施設、やっぱ伊達に作られてないよね。私も豪雨のとこ体験しとけばよかった」
「今度の休みでも、先生に使っていいのか訊ねてみよう。俺も飛行訓練はしたことないからな」
「ダークシャドウとちゃんと様になってるって、ホークス呟いてた」
「まだまだだけどな」
「ふふ、もっと喜んでいいと思うよ?ホークスが人を褒めてるの、滅多にないし」
心なしか、常闇の黒い頬がほんのり色づいたようにみえる。
「そう、だろうか」
「うん」

その時、窓からピカッと、光が走った。
「「!」」
雨空から鳴り響く。これは、雷だ。雷が怖いわけではない。けれど二人は顔を合わせる。
「・・・ホークス、また飛んでたよね・・・」
先程一緒に帰ったばかりなのに、彼もびしょ濡れなのに。
「・・・やはりついて行くべきだったか」
「上の人って、公安の人なのかな。私たちじゃ、手伝えないのかな」
事務所の仕事だけじゃない、ホークスは自分達が知らないところで他の仕事をしてるのだろう。
「立ち止まってても仕方ない。一先ず、シャワーを浴びてしまおう。でなければまた心配させてしまう」
「また、集合でいい?」
「ああ」

(まさか雷まで鳴るとはねえ・・・最悪だ)
初めて雄英から預かったインターン二人。どちらも悪い子じゃない。いいこだし、真面目だし、
何より後ろについてこようと必死になってる。それが嫌だってわけじゃない。
(タイミングが悪かった)
公安から、ヴィラン連合に取り入れと報告を受けてから、奴等の動向を伺っていた。
入れるタイミングを見計らって、奴等の目的を探ってから。

「・・・・・・・・」
雷に撃たれないよう注意しながら事務所に戻ると、二人のインターン生は仲良くソファーに座りながら話している。
サイドキックはとっくに帰ってるだろうに。地元だから、帰る家がちゃんとある。
だけど・・・そうだよな、事務所に設備が整ってても、部屋に閉じ籠ってる二人じゃない。
帰る場所が公安か、ここの事務所か。
「あれ?二人は、寝ないの?もう夜も遅いよ」
「!」
「お帰りなさい!」
俺の姿を見るなり、二人は嬉しそうに駆け寄ってくる。バスタオルを持ってるのかな。
「雷も雨も、だいぶおさまったようです」
「これ、使って下さい」
「ありがと」
バスタオルを受け取り、ゴーグルを外し軽く顔や髪の毛を拭いていく。

「それで、あの・・・常闇くんと話てたんですけど、もし冬休みインターンあったら、また来てもいいですか?」
動かしていた手を止めて、ホークスは顔をバスタオルで埋めたまま目を見開いた。
二人には対して何も教えていない。それでも、二言三言。あとは彼らなりに考え、"個性"を強くしている。
「あなたの技を見てる方が、一人で向き合うよりも勉強になるんです」

『ヴィラン連合に取り入れ、ホークス』

冬は、向こうの仕事で忙しくなる。
気付いたら、二人を羽根で包み込み、首に腕を回し抱いていた。こんなに頼ってくれるのを嬉しいと、
どうして素直に感じられるのだろう。今まで汚い仕事だって、たくさんしてきた、させられてきた。
この子たちの知らないヒーロー活動の在り方を、俺は幾度としてきている。
その笑顔を見ると、自分の活動に疑問すら浮かんできて。でも、この不思議な気持ちはなんだろう。
いま、ここには三人しかいない。特定の帰る場所がない三人。

「ありがとう。けど俺、冬は事務所にいない。公安の方で、ちょっとばかり駆り出されるんだ」
半分本当で、半分は嘘。きっと連合に入ったままになる。
「え・・・」
「そうなんですか?」
そうだ、だったら二人に頼めばいい。
「俺はいないけど・・・二人に、頼んでもいいかな?」
「「?」」
「俺が留守にしてる間に出る被害を、君たちの手で、この街の人達を守って欲しいんだよね」
「「はいっ」」
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