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一方、先頭車両の屋根に残された燐は、
浮腫と触手でほとんど足場もなくなった場所で、奮戦していた。
「急げって言ったって、これじゃあ・・・」
半ばぼやく燐に、次々と鋭く尖った触手が襲いかかる。
よけきれず袋に入った剣でガードするが、
その拍子に袋が引きちぎられ、中の降魔剣がむき出しになる。
降魔剣の柄を握りしめ、絡みつく触手に奪われまいとしていた燐が、
不意に周囲の空気が変わったことに気づき、はっと顔を上げる。
「!!」
幽霊列車の頭部のてっぺんについた車両ライトが、怪しく点滅していた。
「りーーん!!」
彼の頭上では、玲薇が襲う触手を撃ち落としている。
「どうにか、こっちに飛び乗れない!?」
燐は辺りを見回す。ライトの周囲にはまるで、
光に群がる蛾の大群のように、大量のコールタールが群がっている。
玲薇の考えはこうだろう。二人でリニュウの背中に乗れば、
問題なく雪男たちと合流できるハズ。しかし、それは一か八か。
せっかく玲薇は安全でもないが、こちらよりはマシな方にいるんだ。
「お前は先に雪男たちの方へ行け!俺はコイツをぶった切る!」
「は!?燐!」
《くそ、これ以上はよけきれねぇぞ!》
「え」
・・・燐はきっと、戦うと決めたら引き下がらないだろう。
あの時だってそうだった。一人で、グールを倒した時も。
「わかった!絶対、ぶった切れ!!」
「おう!」
「リニュウ!」
目指すは、雪男たちのいるトロッコへ。
大きく方向転換すれば、背後から触手が追いかけてくる。
それらを振りきる猛スピードで。一つ一つに、狙いを定めて・・・。
「うっし」
玲薇はいった。燐は降魔剣の柄を握りしめ、
一気にそれを抜こうとするが、一瞬早く、右足首を触手に取られる。
凄まじい力で引きずられ、闇夜に逆さ吊りにされた。
「このおおぉお!!」
宙吊りになった状態で、燐が再び剣に手をかける。
引き抜いたとたん、ほとばしる閃光が闇夜を燦然(さんぜん)と彩り、
サタンの炎が降魔剣からあふれ出した。
全身に青い炎をまとった燐が、自分を絡め取っている触手を一刀両断する。
支えを失い落下する中、鞘を腰のベルトに差しこみ、
浮腫でボコボコになった屋根の上に器用に着地する。
その脇に、燐に切られた触手が落ちてきた。
その重みでぐらりとゆれる幽霊列車の上を、一気に駆け抜ける。
「うおおぉおおーっ!!」
幽霊列車の巨大な頭部の目前で軽く跳躍し、それを大きく切り裂く。
闇の中、青い炎が陽炎のようにたなびいた。
まるで踏み潰された粘土のように真上に伸びた頭部が、
トンネル手前の高さ制限の標示板に激突する
上顎から上の部分がちぎれ、鉄橋の下のプラント地帯へと落下していく。
「ぐっ!!」
身を低くしてその巻き添えを避けた燐が、屋根の上から降りようとし、
すんでのところで、それをやめる。切れた電線が、
幽霊列車の下顎の端に絡まり、バチバチと火花を散らしていた。
下顎からはシューシューと、黒い湯気が立っている。
ボコボコと下顎の表層を醜い瘤(こぶ)が覆い、そこから無数の触手が伸びた。
「っ!?」
瞬く間に、燐が呑み込まれる。
大きく伸びた触手の先から節くれだった足が生え、
びっしりと浮き出した瘤の表面に次々と巨大な目が生まれた。
生えたばかりの足が地を求めるように、暗い虚空かく・・・。
さらにまがまがしい姿となった列車の悪魔は、
再び暗いトンネル内へと入っていった。
《見えたぞ!》
それは、幽霊列車が再びトンネル内へ入る数分前のこと。
「雪男と杜山さんは・・・!?」
《まだみたいだ》
一時リニュウに休んでもらうため、トロッコの上で待機。
「みんな・・・」
浮腫と触手でほとんど足場もなくなった場所で、奮戦していた。
「急げって言ったって、これじゃあ・・・」
半ばぼやく燐に、次々と鋭く尖った触手が襲いかかる。
よけきれず袋に入った剣でガードするが、
その拍子に袋が引きちぎられ、中の降魔剣がむき出しになる。
降魔剣の柄を握りしめ、絡みつく触手に奪われまいとしていた燐が、
不意に周囲の空気が変わったことに気づき、はっと顔を上げる。
「!!」
幽霊列車の頭部のてっぺんについた車両ライトが、怪しく点滅していた。
「りーーん!!」
彼の頭上では、玲薇が襲う触手を撃ち落としている。
「どうにか、こっちに飛び乗れない!?」
燐は辺りを見回す。ライトの周囲にはまるで、
光に群がる蛾の大群のように、大量のコールタールが群がっている。
玲薇の考えはこうだろう。二人でリニュウの背中に乗れば、
問題なく雪男たちと合流できるハズ。しかし、それは一か八か。
せっかく玲薇は安全でもないが、こちらよりはマシな方にいるんだ。
「お前は先に雪男たちの方へ行け!俺はコイツをぶった切る!」
「は!?燐!」
《くそ、これ以上はよけきれねぇぞ!》
「え」
・・・燐はきっと、戦うと決めたら引き下がらないだろう。
あの時だってそうだった。一人で、グールを倒した時も。
「わかった!絶対、ぶった切れ!!」
「おう!」
「リニュウ!」
目指すは、雪男たちのいるトロッコへ。
大きく方向転換すれば、背後から触手が追いかけてくる。
それらを振りきる猛スピードで。一つ一つに、狙いを定めて・・・。
「うっし」
玲薇はいった。燐は降魔剣の柄を握りしめ、
一気にそれを抜こうとするが、一瞬早く、右足首を触手に取られる。
凄まじい力で引きずられ、闇夜に逆さ吊りにされた。
「このおおぉお!!」
宙吊りになった状態で、燐が再び剣に手をかける。
引き抜いたとたん、ほとばしる閃光が闇夜を燦然(さんぜん)と彩り、
サタンの炎が降魔剣からあふれ出した。
全身に青い炎をまとった燐が、自分を絡め取っている触手を一刀両断する。
支えを失い落下する中、鞘を腰のベルトに差しこみ、
浮腫でボコボコになった屋根の上に器用に着地する。
その脇に、燐に切られた触手が落ちてきた。
その重みでぐらりとゆれる幽霊列車の上を、一気に駆け抜ける。
「うおおぉおおーっ!!」
幽霊列車の巨大な頭部の目前で軽く跳躍し、それを大きく切り裂く。
闇の中、青い炎が陽炎のようにたなびいた。
まるで踏み潰された粘土のように真上に伸びた頭部が、
トンネル手前の高さ制限の標示板に激突する
上顎から上の部分がちぎれ、鉄橋の下のプラント地帯へと落下していく。
「ぐっ!!」
身を低くしてその巻き添えを避けた燐が、屋根の上から降りようとし、
すんでのところで、それをやめる。切れた電線が、
幽霊列車の下顎の端に絡まり、バチバチと火花を散らしていた。
下顎からはシューシューと、黒い湯気が立っている。
ボコボコと下顎の表層を醜い瘤(こぶ)が覆い、そこから無数の触手が伸びた。
「っ!?」
瞬く間に、燐が呑み込まれる。
大きく伸びた触手の先から節くれだった足が生え、
びっしりと浮き出した瘤の表面に次々と巨大な目が生まれた。
生えたばかりの足が地を求めるように、暗い虚空かく・・・。
さらにまがまがしい姿となった列車の悪魔は、
再び暗いトンネル内へと入っていった。
《見えたぞ!》
それは、幽霊列車が再びトンネル内へ入る数分前のこと。
「雪男と杜山さんは・・・!?」
《まだみたいだ》
一時リニュウに休んでもらうため、トロッコの上で待機。
「みんな・・・」