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夢小説設定
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薄暗い水面が大きく波立ち光ったかと思うと、また暗くなった。
それきり静まり返っている。
「一体、どーなってんだ?」
「わ、わからない・・・。リュウさんの姿もないし・・・」
状況がつかめず水面を見つめるしかない二人の視界に、
突如、水中から飛び出した幽霊列車の醜悪な姿が映る。
「「!?」」
その身体は先ほどより、若干小さくなったように思えた。リュウの姿もない。
幽霊列車は、まず下の橋を支えている柱にしがみつくと、器用にそれを登り始めた。
そして、上の橋を支える柱へ飛び移る。その先には、うさ麻呂と雪男が対峙している。
「雪男!!うさ麻呂ーっ!!」
「リニュウ、急いで!」
《わかってる!》
また、幽霊列車に道をふさがれる前に。
雪男とうさ麻呂のいる柱の頭上まで来たところで、燐が飛び降りる。
「待て、雪男!」
「兄さん!?」
やっと燐の声が届いた。しかし、それもつかの間。
幽霊列車が、その柱を登りきったのだ。
「幽霊列車・・・!」
玲薇もリニュウの背中から飛び降り、銃を抜く。
「!」
雪男とともに銃を構え、続けざまに発砲した。
それぞれの弾が、幽霊列車の目玉に命中し、あたりに血飛沫が飛び散る。
それから二人をリニュウが羽を広げ庇う。
《ヴヴヴ・・・ヴヴアァアア!!》
地を震わすような咆哮を上げた幽霊列車が、
激突してくるそれを、リニュウが押さえ込む。
「リニュウ!」
《くっ・・・!》
幽霊列車の激突に押し負けたリニュウは、柱の壁に身体をぶつけた。
その巨大な身体同士がぶつかったせいか、壁の破片が飛び散るとともに、
無防備な人間の身体は思わず吹き飛ばされるほどだった。
「っ・・・!」
近くにいた雪男は玲薇の身体に覆い被さる。
「雪男!玲薇!」
辛くも柱の一部に捕まれていた燐だが、
落下する二人に向かっていく幽霊列車の下に飛びのった。
「くそっ・・・!」
降魔剣を鞘に入れたまま、幽霊列車のもう一つの目玉に突き入れる。
再びの咆哮に耳をふさぎたくなるものの、
身体をくねらす幽霊列車は壁にぶつかり、動きを止めた。
その上に、まるでクッション代わりになるかのような足場に、二人が落ちる。
「玲薇、大丈夫!?」
「平気・・・!」
「お前ら、怪我は!?」
「兄さ・・・」
「!?」
しかし、暴れるのを諦めない幽霊列車は、再びの標的を、
唯一残ったうさ麻呂を、ギロリと一部再生された目玉が捕らえる。
幽霊列車の背中から避ける間もなく、三人は暴走するそれにしがみつく。
幽霊列車に背を向けレーンの上を逃走していたうさ麻呂だが、
ほどなく追いつかれ、大きく撥ね飛ばされた。
「うさ麻呂ーっ!!」
極限まで腕を伸ばした燐が、間一髪のところでうさ麻呂の耳をつかみ、
遮二無二、己のもとへ引き寄せる。
「りん・・・っ!?はなせ!!」
我に返ったうさ麻呂が燐の腕を払いのけ、
自らの力で幽霊列車の頭部にしがみつく。
「なぜ、たすけるのじゃ!!」
血を吐くようなその問いに燐は答えず、逆に静かに問いかける。
「うさ麻呂、お前は皆を幸せにするためにその力をつかったんだろ?」
「そうじゃ!!」
うさ麻呂が悲鳴のように叫ぶ。
その後、力ない声で震えるようにうめいた。
「なのに・・・なのに・・・っ・・・」
「だったら」
鋭くうさ麻呂を据えていた燐の両目がやさしく細められる。
「お前、いい奴じゃん」
「・・・り、ん・・・」
お面をつけたうさ麻呂が震える身体で、驚いたように燐を見つめる。
ニッと笑った燐がうなずいてみせると、背後で二人が叫ぶ声がした。
「燐!?」
「何を言ってるんだ、兄さん!?」
自分が何を言っているのか、わかっているのか、
と鋭い口調で問いつめてくる弟を振り返ることなく、
燐が唇の端から笑みを消し、うさ麻呂をまっすぐに見つめる。
「でもな・・・」
次の瞬間、視界が完全な暗闇に包まれた。
それきり静まり返っている。
「一体、どーなってんだ?」
「わ、わからない・・・。リュウさんの姿もないし・・・」
状況がつかめず水面を見つめるしかない二人の視界に、
突如、水中から飛び出した幽霊列車の醜悪な姿が映る。
「「!?」」
その身体は先ほどより、若干小さくなったように思えた。リュウの姿もない。
幽霊列車は、まず下の橋を支えている柱にしがみつくと、器用にそれを登り始めた。
そして、上の橋を支える柱へ飛び移る。その先には、うさ麻呂と雪男が対峙している。
「雪男!!うさ麻呂ーっ!!」
「リニュウ、急いで!」
《わかってる!》
また、幽霊列車に道をふさがれる前に。
雪男とうさ麻呂のいる柱の頭上まで来たところで、燐が飛び降りる。
「待て、雪男!」
「兄さん!?」
やっと燐の声が届いた。しかし、それもつかの間。
幽霊列車が、その柱を登りきったのだ。
「幽霊列車・・・!」
玲薇もリニュウの背中から飛び降り、銃を抜く。
「!」
雪男とともに銃を構え、続けざまに発砲した。
それぞれの弾が、幽霊列車の目玉に命中し、あたりに血飛沫が飛び散る。
それから二人をリニュウが羽を広げ庇う。
《ヴヴヴ・・・ヴヴアァアア!!》
地を震わすような咆哮を上げた幽霊列車が、
激突してくるそれを、リニュウが押さえ込む。
「リニュウ!」
《くっ・・・!》
幽霊列車の激突に押し負けたリニュウは、柱の壁に身体をぶつけた。
その巨大な身体同士がぶつかったせいか、壁の破片が飛び散るとともに、
無防備な人間の身体は思わず吹き飛ばされるほどだった。
「っ・・・!」
近くにいた雪男は玲薇の身体に覆い被さる。
「雪男!玲薇!」
辛くも柱の一部に捕まれていた燐だが、
落下する二人に向かっていく幽霊列車の下に飛びのった。
「くそっ・・・!」
降魔剣を鞘に入れたまま、幽霊列車のもう一つの目玉に突き入れる。
再びの咆哮に耳をふさぎたくなるものの、
身体をくねらす幽霊列車は壁にぶつかり、動きを止めた。
その上に、まるでクッション代わりになるかのような足場に、二人が落ちる。
「玲薇、大丈夫!?」
「平気・・・!」
「お前ら、怪我は!?」
「兄さ・・・」
「!?」
しかし、暴れるのを諦めない幽霊列車は、再びの標的を、
唯一残ったうさ麻呂を、ギロリと一部再生された目玉が捕らえる。
幽霊列車の背中から避ける間もなく、三人は暴走するそれにしがみつく。
幽霊列車に背を向けレーンの上を逃走していたうさ麻呂だが、
ほどなく追いつかれ、大きく撥ね飛ばされた。
「うさ麻呂ーっ!!」
極限まで腕を伸ばした燐が、間一髪のところでうさ麻呂の耳をつかみ、
遮二無二、己のもとへ引き寄せる。
「りん・・・っ!?はなせ!!」
我に返ったうさ麻呂が燐の腕を払いのけ、
自らの力で幽霊列車の頭部にしがみつく。
「なぜ、たすけるのじゃ!!」
血を吐くようなその問いに燐は答えず、逆に静かに問いかける。
「うさ麻呂、お前は皆を幸せにするためにその力をつかったんだろ?」
「そうじゃ!!」
うさ麻呂が悲鳴のように叫ぶ。
その後、力ない声で震えるようにうめいた。
「なのに・・・なのに・・・っ・・・」
「だったら」
鋭くうさ麻呂を据えていた燐の両目がやさしく細められる。
「お前、いい奴じゃん」
「・・・り、ん・・・」
お面をつけたうさ麻呂が震える身体で、驚いたように燐を見つめる。
ニッと笑った燐がうなずいてみせると、背後で二人が叫ぶ声がした。
「燐!?」
「何を言ってるんだ、兄さん!?」
自分が何を言っているのか、わかっているのか、
と鋭い口調で問いつめてくる弟を振り返ることなく、
燐が唇の端から笑みを消し、うさ麻呂をまっすぐに見つめる。
「でもな・・・」
次の瞬間、視界が完全な暗闇に包まれた。