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夢小説設定
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うさ麻呂がお面の下で耳まで裂けた口を嗤うように歪める。
嘲るような言い方が、かえって悲しかった。
「そしたら、みーんな、シアワセになるのじゃっ!!」
燐の目がまっすぐにうさ麻呂を見すえる。
決して声を荒げることなく問いかける。
「俺とお前の思い出もか?」
「!!」
「俺がお前と過ごした記憶も、喰っちまうのか?」
「そ・・・それ・・・は」
わずかにたじろいだうさ麻呂が、返す言葉に詰まる。
燐はうさ麻呂の答えを待った。気圧されたようにうさ麻呂が半歩、あとずさる。
だが、かすかに響いた足音にピンと耳をそばだてると、全身の毛を一気に逆立てた。
「ガルルルルル・・・」
うなり声を上げるうさ麻呂の視線を追って、燐が振り返る。
二人を見守っていた玲薇も、振り返った。
そこには、壁を伝って下りてきたらしい雪男の姿があった。左手に銃を構えている。
「ソイツに何を言ったって無駄だ」
雪男が冷ややかに告げ、燐の前へ歩み出る。
「兄さんは下がって」
「待て、雪男」
燐が弟を制し、うさ麻呂に視線を戻す。
「うさ・・・」
その先の言葉を、しかし頭蓋骨をゆさぶるような重低音と激しいゆれが奪った。
足下を見ると、ムカデのように遺跡の壁面に自身の身体をこすりつけながら這いずり上がってきた幽霊列車が、
燐たちが立っている石像の首の部分に体当たりしていた。背中にリュウがしがみついている。
石像の頭部に長い亀裂が走り、うさ麻呂と燐たちの間で真っ二つに割れた。
「くそっ・・・!」
「っ・・・」
激しくゆれる足下にバランスを崩す。
玲薇は銃をホルスターにしまい、魔法円を取り出す。
その間に、雪男はうさ麻呂のいる側へ飛び移る。
途中、わずかに体勢を崩すもなんとか着地し、すぐさま銃を構えた。
「雪男!!」
燐が弟の名を叫び、その行動を制する。
うさ麻呂が雪男から逃れ、石像の角の部分へと跳びすさった。
雪男がそちらへにじり寄る。
「"気高き気高き雄飛の眼前。我の血承け入れ、その力干渉せよ"!!」
「・・・!?」
燐はハッとし、玲薇を見る。
直後、第二の衝撃が彼らを襲った。
嫌な浮遊感の後、身体が大きく沈む。
「・・・っ!?」
石像の頭部が、それぞれ胴体部からもげたのだとわかった時には、
凄まじい勢いで落下していた。
「うおおおおー!!」
燐が絶叫する中、バシッと誰かに手を捕まれた。
「玲薇!」
リニュウの背中に乗っていた彼女が、どうやら助けてくれたらしい。
「危なかった・・・」
ホッと安堵しつつ、燐をなんとかリニュウの背中に乗せてやる。
「あり、がとな・・・」
「どういたしまして。それより、燐・・・」
話の途中で、後方から耳をつんざくような銃声が鳴り響いた。
「「!?」」
目をむいた燐が振り向く。
「雪男・・・」
その先には、雪男とうさ麻呂の姿があった。
中央で分断された橋の向こう側で、硝煙の立ち上る銃を構えた雪男と、
尻尾を四方へ伸ばし臨時体勢になったうさ麻呂が睨み合っている。
「やめろ!雪男!!うさ麻呂!!」
声の限りに叫ぶ。だが、二人の耳には届かない。
「玲薇!向こう側に行けねーか!?」
「リニュウ!」
リニュウは、雪男とうさ麻呂の方へ向かってくれる。
すると、頭の上に礫のようなものが降り注いできた。
「アブね!」
「!」
玲薇の頭に落ちぬようにと、自身が覆い被さる。
「大丈夫か?」
「う、うん・・・」
(なん、なんだ?)
燐は見上げると、石像の首部分から幽霊列車が飛び降りてくるところだった。
ほどなく、半壊状態の橋の上に着地した幽霊列車が、その巨躯で彼らの行く手を阻む。
「ヴウゥヴヴヴ・・・」
「くっ!!」
「!!?」
とっさに応戦しようと降魔剣を握りしめる。
「ちょっと待って!」
すんでて玲薇に止められてみれば、
リュウが幽霊列車の上に飛び下りてきたのだ。
頭部に着地するやいなや、棍を振り上げる。
素早く紡がれた詠唱とともに突き刺された棍が、幽霊列車の後頭部一帯を吹き飛ばす。
「!!」
あたりにまばゆいばかりの光が満ち、視界が奪われた。
降魔剣を持った腕で顔をかばいながら、目を凝らす。
低く咆哮した幽霊列車の身体がぐらりと傾いた。
そのまま、橋から剥がれ、リュウもろとも水の中へ落ちていく。
直後、盛大な水しぶきが上がり、地下坑内に不気味な静寂が満ちた。
嘲るような言い方が、かえって悲しかった。
「そしたら、みーんな、シアワセになるのじゃっ!!」
燐の目がまっすぐにうさ麻呂を見すえる。
決して声を荒げることなく問いかける。
「俺とお前の思い出もか?」
「!!」
「俺がお前と過ごした記憶も、喰っちまうのか?」
「そ・・・それ・・・は」
わずかにたじろいだうさ麻呂が、返す言葉に詰まる。
燐はうさ麻呂の答えを待った。気圧されたようにうさ麻呂が半歩、あとずさる。
だが、かすかに響いた足音にピンと耳をそばだてると、全身の毛を一気に逆立てた。
「ガルルルルル・・・」
うなり声を上げるうさ麻呂の視線を追って、燐が振り返る。
二人を見守っていた玲薇も、振り返った。
そこには、壁を伝って下りてきたらしい雪男の姿があった。左手に銃を構えている。
「ソイツに何を言ったって無駄だ」
雪男が冷ややかに告げ、燐の前へ歩み出る。
「兄さんは下がって」
「待て、雪男」
燐が弟を制し、うさ麻呂に視線を戻す。
「うさ・・・」
その先の言葉を、しかし頭蓋骨をゆさぶるような重低音と激しいゆれが奪った。
足下を見ると、ムカデのように遺跡の壁面に自身の身体をこすりつけながら這いずり上がってきた幽霊列車が、
燐たちが立っている石像の首の部分に体当たりしていた。背中にリュウがしがみついている。
石像の頭部に長い亀裂が走り、うさ麻呂と燐たちの間で真っ二つに割れた。
「くそっ・・・!」
「っ・・・」
激しくゆれる足下にバランスを崩す。
玲薇は銃をホルスターにしまい、魔法円を取り出す。
その間に、雪男はうさ麻呂のいる側へ飛び移る。
途中、わずかに体勢を崩すもなんとか着地し、すぐさま銃を構えた。
「雪男!!」
燐が弟の名を叫び、その行動を制する。
うさ麻呂が雪男から逃れ、石像の角の部分へと跳びすさった。
雪男がそちらへにじり寄る。
「"気高き気高き雄飛の眼前。我の血承け入れ、その力干渉せよ"!!」
「・・・!?」
燐はハッとし、玲薇を見る。
直後、第二の衝撃が彼らを襲った。
嫌な浮遊感の後、身体が大きく沈む。
「・・・っ!?」
石像の頭部が、それぞれ胴体部からもげたのだとわかった時には、
凄まじい勢いで落下していた。
「うおおおおー!!」
燐が絶叫する中、バシッと誰かに手を捕まれた。
「玲薇!」
リニュウの背中に乗っていた彼女が、どうやら助けてくれたらしい。
「危なかった・・・」
ホッと安堵しつつ、燐をなんとかリニュウの背中に乗せてやる。
「あり、がとな・・・」
「どういたしまして。それより、燐・・・」
話の途中で、後方から耳をつんざくような銃声が鳴り響いた。
「「!?」」
目をむいた燐が振り向く。
「雪男・・・」
その先には、雪男とうさ麻呂の姿があった。
中央で分断された橋の向こう側で、硝煙の立ち上る銃を構えた雪男と、
尻尾を四方へ伸ばし臨時体勢になったうさ麻呂が睨み合っている。
「やめろ!雪男!!うさ麻呂!!」
声の限りに叫ぶ。だが、二人の耳には届かない。
「玲薇!向こう側に行けねーか!?」
「リニュウ!」
リニュウは、雪男とうさ麻呂の方へ向かってくれる。
すると、頭の上に礫のようなものが降り注いできた。
「アブね!」
「!」
玲薇の頭に落ちぬようにと、自身が覆い被さる。
「大丈夫か?」
「う、うん・・・」
(なん、なんだ?)
燐は見上げると、石像の首部分から幽霊列車が飛び降りてくるところだった。
ほどなく、半壊状態の橋の上に着地した幽霊列車が、その巨躯で彼らの行く手を阻む。
「ヴウゥヴヴヴ・・・」
「くっ!!」
「!!?」
とっさに応戦しようと降魔剣を握りしめる。
「ちょっと待って!」
すんでて玲薇に止められてみれば、
リュウが幽霊列車の上に飛び下りてきたのだ。
頭部に着地するやいなや、棍を振り上げる。
素早く紡がれた詠唱とともに突き刺された棍が、幽霊列車の後頭部一帯を吹き飛ばす。
「!!」
あたりにまばゆいばかりの光が満ち、視界が奪われた。
降魔剣を持った腕で顔をかばいながら、目を凝らす。
低く咆哮した幽霊列車の身体がぐらりと傾いた。
そのまま、橋から剥がれ、リュウもろとも水の中へ落ちていく。
直後、盛大な水しぶきが上がり、地下坑内に不気味な静寂が満ちた。