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夢小説設定
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「何だ・・・ここは・・・?」
片眉をひそめた燐があたりを見まわす。
「ここって・・・地下、空間・・・?」
「ちか、くう・・・?」
玲薇の言葉に、首をかしげる。
「ほら、授業で習ったでしょ」
正十字学園町はもともと、点在する遺跡の上に作られた街だと。
現に、ここの壁には美しく細工が施されているし、
眼下には水没した街らしき建物群もあり、
その上空に大きな二つの橋が架かっていた。
「なる、ほど・・・」
呆然と見下ろす燐の斜め頭上で、声がした。
「兄さーん!!玲薇ー!!」
これは、雪男の声だ。
二人と一羽が落下してきた穴の上に雪男とリュウが立っている。
燐の脇にうさ麻呂の姿を確認した雪男が、すかさず銃を構える。
「待て」
かたわらのリュウが腕を上げてそれを制した。
「見ろ」
リュウの目線を追った雪男の顔がさっと強ばる。
燐も玲薇も、二人の視線を追って顔を上げた。
そして、両目を見開く。
地面が抜けて出来た穴からすぐ下の壁面に、
幽霊列車が巨大なヤモリのように張りついている。
表皮に浮かんだいくつもの目が、こちらをねめつけてくる。
《ヴゥゥウウ・・・》
地の底から響きわたるかのような唸り声に地下全体がゆれる。
まるで地鳴りだ。
(《カエ・・・セ》・・・?)
燐が何のことかと首を傾げ、すぐに思いいたった。
(コイツの車内から助け出した霊のことか・・・)
それを取り返したいがためにこんなところまでやって来たのだ。
その執念深さにうすら寒いものを覚えていると、
幽霊列車がこちらへ飛びかかってきた。
「なっ・・・!」
燐がうさ麻呂と玲薇を背後にかばって身構える。
「っ・・・!」
思わず飛び出そうとする雪男を再度、リュウが阻んだ。
「お前は兎から目を離すな」
そう短く命じ、棍を構えたまま穴へと飛び込む。
幽霊列車の頭部な難なく着地すると、悪魔の後頭部に棍の先を突き立て詠唱した。
それに呼応するように、棍の先からまばゆいばかりの閃光が放たれる。
幽霊列車の低い悲鳴が地下の壁に響きわたる。
列車の悪魔は大きく悶えながら、その起動を変えた。
石像の横の壁へと頭から突っ込んでいく。
素早く後頭部から飛びすさったリュウが、今度は幽霊列車の背中に棍を突き刺す。
再び奏でられる詠唱に、暗い地下内に光が満ちあふれる。
背中に開いた傷口から悪魔の肉片があたりに飛び散った。
悲鳴を上げ大きくのけぞった幽霊列車が、壁から剥がれ、落下していく。
途中、壁面に作られた祭壇とおぼしき箇所に激突すると、
その場で激しくのたうちまわった。
リュウはなおも幽霊列車の背中から離れず、さらなる攻撃を加えている。
「・・・・・・」
「すごい・・・」
この戦い方こそ、上級祓魔師の実力か。
自分たちの実力よりも、遥かに上・・・。
その光景に圧倒されている燐のとなりで、うさ麻呂も同じように見下ろしていたが、
やがて我に返ったうさ麻呂と燐と玲薇は、お面越しに見つめ合う。
「うさ麻」
「!!」
燐が声をかけようとした瞬間、さっと尻尾を逆立てたうさ麻呂が後ろに跳んだ。
近寄ろうとする燐に、噛みつくように叫ぶ。
「よるな!」
「・・・うさ麻呂くん・・・」
「エクソシストはきらいじゃ!!」
拒絶の言葉に燐が近づこうとする足を止める。
「うさ麻呂」
と、静かな声で呼びかける。
「なんで、人の記憶を喰うんだ?」
「イヤなことわすれて、みんなたのしそうなかおになったのじゃ!なのに・・・」
うさ麻呂の言葉が途切れ、小さな喉が震える。
「記憶を喰っても別の誰かが憶えてるだろ」
「そしたら、ソイツのキオクもくってやる!!」
燐の言葉に、うさ麻呂が挑むように言う。
燐がかすかに眉を寄せ、その下の双眸を細める。
「街にはたくさんの人がいるぞ。皆、喰うのか?」
「まちじゅう、くにじゅう、みーんなキオクをぜーんぶくってくってくいまくってやる!!」
片眉をひそめた燐があたりを見まわす。
「ここって・・・地下、空間・・・?」
「ちか、くう・・・?」
玲薇の言葉に、首をかしげる。
「ほら、授業で習ったでしょ」
正十字学園町はもともと、点在する遺跡の上に作られた街だと。
現に、ここの壁には美しく細工が施されているし、
眼下には水没した街らしき建物群もあり、
その上空に大きな二つの橋が架かっていた。
「なる、ほど・・・」
呆然と見下ろす燐の斜め頭上で、声がした。
「兄さーん!!玲薇ー!!」
これは、雪男の声だ。
二人と一羽が落下してきた穴の上に雪男とリュウが立っている。
燐の脇にうさ麻呂の姿を確認した雪男が、すかさず銃を構える。
「待て」
かたわらのリュウが腕を上げてそれを制した。
「見ろ」
リュウの目線を追った雪男の顔がさっと強ばる。
燐も玲薇も、二人の視線を追って顔を上げた。
そして、両目を見開く。
地面が抜けて出来た穴からすぐ下の壁面に、
幽霊列車が巨大なヤモリのように張りついている。
表皮に浮かんだいくつもの目が、こちらをねめつけてくる。
《ヴゥゥウウ・・・》
地の底から響きわたるかのような唸り声に地下全体がゆれる。
まるで地鳴りだ。
(《カエ・・・セ》・・・?)
燐が何のことかと首を傾げ、すぐに思いいたった。
(コイツの車内から助け出した霊のことか・・・)
それを取り返したいがためにこんなところまでやって来たのだ。
その執念深さにうすら寒いものを覚えていると、
幽霊列車がこちらへ飛びかかってきた。
「なっ・・・!」
燐がうさ麻呂と玲薇を背後にかばって身構える。
「っ・・・!」
思わず飛び出そうとする雪男を再度、リュウが阻んだ。
「お前は兎から目を離すな」
そう短く命じ、棍を構えたまま穴へと飛び込む。
幽霊列車の頭部な難なく着地すると、悪魔の後頭部に棍の先を突き立て詠唱した。
それに呼応するように、棍の先からまばゆいばかりの閃光が放たれる。
幽霊列車の低い悲鳴が地下の壁に響きわたる。
列車の悪魔は大きく悶えながら、その起動を変えた。
石像の横の壁へと頭から突っ込んでいく。
素早く後頭部から飛びすさったリュウが、今度は幽霊列車の背中に棍を突き刺す。
再び奏でられる詠唱に、暗い地下内に光が満ちあふれる。
背中に開いた傷口から悪魔の肉片があたりに飛び散った。
悲鳴を上げ大きくのけぞった幽霊列車が、壁から剥がれ、落下していく。
途中、壁面に作られた祭壇とおぼしき箇所に激突すると、
その場で激しくのたうちまわった。
リュウはなおも幽霊列車の背中から離れず、さらなる攻撃を加えている。
「・・・・・・」
「すごい・・・」
この戦い方こそ、上級祓魔師の実力か。
自分たちの実力よりも、遥かに上・・・。
その光景に圧倒されている燐のとなりで、うさ麻呂も同じように見下ろしていたが、
やがて我に返ったうさ麻呂と燐と玲薇は、お面越しに見つめ合う。
「うさ麻」
「!!」
燐が声をかけようとした瞬間、さっと尻尾を逆立てたうさ麻呂が後ろに跳んだ。
近寄ろうとする燐に、噛みつくように叫ぶ。
「よるな!」
「・・・うさ麻呂くん・・・」
「エクソシストはきらいじゃ!!」
拒絶の言葉に燐が近づこうとする足を止める。
「うさ麻呂」
と、静かな声で呼びかける。
「なんで、人の記憶を喰うんだ?」
「イヤなことわすれて、みんなたのしそうなかおになったのじゃ!なのに・・・」
うさ麻呂の言葉が途切れ、小さな喉が震える。
「記憶を喰っても別の誰かが憶えてるだろ」
「そしたら、ソイツのキオクもくってやる!!」
燐の言葉に、うさ麻呂が挑むように言う。
燐がかすかに眉を寄せ、その下の双眸を細める。
「街にはたくさんの人がいるぞ。皆、喰うのか?」
「まちじゅう、くにじゅう、みーんなキオクをぜーんぶくってくってくいまくってやる!!」